概要
走行路線の乗り入れ協定に基づいて5000番台の形式番号となっているが、電気機関車であるためか頭に「E」の文字がつけられている。片運転台の箱型機で、通常は2両が背中合わせに連結されているが、1両だけでも走行は可能であるため、JR風に言えば「ED」に相当する。本形式は4両製造され、2両一組で使用されている。
あまり知られていないが、制御装置は京急新1000形3~5次車と同じシーメンスIGBT製であり、発車時にハイテンションな金切声を奏でる。
この機関車の製造目的は、整備や車体更新時に大江戸線車両を浅草線で牽引するためである。
大江戸線と浅草線の軌間はともに1435mmであるため、これだけ見ると直通ができそうであるが、大江戸線はリニアモーター方式を採用している。
つまり、「線路=モーターの一部」になっている大江戸線の車両は、浅草線の線路に入ることはできても自力で動くことができなくなってしまう。そこで、浅草線の線路上を走行させるための牽引車両が必要になったのだ。このためE5000形の車体は大江戸線の規格に合わせて小さく作られている。(回転式モーター搭載であるが、大江戸線内も自走可能である)
用途・連結する車両ともに限定されているが、急勾配での起動や連結・解放作業が多いことを考慮して主幹制御器はワンハンドルマスコンにせず、横軸型ツーハンドルマスコンを採用している。
なお、連結器高さは調整が可能であり、浅草線の車両(5300形・5500形)とも連結ができるため、浅草線でトラブルが起きた際の救援車としても使用が可能(そのような場合に対する作業灯も装備してある)。
通常は検査編成が木場車両検修場から汐留駅に回送し、ここで本機と連結して連絡線を通り浅草線経由で馬込車両検修場へ回送される。車庫がすべて地下にあり、大規模な検修ができる車両工場のない都営大江戸線であったが、軌間が同じである都営浅草線の馬込車両検修場が大江戸線の検修にも対応できるように改良され、汐留~新橋間に連絡線を設けた。
本機は2年ごとに行われる「都営フェスタ浅草線」(馬込車両検修場の一般公開)で間近で見ることができる。また全般検査は京急ファインテック久里浜事業所で行われており、深夜に泉岳寺経由で京急線を自走し入場している。