この会社は愛知県に路線を有する第三セクター(民間出資者としては名古屋鉄道等が所有。)の会社であり、現状日本で唯一の浮上式リニアモーターカーを営業運行している会社である。
2005年の愛知万博に合わせる形で開業し、万博開催中はどの列車も超満員状態だったが、万博終了後は各種事情のため利用者数が低迷した。その後は順調に利用者が増加、2010年度以降は単年度収支を黒字化しており、(支援策もあり)2015年度には営業利益と経常利益が初の黒字となり、2016年度には営業利益と経常利益が2期連続の黒字となったのに加え当期純利益も初の黒字となり、経営健全化を果たしてる。
運営路線
東部丘陵線(愛称:リニモ) 藤が丘-八草 総事業費:997億円
なお藤ヶ丘駅で東山線と、八草駅で愛知環状鉄道と連絡する。
路線に関して
当路線は名古屋市営地下鉄東山線を延長する形で、鉄道の空白地であった長久手方面に鉄道を引く計画が存在した(ただし、現在とは想定ルートが異なる)。平成4年の運輸政策審議会答申において、「中量軌道系の交通システムとして2008年(平成20年)までに整備することが適当である路線」として位置づけられる。
この路線が急斜面が多い(最大勾配60‰)等の条件から、モノレール(跨座式)・新交通システム・リニアモーターカー(HSST)の3つから機種選定を行い、愛知県と名古屋鉄道の出資により開発が進められていたHSST方式の磁気浮上リニアモーターカーの採用が決定した。
その最中に、2005年に瀬戸市海上の森で開かれる予定だった愛知万博が、環境問題等によってメイン開催地が長久手町愛知青少年公園(現在の長久手市、愛・地球博記念公園)で開かれることが決定、万博への交通アクセスとして用いることになり、当初予定より3年前倒し開業が決定した。
平成14年に工事着工し、約3年後の平成17年3月に開業を迎え、万博が開催される。
東山線・愛知環状鉄道線との輸送力格差を問題視され、博覧会協会が1編成追加して全9編成で運行されたが、万博開催期間中は大きなトラブルも無く、全来場者数の半数を占める約1,000万人の輸送を果たした。(元々、万博終了後の地域輸送を見据えて輸送力を設定しているため、万博期間中の輸送力格差は致し方なく、これを補うためにシャトルバス等も用意されていた)
「地下鉄の延伸をした方がよかった」という意見もあるが、都市化の進んだ藤が丘周辺および長久手市西部地域から東山線を延伸するのは、物理(地理)的・費用的・時間的にもほとんど不可能である。
かつての路線赤字の理由と現状
複数の理由が存在した。
乗り換えの不便
名古屋方面から乗り換える場合、東山線を利用することになるが、高架駅(地下鉄)から地下(リニモ)への乗り換えに3分以上かかるにもかかわらず到着後2分で出発する。乗り換えダイヤの協調化に関しては、東山線との輸送量・運行本数の差から、(協調化の割に)効果が見込めないとして行われていない。
なお、八草駅での愛知環状鉄道線との乗り換えに関しては、ダイヤの協調化が検討されている。
利用予定者の読み違い
路線周辺(特に長久手市東部地域)は、多数が市街化調整区域(都市開発が行われない区域)であり、人口の増加が望めない地域である(ただし、長久手古戦場駅および公園西駅周辺では、大型商業施設開発および宅地開発計画が進行中である)。また、利用者のメインとなる高等学校や大学なども、藤が丘などからの直通バスがあったりするため利用者としてあてにならない状態であった。
近年、沿線に大型商業施設が開業したことにより、リニモを利用する学生も増えている。
価格面
価格は他の鉄道などよりも少し高額であり、利用者が躊躇する。また、他の交通機関との乗り換えの際運賃への優遇措置もなかった。
2016年に交通系ICカードに対応し、manacaのマイレージポイントが利用可能となった。また、沿線商業施設では交通系ICカードを利用し来店した際には特典も設定されている。
高額な減価償却
設備に関しては長期間にわたって使用するため、少しずつその価値の代金を払っていかなければならない。しかし、この路線はインフラ外部事業費(愛知高速交通の負担)356億円のうち有利子負債が多くを占め(49.9%)、その返済が経営を圧迫していた。
愛知県や名古屋市などの関係自治体が債務の株式化や現金出資を行うなどして支援し、2016年度にはこれら負債を完済した。
駅一覧
会社の現状
上述の通り、現在は経営健全化を果たしている。今後の課題は、増え続ける利用者への対応や設備更新である。
また、100人程度ならば約4万円で貸切にすることも可能(これは体験乗車用とのこと)であったりする(結婚式も可能であり、その場合約10万円より、とのことである)。
関連項目
リニモたん(愛知ぽぷかる聖地化計画)