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IGRいわて銀河鉄道

あいじーあーるいわてぎんがてつどう

JR東日本東北本線盛岡〜目時間を引き継いだ岩手県の第三セクターの鉄道会社
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会社概要編集

2002年(平成14年)12月1日東日本旅客鉄道(JR東日本)東北新幹線盛岡駅(岩手県盛岡市)~八戸駅(青森県八戸市間の延伸開業と同時に、その並行在来線として経営分離された東北本線の同区間中ほぼ岩手県内にあたる盛岡駅~目時駅(青森県三戸郡三戸町)間の82.0km(営業キロ)の区間を継承した「いわて銀河鉄道線」を運営する第三セクター鉄道会社。


鉄道以外でも不動産観光飲食店事業を行う第三セクター鉄道では珍しいペンタゴン経営を行っている。

なお目時駅以北は同じく第三セクターの青い森鉄道が継承。いわて銀河鉄道線と相互直通運転を行い、八戸駅以南ではIGRと一体のダイヤが組まれている。


社名について編集

岩手県は宮沢賢治縁の地でもあり、並行在来線運営会社を設立するにあたり社名は「いわて銀河鉄道」の方向で考えられていたが、同じ本社所在地(自治体)に同名のイベント会社があることが判明。一般に定款の事業目的にはやりそうなこと、やってみたいことをあらかた書いておく会社が多いため(手数料に大差がなく、後付で加筆すると出費がかさむから)法務局や先称の会社に「同名で競業」と解釈されると商法(当時)の規定で受理されなかったり一旦は受理されても後々訴訟の原因になることから「いわて銀河鉄道」そのままを名乗ることができなくなってしまった。

屋上屋を架すようではあるが、「IGR(2002年時点の登記の規定上カタカナ書きで『アイジーアール』)」を上につけて、同一名称を回避した。

言わずもがな、「IGR」は「Iwate Galaxy Railway」の頭文字である。


路線データ編集

路線名いわて銀河鉄道線
ラインカラー
路線区間盛岡〜目時
路線距離82.0km
軌間1,067mm
駅数18駅
電化区間全線(交流20,000V)
最高速度100km/h
複線区間全線
閉塞方式自動閉塞式
保安装置ATS
運転指令所ぎんが指令
第一種鉄道事業者IGRいわて銀河鉄道
第二種鉄道事業者日本貨物鉄道(JR貨物)

路線概要編集

「会社概要」の項で記載した通り、東北新幹線延伸に伴う東北本線の第三セクター転換に伴い、盛岡駅〜目時駅間をJR東日本から引き継いだ路線。

また東北本線時代から引き続き日本貨物鉄道(JR貨物)が第二種鉄道事業者として貨物列車を運行している。


車両基地編集

盛岡駅北方にある運輸管理所に全ての自社車両が所属している。


直通運転編集

前述の通り青い森鉄道線と直通運転を行っている。

運転士は目時駅で交代せず両社とも終点まで乗り通す。車掌ワンマン運転を行なっている青い森鉄道線までは乗務せず、盛岡駅〜金田一温泉駅間で乗務する。

また東北本線時代から花輪線(十和田八幡平四季彩ライン)の気動車好摩駅以南に乗り入れ、一部はIGRの列車同様に東北本線に直通する。

なおIGRには「甲種内燃車運転免許」(気動車の運転免許)を持つ運転士がいない為、JR東日本の乗務員がIGR線内も乗務を担当する。これは2017年(平成29年)3月4日ダイヤ改正で廃止された八戸線(うみねこレール八戸市内線)直通の気動車においても同様の措置が取られていた。


現在の直通運転区間は以下の通り。


・青い森鉄道青い森鉄道線:目時駅〜八戸駅

・JR東日本花輪線:好摩駅〜大館駅※1

・JR東日本東北本線:盛岡駅〜北上駅※2


※1:花輪線気動車の片乗入れ

※2:下りは最長で一ノ関駅始発


過去には以下の区間でも直通運転を行なっていた(特急は除く)

・JR東日本八戸線:八戸駅〜鮫駅

※八戸線気動車の片乗入れ


沿革編集

本項では転換後について記載する。

転換前については東北本線の項を参照。



運行形態編集

優等列車はJR時代は青森駅青函トンネル経由の特急はつかり・スーパーはつかり」、転換後もJR時代から引き続き寝台特急「北斗星」、「カシオペア」や花輪線の快速「八幡平」が経由していたが、いずれも廃止された現在は普通列車のみ運行されている。


現在の旅客列車の運行系統はいわて銀河鉄道線系統と花輪線系統の2系統。


いわて銀河鉄道線編集

主に盛岡駅〜青い森鉄道八戸駅間の運行。目時駅発着の列車は存在せず、同駅を経由する列車は全て青い森鉄道八戸駅発着である。

この他に盛岡駅〜滝沢駅好摩駅・いわて沼宮内駅・二戸駅・金田一温泉駅間、小鳥谷駅〜八戸駅間にそれぞれ区間便が設定されている。

またのみ東北本線への直通列車が設定されている。一ノ関駅・北上駅・日詰駅矢幅駅〜滝沢駅・いわて沼宮内駅間の運行。但し毎日運行するのは上り列車の花輪線鹿角花輪発日詰行と後続のいわて沼宮内発北上行のみで、その他の列車は土休日は直通は行わずIGR・JRどちらかの線内運用となる。


盛岡市近郊の盛岡駅〜いわて沼宮内駅間は本数がそこそこ確保されている。特に盛岡駅〜滝沢駅間は日中でも毎時2本程度運行されており、滝沢駅〜好摩駅・いわて沼宮内駅間は花輪線直通列車を含めて毎時1〜2本程度運行される。

対していわて沼宮内駅以北は本数が減り、いわて沼宮内駅〜二戸駅間は毎時1本程度となる。二戸駅〜金田一温泉駅間は最長で2時間半程度、金田一温泉駅〜目時駅〜三戸駅間の県境区間は約4時間列車間隔が開く時間帯が存在する。


JR花輪線編集

詳細は当該項目を参照。

境界駅となる好摩駅を経由する列車は全てIGR盛岡駅まで直通し、前述の上り鹿角花輪発日詰行のみ盛岡駅から東北本線に乗り入れる。

「直通運転」の項でも記載しているが、好摩駅では乗務員の交代は行わず、IGR線内もJR東日本の乗務員が担当する。


駅一覧編集

会社名無表記はJR東日本の路線

※:転換後に開業した駅


駅名乗換路線備考
東北本線北上まで直通運転
盛岡
  1. 東北新幹線
  2. 秋田新幹線
  3. 東北本線
  4. 田沢湖線
  5. 山田線
一部JRホーム発着
青山
厨川
巣子
滝沢
渋民
好摩花輪線(十和田八幡平四季彩ライン)
↓花輪線大館まで直通運転
岩手川口
いわて沼宮内東北新幹線
御堂
奥中山高原
小繋
小鳥谷
一戸
二戸東北新幹線
斗米
金田一温泉
岩手県/↓青森県
目時青い森鉄道管理駅
青い森鉄道八戸まで直通運転

現在の使用車両編集

自社車両編集

運輸管理所所属。メイン画像の電車。0番台は転換時にJR東日本701系1000番台を譲受した編成、転換後の1000番台は新製車。

盛岡駅〜八戸駅間及び平日朝1往復のみ東北本線北上駅〜盛岡駅間で運用される。



青い森鉄道所属編集

  • 青い森701系0番台・100番台

運輸管理所所属の電車。0番台8編成中の1編成は目時駅〜八戸駅間転換時に、残りは八戸駅〜青森駅間転換時にJR東日本701系1000番台を譲受した編成、100番台は開業時の新製車。

八戸駅〜青森駅間転換前はIGR7000系と共通運用で東北本線直通列車にも使用されていた。転換前よりは少なくなったものの、現在もIGR全線で運用される。


JR東日本所属編集

  • 701系1000番台

盛岡車両センター所属の電車。転換前は現在のIGR線に相当する区間でも1996年から使用されていたが、転換後は平日朝の直通列車と折り返しの間合い運用で盛岡駅〜いわて沼宮内駅間で僅かに運用される。転換以前は青森車両センター所属であり2002年の経営移管の際に八戸以北で運用するための1001~1007の7本を除いて盛岡車両センターに転属してきたものである。(1001~1015は新製当初は盛岡車両センターに所属、1996年3月に青森車両センターに転属)

転換以前は盛岡~青森間で運用され、運行開始と同時にワンマン運転も開始された。経営移管前はオールロングシート車のみ配置されており中には一ノ関~八戸や盛岡~青森など乗車時間3時間越えの長距離運用にも問答無用で導入され、在りし日の18きっぱーを苦しめた。経営移管後も1038~1041の4本がIGR7000系として転属し、現在も運用されている。

盛岡車両センター所属の気動車。花輪線直通列車として盛岡駅〜好摩駅間で運用される。花輪線で運用されるのはいずれも2006~2007年に水郡線営業所から転属してきた編成であり、中には2編成しか製造されていない150番台も1本含まれている。花輪線では2両編成のキハ111+キハ112の編成が運用されることが多い。また朝には盛岡を超えて東北本線日詰までの運用も存在する。


JR貨物所属編集

仙台総合鉄道部所属の電気機関車貨物列車牽引機。


過去の使用車両編集

JR東日本所属編集

八戸運輸区(現・盛岡車両センター八戸派出所)所属の八戸線用気動車。移管前、さらには国鉄時代より八戸線直通列車として最末期は小鳥谷駅〜目時駅間で使用された。いずれの車両も機関更新、車内近郊化改造を行った盛岡色、盛岡赤鬼色の車両が使用された。どちらの車両も冷房化改造は行われていなかった。2017年に八戸線直通列車の運行範囲が三戸まで短縮されたことからIGR線内から撤退。これにより、IGR線で運用される国鉄型車両は消滅した。またキハ40系自体も翌2018年にキハE130に置き換えられて既に全廃となっている。


盛岡車両センター所属。花輪線直通列車として盛岡~好摩間で使用された。2007年に水郡線から転属してきたキハ110形へ置き換えられて引退、同年中に廃車となった。いずれも末期には機関更新、車内近郊化改造を行った盛岡色、盛岡赤鬼色の車両が使用されたが、キハ58系は機関1台あたりの出力が小さく花輪線のような勾配路線では出力上限を超えてしまう事、キハ52系は老朽化が激しく冷房化改造に耐えられない事から廃車まで冷房化改造は行われなかった。両車とも機関出力の関係で2両以上で使用され、単独使用はされなかった。

経営移管前は区間列車として盛岡~沼宮内間でも使用された。1996年の701系導入後も盛岡~沼宮内間の区間列車は本形式が引き続き多く使用され、ワンマン運転は行われなかった。基本2両以上で使用され、ラッシュ時には増結も行われた。2002年の移管後は区間列車もIGR7000系に置き換わり、本形式は好摩~沼宮内間から撤退し、間合い運用も無くなった。

田端運転所所属の電気機関車。寝台特急「北斗星」「カシオペア」牽引機。

転換時はEF81形が、廃止時はEF510形が牽引していた。


尾久車両センター所属の客車。寝台特急「北斗星」で使用された。定期運行末期はJR北海道車との混合編成だった。


尾久車両センター所属の客車。寝台特急「カシオペア」で使用された。

  • 485系1000番台、1500番台、3000番台

国鉄時代、さらには新幹線開業以前から多くの特急列車に使用されていた。東北新幹線開業後には特急はつかりとして使用されており、1996年からは大規模修繕工事を施工した3000番台が定期運用で使用され、未更新の1000番台、1500番台も臨時列車を中心に最後まで使用された。青函ATC搭載編成と未搭載編成では運用が分けられ、未搭載編成は経営移管以前に廃車や南秋田運転所へと転属した編成も多かった。2002年の経営移管により特急はつかりが廃止、定期運用がなくなり現IGR線区間からは定期運用から撤退した。その後も団体専用列車などでIGR線に入線することが多々あったが2016年の北海道新幹線開業により485系自体が消滅し、団体列車も運転されなくなった。

2000年の特急スーパーはつかり運転開始に伴い運用が開始され、短期間ではあるものの同列車で使用され、青森車両センターに配置された。青函ATCは搭載していなかったため、青森~函館間では運用できなかった。本形式の投入により青函ATC非搭載の青森車両センター所属485系の多くが廃車、また転属となった。編成数が少なく、何らかの要因で予備車が確保できない場合は485系により代走されることがあり、その場合は所要時間が数分伸びていた。導入から僅か2年で東北新幹線が開業し、485系とともに同区間からは撤退。以降は運行区間を変えながらも一時期を除いて特急つがるとして運用されているほか、現在も団体列車としてIGR線区に乗り入れる事がある。

経営移管前には寝台列車として多く使用されたが1994年に最後まで使用されていた特急はくつるが24系に置き換えられ寝台運用と定期運用が消滅。以降は経営移管まで臨時のはつかりをメインに使用された。485系、E751系とは異なり普通車はクロスシートであり接客設備は明らかに見劣りしていたものの、特に割引等はされず、特急料金も同額で設定された。またグリーン車の設定もなかった。

経営移管前の盛岡支社管内における東北本線、八戸線において盛岡客車区所属車両がED75形牽引の下、2~5両程度で使用された。いずれも終着駅で機関車の機回しが必要であり大幅な時間ロスが生じていたが、まず1993年にキハ40系に置き換えられて八戸線から撤退したのを皮切りに置き換えが急速に進行、翌1994年12月には701系導入開始に伴い盛岡~一ノ関間から撤退し、さらに1996年には盛岡以北にも701系投入とワンマン運転開始が発表されたことに伴い同年3月をもって最後まで残っていた盛岡~青森間からも撤退した。撤退後数年間は保留車として多くが盛岡客車区内に留置されていたがいずれも数年以内に廃車されて消滅した。1995年の磐越西線からの同形式撤退後は東北地区のみならずJR東日本における従来の一般形客車による普通列車定期運用が残る最後の区間となっていた(津軽海峡線の快速海峡を除く)。また本州における通常仕様の50系が定期運用される最後の区間でもあった。末期には状態の良し悪し関係なくごちゃ混ぜで運用され、中には塗装が剥げてしまい錆びまみれの車両や塗装が色あせて継ぎ接ぎ状態になるなど状態が劣悪極まりない車両も混ざっていた。また終着駅での機回しの関係からか盛岡近郊の区間運用には折り返し時間を短縮できるキハ52、58などの気動車を使用し、盛岡~青森などの長距離運用をメインに使用された。また50系は屋根上に冷房を搭載できなかった上、改造コストも莫大なものになると試算された関係から、他地域の50系と同様に廃車まで冷房は搭載されなかった。

普通列車仕様の2000番台が使用された。いずれも製造から20年以上経過した経年車であり、冷房化改造は行われていたものの老朽化が激しく、1994年の701系導入の際には真っ先に廃車対象として選ばれて優先的に廃車されることとなった。同年中に盛岡以南から撤退し、余剰になった50系によって置き換えられて営業を離脱し1999年までに全廃となった。

0番台と異なり、塗装が青色一色で白帯が入っていなかったことが外観の特徴だった。また廃車まで乗降扉が暖地向けの折戸式であり乗降口が狭く乗り降りに時間がかかりラッシュ時には遅延の原因になっていたことや冬季にはドアレールに雪がこびりついてドアが開かなくなるトラブルが頻発したこと、車両の構造自体過酷な東北の冬環境に適さず老朽化が急速に進行したことも早急に廃車された一因であると考えられる。




JR北海道所属編集

  • 24系

札幌運転所所属の客車。「北斗星」2往復体制時は単独で、1往復化後はJR東日本車との混合編成で運行された。



関連タグ編集

7000系 青い森鉄道

第三セクター 鉄道 銀河鉄道

小鳥谷スピカ - ステーションメモリーズ!のでんこ。2017年から2018年にかけて開催された鉄道むすめスタンプラリー「つなげて!全国鉄道むすめ巡り」ではIGRいわて銀河鉄道のキャラクターとしてゲスト参加した。

焼き鳥 - ブルートレイン北斗星」(及び定期「カシオペア」の通過料収入が運行廃止で飛んだため、駅構内で屋台を開いた。

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