概要
JR貨物が2002年から新製・営業運転を開始した交直流両用電気機関車。EF210の交直流版と言ってよく、そのため試作機にあたる900番台はなく最初から1号機が製造されている。0番台は日本海縦貫線(北陸本線、奥羽本線など)に投入され、同線のEF81を置き換えている。
0番台と300番台(後述)の愛称は「ECO-POWER RED THUNDER(エコパワー レッドサンダー)」で、EH200形の愛称「ECO-POWER Blue Thunder(エコパワー ブルーサンダー)」と対になっている。
2009年には基本設計を同じくする500番台がJR東日本により新製され、試運転を経て2010年夏より寝台特急「北斗星」・「カシオペア」の上野駅~青森駅/青森信号場間の牽引に運用されていた。配置は田端。カラーリングは509、510がカシオペア用E26系に合わせた銀色にカシオペアの虹色の帯と星、それ以外はブルートレインに合わせた青地に金帯、金の星が描かれていた。
北斗星の運行終了(2015年)・カシオペアの定期廃止(2016年)後はJR貨物へ売却され、JR東日本での短い活躍を終えた。EF81の置き換えとして登場したが、その後のカシオペアの臨時列車には田端のEF81が使用されており、結果的に一部のEF81より先に田端を去ることになってしまった。
500番台は現在0番台と共通運用となっている。塗装は流れ星や虹の模様を省略した程度で殆ど変わっておらず、判別は容易。
2022年8月からは、九州地区向けの300番台が運用を開始。
17両を製造し、2025年までにEF81とED76を置き換える計画となっている。
所属は0番台と500番台が富山機関区、300番台が門司機関区。
44年ぶりの新製急客機だった
かつて国鉄型電気機関車は旅客用と貨物用に分かれていた。特に東海道線で優等列車牽引に供された機関車は急客機(急行専用機関車)と呼ばれ、機関車の花形だった。ED60の登場と、国鉄の動力分散(電車)化の方針以降その垣根はなくなったとされるが、実際にはブルートレイン専用機としてその立場は受け継がれた。その中でも特にサラブレッドと呼ばれたのが、EF65P型(500番台のうち20系客車牽引用のグループ)だった。
しかし、その後国鉄の合理化・標準化の方針により、後継は貨客両用の特急機EF65PF形(1000番台)とされ、さらに強化型であるEF66は当初貨物専用機だった(ただし、性能的にはEF58以来の高速機であり、後に東京口ブルトレの牽引に供された)。
ゆえに、EF65Pは最後の急客機、最後のサラブレッドと、長年呼ばれていた。
EF510形500番台は当初よりブルトレ牽引を一義として製造された。1965年のEF65P形以来、44年目ぶりの新製急客機の登場になったのである(2013年春まで、EF81の運用を引き継ぐ形で、500番台による一部貨物列車運用もあった。また貨物所属の0番台も500番台登場以前にイベント用で客車を引いた事はある)。動力性能的には貨物機との差異はないが、当時は東北本線列車線東京~上野間の再開業(上野東京ライン)前だったため、上野駅の終端ホームに推進で回送入線するための最後尾車との連絡設備が備わっている。
余談
- JR東日本時代の500番台は東京の田端運転所に配備されたが、車両整備は当初から富山機関区に外注していた。これは車両発注時から将来的なJR貨物への売却を想定しており、JR東日本として整備技術を習得する必要性が薄かったためと言われる。
- 300番台はヘッドライトが全てLEDとなっている。一時期電球に交換されたが、ほどなくして元に戻された。
- 上記の通り、JR東日本での新製車は青を基調とした北斗星色、銀を基調としたカシオペア色でのデビューとなったが、カシオペア色は第9号機まで製造されず、寝台特急牽引が製造に間に合わなかったためか、EF510の寝台車牽引機デビューは北斗星色機のカシオペア牽引であり、北斗星よりも先であった。その後も車両数の多さもあってか、北斗星色のEF510がカシオペアを牽引することも多く、また、2両しかないため頻度は少ないがカシオペア色が北斗星の牽引を担うこともあった。