概要
オーバースペック気味で真価を発揮できずにいたEF200形に代わり、老朽化したEF65形・EF66形の置き換え、並びに東海道・山陽本線1,300t貨物列車の拡充に対応するため開発された直流電気機関車。
1996年に試作機が登場し、以後1998年から0番台18両、2000年から100番台73両、2012年から300番台が製造され、現在も増備が進行中。JR貨物の直流区間における標準機となっている。
JR貨物で初めて公募による愛称が与えられた。その名は最初に配備された岡山機関区に因み、「ECO-POWER 桃太郎(エコパワー ももたろう)」となった。後に新鶴見機関区・吹田機関区にも配属されたが愛称はそのまま。
性能・外観
車体は高運転台・非貫通の耐候性鋼板製。
前灯・尾灯はEF66形100番台と同じコンビネーションタイプで、ライトケース周辺に白帯、運転台周りを黒とし、それ以外はブルー・グレーで塗装される。
2018年から塗装の簡略化が順次実施されており、黒とグレーの面積を大幅に削減し、JRFマークを省略した新塗装に改められつつある。
また、2020年からは側面に桃太郎と犬、猿、雉のイラストが加えられている。
足回りはEF200譲りのかご形三相誘導電動機+VVVFインバ-タ制御に加え、イニシャルコスト削減のため1C2M制御(100番台では1C1M)を採用、定格出力は1時間3,390kW、30分3,540kW。
重量は100,8t。EF200よりも出力は控えめだが、前述のとおり1,300t級列車の牽引が可能で、関ヶ原付近の連続急勾配もものともせず駆け上がれるだけの性能を発揮できる。
形態
900番台
1996年登場の試作機。ルーバーの形状、運転台側窓の形・塗り分け、『ECO-POWER桃太郎』のロゴがないなど、量産車とは仕様が異なる。2005年の量産化工事で、主電動機交換が行われた後も、外観の相違点はそのままとなっている。三菱電機・川崎重工業が製造を担当。
実は、同機の新製配置は新鶴見機関区で、岡山機関区にやってきたのは1997年3月だったり。
0番台
1997年登場の量産車。主電動機がその後のスタンダードとなるFMT4型となり、歯車比は900番台の1:4.44 から 1:5.13 に変更。助士席側窓下に愛称ロゴマークが付けられた。
全18両が岡山機関区に配置されている。製造は三菱・川重。
100番台
2000年に登場した改良タイプで、最も見る機会が多いグループである。外観では運転台周りの塗装処理、採光窓・ルーバーの形状・数が異なり、新たに車体中央部に愛称ロゴマークがついた。また、109号機以降はパンタグラフがシングルアーム型に変更されている。
性能面では、VVVFの制御素子がそれまでのGTOからIGBTに、前述のとおり1C1Mのベクトル制御に変更され、新製当初からATS-PFを搭載する。
2012年までに73両が製造されており、新鶴見・吹田・岡山の各機関区に配置されている。製造はやはり三菱・川重が担当。
300番台
2012年登場。山陽本線瀬野~八本松間、通称『セノハチ』を通過する貨物列車の後部補機用グループで、1983年にEF60から改造されたEF67(0番台)の老朽取り替え用として開発された。
性能は100番台と同一だが、連結器部分に油圧式シリコーン緩衝器を備え、その関係でスカート部分が張り出した格好となり、側面の塗装もブルー1色に黄色の帯をまいたスタイルである。それまでのセノハチ用機関車と異なり通常の貨物列車牽引にも使用できるが、その際に方向転換した状態で戻ってくる可能性を考慮してシリコーン緩衝器は両側に装備している。製造は川重(→川崎車両)が担当。
- 少しずつ数を増やし、EF66(0番台)やEF200、そしてEF67については100番台も置き換え、2023年現在新鶴見・吹田機関区に54両が配置されている。一方、セノハチに最も近い岡山機関区には配置がない。
- 2023年2月13日の梅田貨物線大阪駅構内(うめきたエリア)地下化切り替えで『セノハチ』並の急勾配が生じたため、この区間でもプッシュプル運転の後部補機として使用されている。以降、M250系スーパーレールカーゴ以外の安治川口駅発着コンテナ列車のうち、1000t以上の列車牽引は本務機と補機を兼用出来る(=安治川口での機回しも省略できる)300番台限定となる。
運用区間
東海道本線・山陽本線・瀬戸大橋線・予讃線(高松貨物ターミナルと新居浜まで)・武蔵野線・京葉線・東北本線(黒磯まで)・高崎線(倉賀野まで)・中央本線(八王子まで)・梅田貨物線・桜島線(JRゆめ咲線、西九条~安治川口)