区間
東京郊外を結ぶ巨大な環状線…のようなC形路線(外郭環状線)。
京葉線と乗入れる旅客列車の他、元々は山手貨物線のバイパスとして建設されたため、全国各地を結ぶ貨物列車が多数運行されている。
法律上の武蔵野線としての全区間は神奈川県横浜市の鶴見駅から千葉県船橋市の西船橋駅までの約100.6km。
しかしながら定期旅客列車が運用されている区間は東京都府中市の府中本町駅 - 西船橋駅間の71.8kmであり、鶴見 - 府中本町間は貨物列車と臨時旅客列車が運行されているのみとなっている。
当区間旅客化も検討されていたが、後述する長大トンネル内駅建設などの問題から事実上頓挫している。
また元々は貨物線として建設されたため東西南北を結ぶ主要線各線区への連絡線が存在しており、新小平駅 - 国立駅、与野駅 - 西浦和駅、与野駅 - 武蔵浦和駅、北小金駅 - 南流山駅、馬橋駅 - 南流山駅間の各支線がある。
通勤時間帯上り方面列車は都心へのアクセスということもあって、JR東日本でも屈指の殺人的ラッシュとして認知されている。また、日曜には新浦安周辺のコスプレスタジオや舞浜より降りた先の東京ディズニーランドの存在もあり、若干気合いが入った個性的な服装の乗客がいたりする。
種別
むさしの・しもうさ号
2010年12月3日まで、貨物列車用短絡線を経由して中央本線八王子 - 東北本線大宮を直通する快速「むさしの号」(旧称:こまちリレー号→新幹線リレー号、朝の大宮行は府中本町発)が、平日は1日2往復、土休日は1往復、臨時(季節)列車扱いでありながら毎日運行されていた。
当初は169系(三鷹所属)、後に115系(豊田車両センター所属6連スカ色M40編成)が使われたが、利用定着と共に混雑が増し、115系時代末期などは車両数が定期列車より少ない上にクロスシート室内では混雑で乗客を捌き切れなくなっており、ファンの思い入れとは裏腹に実態にそぐわない車両運用となっていた。
2010年12月4日ダイヤ改正より、「むさしの号」を定期列車化すると同時に、西船方面と大宮を結ぶ直通列車「しもうさ号」が新設された。なお、種別は普通列車扱いで、車両は他快速・各停同様209系500番台・E231系900・0番台が使用されている。
特徴
名前に「東」「西」「南」「北」「新」が付く駅が多く、その他にも市名に周辺地名を付け加えたケースが多い。
上記の浦和に至っては4連続で頭に付属名が付く。(西→武蔵→南→東)
付属名が付いていない単独の地名駅なのは、新座・吉川・三郷の3駅のみである。それはこの路線が貨物路線として、市中心部より外れた所を通る様に建設されていたからである。昭和40年代の埼玉県南部と千葉県北西部の急激な住宅地化に伴い、通勤路線に計画変更された経緯がある。
乗入先共々踏切はなく、トンネルや陸橋がほとんどの高規格路線ではあるが、天候(強風、大雨、雪など)に滅法弱い。ただし、風防柵取付工事が進み(荒川橋梁や越谷レイクタウン - 中川橋梁、三郷 - 南流山にかけてなど)列車抑止日数は以前と比べるとかなり減った。
特に乗入先京葉線は東京湾岸を走るため、少しでも天候異常が起これば仲良くダイヤが乱れていき、真っ先に乗入は中止される。
武蔵野線より幕張メッセや千葉マリンスタジアム(ZOZOマリンスタジアム)へ行く際は運行情報に注意したい。
直通先やバスへの乗換を含め、沿線には多くの公営競技場が所在する。寧ろ三競オート(競馬(中央・地方共に)・競艇・競輪・オートレース)が勢揃いしている。
西国分寺→立川競輪場(中央線乗換)
南浦和→浦和競馬場・大宮競輪場(京浜東北線へ乗換)
東川口→川口オートレース場(連絡バス乗換)
船橋法典→中山競馬場
新松戸→松戸競輪場(常磐緩行線乗換)
南船橋(直通先)→船橋競馬場
特に中央競馬競馬場を抱えるため、GI開催日(特に最も混雑する日本ダービー・有馬記念開催日)には臨時列車を出して対応している。
中古車両運用(一部ユーザーの考察あり)
現在定期運用で使われているのはE231系900・0番台と209系500番台。共に他路線で新車導入等の事情で使われなくなり、武蔵野線へ来たものである。配置は京葉車両センター。
開通当初は、101系初期製造車を不燃化改造した1000番台が投入されたが、元が1958 - 60年頃に製造された、旧称号「モハ90」であった経歴を有する車が多数含まれる、当時の101系でもことさらロートルの車両ばかりを掻き集めたため、内外装共々どことなく薄汚れており開通時から「オンボロ電車」呼ばわりされていた体たらくであった。それでも103系が出揃う1986年までは運用されている。
103系時代は戸袋窓からの隙間風が酷く、冷房の利きも良いとはいえなかった(特にJR化後に施工された分散冷改車)。高速域での加速も悪く、同時に高速域のブレーキ性能では101系に劣っていたという。元々高速走行向けの車両ではないためガタガタとした騒音と振動が激しく、けたたましいモーター音や戸袋窓から入り込んでくる風切り音と相まって、今の205系よりもスピード感があった。特に西国分寺 - 新秋津間長距離トンネルでは騒音が容赦なく車内に響き、車掌放送が全く聞こえない程であった。
その後205系に取って代わられることとなるが、武蔵野線及び京葉線専用に製作された車両は同じ205系でも転入組と顔が異なり、製作年も新しい。
この武蔵野線用に制作された205系は現時点で唯一の武蔵野線生抜きの電車であった。
また、転入組もほとんどが足回りを転入当時の最新技術へ差し替えてあった。
京葉線も同じく古い車両ばかりであったが、E233系5000番台が導入されたので、京葉線に先を越されてしまい、2017年にようやく武蔵野線にE231系が導入された。(総武線のお古?国鉄型のお古よりはマシであろう)
しかし、これにより205系は引退、武蔵野線生え抜きの車両が引退して再び中古車のみで運行される鉄道路線となった。
理由とすれば、私鉄競合路線が他に存在しないことが挙げられるであろう。(首都圏外周路線としては他に東武野田線も存在するが、競合する程接近していない)
この傾向は東日本に限らず、東海や西日本などでも見られる傾向である。(逆に私鉄においても、某私鉄の本線級路線がこれに該当する)
優等列車に愛されない路線
沿線には乗換駅が複数あるにもかかわらず乗換先の多くの優等列車が武蔵野線の停車駅を通過する。これは元貨物線として建設された影響か。
例をあげれば
西国分寺 | 中央本線 | 通勤快速・特快通過 |
---|---|---|
新秋津 | 西武池袋線(秋津) | 快速急行・急行通過 |
北朝霞 | 東武東上本線(朝霞台) | TJライナー通過※ |
南浦和 | 京浜東北線 | 高崎線/宇都宮線通過 |
南越谷 | 東武伊勢崎線(新越谷) | 特急通過(乗換可能な駅で数少ない通年通過駅) |
新松戸 | 常磐緩行線 | 常磐快速線通過 |
西船橋 | 中央・総武緩行線 | 総武快速線通過 |
※東武東上本線は2023年3月18日までは快急も通過していた。
殊に秋津は地元商店街の反対で接続通路すら建設できないという始末。このため乗り換えで利用する乗客からは結構複雑な感情で見られてるとか。
例外なのは武蔵浦和、東川口、南流山、新八柱(八柱)、東松戸の5駅だけ。しかもその内の2つ(東川口・八柱)はそもそも埼玉高速鉄道と新京成が各停しかないという元も子もないような理由である。
そして乗客がホームで数十分に渡り各電を待ってる間に貨物車両が数台通過して行く何てのは良くある話。(通称「武蔵野線クオリティ」)
駅一覧
ナンバリングは10 - 33で、直通する京葉線市川塩浜駅(東京側直通駅)から連番となっている。
旅客営業区間
ナンバリング | 駅名 | 乗換路線 | 備考 |
---|---|---|---|
JM35 | 府中本町 | 南武線(JN20) | 出発は3番乗り場。 |
JM34 | 北府中 | 元々は中央本線支線の駅であった | |
JM33 | 西国分寺 | 中央線快速(JC17) | |
JM32 | 新小平 | ||
JM31 | 新秋津 | 西武池袋線秋津駅(SI16) | |
JM30 | 東所沢 | 待避線有 | |
- | (貨)新座貨物ターミナル | ||
JM29 | 新座 | ||
JM28 | 北朝霞 | 東武東上本線朝霞台駅(TJ13) | |
JM27 | 西浦和 | 大宮方面通過線あり | |
JM26 | 武蔵浦和 | 埼京線(JA21) | |
JM25 | 南浦和 | 京浜東北線(JK42) | |
JM24 | 東浦和 | ||
JM23 | 東川口 | 埼玉高速鉄道(SR25) | |
JM22 | 南越谷 | 東武伊勢崎線新越谷駅(TS20) | |
- | (貨)越谷貨物ターミナル | ||
JM21 | 越谷レイクタウン | ||
JM20 | 吉川 | ||
JM19 | 吉川美南 | 待避線あり | |
JM18 | 新三郷 | ||
JM17 | 三郷 | ||
JM16 | 南流山 | 首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス | |
JM15 | 新松戸 | 常磐緩行線(JL25) | |
JM14 | 新八柱 | 新京成線八柱駅(SL05) | |
JM13 | 東松戸 | 北総線/京成成田空港線(HS05) | |
JM12 | 市川大野 | ||
JM11 | 船橋法典 | ||
JM10 | 西船橋 | 待避線あり。 | |
⇓京葉線東京駅及び海浜幕張駅まで直通。 |
余談
- 西国分寺 - 府中本町間は、武蔵野線開通前まで営業していた中央本線支線(国分寺 - 東京競馬場前間)代替路線でもある。そのため、北府中駅は中央本線の駅からの編入という形となっている(なお、北府中より分岐する中央本線貨物支線が武蔵野線開通時に存在したが、そちらは貨物支線を武蔵野線へ編入後、1976年に廃止された)。
- 貨物線区間28.8kmの間は長大な地下トンネルが連続している。まずは武蔵小杉駅付近で地下へ潜り、梶ヶ谷貨物ターミナル東側で1度地上へ出た後、多摩丘陵南部を貫通するトンネルを経て川崎市と稲城市の市境を越え、京王相模原線稲城駅西側近くで再度地上へ出る。なお、梶ヶ谷貨物ターミナルと東急田園都市線梶が谷駅との間はかなりの距離があり、前者は川崎市宮前区、後者は同・高津区に所在。