概要
都道府県または総務大臣の指定を受けた市町村(原則として競馬場が所在する自治体)がレースを開催する競馬で、地方共同法人の地方競馬全国協会(NAR)がその全体を統括している。
南関東や東海、兵庫、門別では原則土日開催の旧国営競馬である中央競馬(JRA)との兼ね合いもあって、基本的に平日の5日間を一期間としてレースが開催される。一方で近くにJRAの競馬場がないそれ以外の地方競馬は土日にも開催される。
かつては他の公営競技(競艇、競輪、オートレース)とともに地方自治体の大きな収入源となってきたが、レジャーの多様化やパチンコ業界との競合、地場産業や人口の衰退化、専用施設の老朽化などにより赤字に苦しむ地域も多い。
ただ廃止するとなると、そこで働く多くの人々(騎手・調教師・厩務員・発売所係員・売店店員など)へ多額の補償が必要となり、それが安易な廃止論を叫ぶ人々に対する一定の抑止力となっていた。しかし大分県の中津競馬場が競馬場関係者にろくな補償を行わずに廃止されたのをきっかけに平成以降いくつもの競馬場が連鎖的に廃止に追い込まれた。
- ただし中津はやり方があまりにも稚拙過ぎて批判を浴び(廃止について市議会が承認したとはいえ、当時の中津市長が「直接の雇用関係にない競馬関係者に補償金を支払う義務も責任もない」との姿勢を取って補償を拒否したことで全国の地方競馬関係者から猛批判されて大騒動に発展した)、中津より後に廃止された競馬場は関係者・馬に対してある程度誠意ある対応を行った模様。
生き残った競馬場はレース開催の工夫や、馬券のネット発売解禁、JRAとの提携などを追い風にして大幅な売上回復を実現している(例として、大井競馬場や高知競馬場などではナイターレースが行なわれ、さらに高知競馬では勝ち星に恵まれない馬だけを集めて出走させる「一発逆転ファイナルレース」で収益を上げている)。
地方競馬が行われる競馬場はコストの問題などから基本的にダートコースのみで、盛岡競馬場にのみ唯一芝コースが整備されている。
なお地方競馬の勝負服はJRAとは異なり、馬主ではなく騎手ごとに決められている(ホッカイドウ競馬の一部のレースでは馬主が申請した勝負服が、それ以外の地方競馬の一部のレースではJRAで使用している勝負服が用いられる)。
地方競馬のレベル・体質
地方競馬のレベルは地域によって千差万別で、南関東競馬のように中央1勝、2勝程度の三流馬には平気で勝ってくる高レベルのコミュニティもあれば、笠松競馬や佐賀競馬のように最早野球で言う草野球レベルに過ぎないコミュニティも存在する(2024年時点)。
また、中央競馬と異なり注目度が低く、不祥事を起こしても表沙汰になりにくい(精々SNSや匿名掲示板で証拠無しで囁かれるぐらいである)事から、中央競馬より八百長が起こりやすいとされる。
現在営業中の地方競馬場
:※現在ばんえい競馬のみ開催。
レース開催や施設自体が休止・完全廃止となった主な地方競馬場
地方競馬も併催していたJRA競馬場
:2009年までホッカイドウ競馬を併催、北海道の開催権自体は留保されている。
:1997年(実際には1991年)までホッカイドウ競馬を併催。
:2002年まで新潟県営競馬を併催。
:2002年まで愛知競馬を併催、開催権は留保されている。
ホッカイドウ競馬・ばんえい競馬
※帯広競馬場では1997年に通常競走のホッカイドウ競馬が撤退。
:ばんえいは2006年、道営は2008年に休止。
:ばんえいのみで2006年に休止。
:道営は1997年、ばんえいは2006年に休止。
その他
:2003年廃止。
:2002年廃止。
:2005年廃止。
:2003年廃止。
:2004年廃止。
:1973年廃止。
:1988年廃止。
:2002年廃止。
:2013年廃止。
:2001年廃止。
:2011年廃止。
主な所属馬
(JRAに移籍した馬を含む)
※☆印はアプリゲームを中心とする『ウマ娘プリティーダービー』シリーズに登場するウマ娘のモチーフになった競走馬
:ホッカイドウ競馬所属、地方所属でJRAにも出走。
:岩手競馬⇒JRA所属
:岩手競馬所属
:浦和競馬⇒JRA所属
:大井競馬⇒JRA所属
:大井競馬所属
:笠松競馬⇒JRA所属
:川崎競馬所属
:船橋競馬所属
:JRA⇒大井競馬所属⇒園田競馬所属
:高知競馬所属
:金沢競馬所属
:JRA⇒浦和競馬所属
:JRA⇒大井競馬所属
:JRA⇒上山競馬所属