概要
従来は私的な草競馬も含めたレースのコースである馬場を指しており、今日では競走馬の飼育・調教や来客用設備も含めた公式競技施設に用いるのが一般的である。
日本の競馬場
日本では、1866年現在の神奈川県横浜市中区に初めての常設型洋式競馬場である横浜競馬場が開業。
同施設は1943年に閉場(事実上の廃止)し、終戦直後に敷地が米軍に接収される。
その後少しずつ返還が進み、根岸森林公園と馬の博物館(根岸競馬記念公苑)が整備。
現在は元敷地の大部分が返還されており、老朽化が進み立ち入り禁止となってはいるが当時の一部の観客スタンドが残されている。
現在は競馬法とそれに基づく政令・省令によって必要な施設の規模や設備が定められている(農林水産省での紹介)。
主に日本中央競馬会(JRA)がレース運営する中央競馬場と地方公共団体が運営する地方競馬場に分かれ、民間企業が所有・管理する施設も多い。
維持コストの制約などから地方競馬場のほとんどが芝コースのないダート(砂)コース専用であり、老朽化や地域の過疎化などの影響により特に平成以降休止・廃止となった施設も多い。
しかしながら地域の自治体や関連業者にとっては重要な収入源であり、市民にとっても存在感の大きい娯楽施設であるため、現在の既存施設でも様々な振興策が試みられている。
かつてはJRA競馬と地方競馬のレース両方を開催する競馬場もあったが、2022年現在は併催する施設は存在しない。
近年はナイター開催とインターネットでの馬券購入システムが普及し、多くの地方競馬場で売上に貢献したといわれる。
2020年には新型コロナウイルス(COVID-19)流行の影響を大きく受け、JRAと地方全ての競馬場と場外馬券売り場が閉鎖。
レースは当面の間無観客開催となり、投票(馬券購入)に関してはネットや電話による手段のみの対応となった。
特にJRA競馬では日本ダービーや宝塚記念など3月以降の春季GⅠ級競走が全て無観客で行われ、中には例年の中継を中止するテレビ局も現れた。
(無観客措置が取られた競馬場)
競艇などの公営競技やその他のプロスポーツリーグでは、6月から7月にかけて順次無観客開催措置が解除。
ただし競馬、特に例年のJRA競馬では一日で10万人以上の入場もある事などから3密における懸念が払拭されず、10月に事前予約の指定席限定という条件付きで無観客開催措置が解除された。
その後も入場券も含めて全て予約制にしたり、遊具の使用やポニーなどのふれあい体験を中止するなどの対策が取られるようになった。
2024年6月時点では、これまでの様々な利用・開催規制の多くが解除されてはいるが、来場客の混雑対策などとして従来の自由席が指定席の「スマートシート」として当面継続される事となり、また主要GⅠ競走が現地で開催される際の入場をネットでの事前予約に限定となる場合が多い。
ちなみに、競馬場の敷地は小判型の特徴的な形をしている事が多い。
そのため施設の廃止で土地が他の施設に転用されても、上空から見ると特徴的な敷地の形状が残され、そこに競馬場が存在した痕跡を現在まで残しているケースも少なくはない。
国内競馬場の主な場内施設
法令による設置必須の設備
・1周1,600m以上で、幅が20m以上の馬場(中央競馬)。
・1周1,000m以上(ばんえい競走のみを行う施設は200m以上)で、幅が16m以上の馬場(地方競馬)。
・審判所、検量所、装鞍(そうあん)所、下見所、勝馬投票券発売所、払戻金交付所、観覧設備、場内放送設備、競馬場内外の境界柵。
レース本番のコースである馬場(本馬場)は一つ以上置かれ、その下地は芝またはダートで整備される。
大型施設ではその内側に向かって内回りコース、別下地コース(芝が外側の場合ダート)、障害用コースなども存在。
ばんえい競馬では200mの直線ダートコース上に障害として2つの坂道が設置されている。
コースの馬場より内側にあるスペースは「内馬場」と呼ばれる。
利用実態として調教用コース、観客向けの広場・ミニ遊園地・飲食店・駐車場、観賞用の池など、競馬場によって様々である。
観客スタンドは、一般的に屋外の立ち見エリア・自由席と別料金が必要な屋内の指定席に分かれる。
その他馬主専用入口・席・ラウンジや、場所によっては個室・半個室席、展望レストランを設けている競馬場も存在。
JRA競馬場では、一部がまるでショッピングセンターのような内装になっている。
レースが開催されない日時には、屋外スタンド席や内馬場などを公園代わりとして市民に無料開放したり、有料の夜のイルミネーションを開催している場合もある。
その他
・大型モニター
(JRAでは「ターフビジョン」として案内されている)
・オッズ板
(大型の配当倍率の電光掲示板)
・着順掲示板
・場外馬券販売所
・イベントスペース
・騎手の宿泊施設
・馬頭観音像及びそのお堂
など。
国内競馬場
中央競馬場
東京、中山、京都、阪神の4施設はGⅠレースの開催本数が多く、ファンの一部からは「中央四場」とも呼ばれている。
ちなみにこの4施設と中京の一般入場料金は現在200円で、その他は100円である。
地方競馬場
帯広は現在ばんえい競馬専門。
姫路は長い間開催休止中であったが、2020年1月に再開。
盛岡は地方競馬場で唯一芝コースがある。
休廃止となった主な競馬場
ここでは1970年代以降に施設として正式に休廃止になった競馬場を記載する。
・(旧)中央競馬
この2施設は1943年に閉場し、1991年の法改正で完全に廃止されるまで休止扱いであった。
宮崎では戦後は1963年まで地方競馬が開催され、現在はJRAの「宮崎育成牧場」として再整備・運用されている。
・地方競馬
岩見沢競馬場 (北海道岩見沢市 2006年休止)
北見競馬場 (北海道北見市 2006年休止)
旭川競馬場 (北海道旭川市 2008年休止)
足利競馬場 (栃木県足利市 2003年廃止)
三条競馬場 (新潟県三条市 2002年廃止)