芝草
イネ科の草本植物。密生し、ある程度の踏みつけに耐えるために芝生に用いられる。
庭園で地表を覆うために植栽するグラウンドカバーとして最も重要な植物。サッカー場や野球場や競馬場などのグラウンドに敷き詰められるが、芝草は単一の種ではなく、いくつかの種類があり使い分けられる。
日本では、在来種の日本芝と外来種の西洋芝に大きく分けられる。両者は芝生の造成の方法が全く異なり、匍匐茎で横に広がる日本芝はマット状の切芝を張り付けて芝生を造成するが、西洋芝は種をまいて芝生を作る。
日本芝としては、葉が太く硬く荒々しい見た目のノシバと、葉が細く管状に巻き繊細な見た目のコウライシバがある。コウライシバの中でも特に繊細で緻密な品種をヒメコウライシバとして区別することもある。コウライシバは寒さや踏みつけにやや弱いが緻密で整った芝生ができることから、庭園によく使われる。ノシバは暑さにも寒さにも強く、踏みつけに耐え、比較的土壌を選ばないので運動場によく使われる。いずれも冬季は休眠し茶色くなる。日本芝は無施肥でも育つが、肥料を与えるとより色が濃く緻密な芝生ができる。
西洋芝としては、一年中青々とした色を保つ冬型芝(ベントグラス、ライグラスなど)が代表的。成長が早く株立ちするので頻繁に芝刈りをする必要がある。日本芝に比べると病気に弱く、やせた土地や乾燥にも弱いため、日本の環境では水やりや施肥、農薬散布など緻密な管理が欠かせない。また寒さには強いが暑さに弱いため、関東以西の夏場に暑くなる地域では夏枯れしてしまうこともある。日本芝と同様にほふく茎を伸ばし冬は休眠する夏型芝(バミューダグラスなど)もあり、こちらは日本芝の性質に近く比較的丈夫で管理しやすい。
日本芝はシバ属だが、西洋芝のベントグラスはコヌカグサ属、ライグラスはドクムギ属、バミューダグラスはギョウギシバ属であり、それぞれかなり違う植物である。西洋芝は芝生としてだけでなく牧草としてもしばしば用いられる。