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概要編集

植物生長するためには光合成だけでは足りない。(厳密には基質、水生植物ではの場合もある)からのミネラル(無機栄養素)の吸収が必要不可欠である。土地の無機栄養素が少ないことを「やせた土地」、多いことを「肥えた土地」と呼ぶ。


 特に農作物の成長には豊富な栄養素が必要であり、そのために補充としてに撒かれるのが肥料である。どの農作物も葉や茎を育てる窒素、花や実を育てるリン酸、根と茎・球根を育てるカリウムの三つを特に大量に必要とし、これを肥料の三要素と呼ぶ。


それにマグネシウム(苦土)や鉄分、炭酸カルシウムなどの微量成分を加えてより健全な生育を図ることも多い。


マメ科植物は共生した根粒菌の働きにより空気中の窒素を利用できることが知られるが、発芽してから根粒菌の感染まで若干時間がかかるため、初期生育をよくするためには速効性の窒素を与えたほうがよい。


具体的な肥料の例編集

緑肥編集

生育中の緑色の植物を土に混ぜて肥料化すること。主にレンゲクローバーなどのマメ科の植物や、エンバクなどのイネ科の植物が用いられるほか、土中の線虫を殺すマリーゴールドを緑肥化して一石二鳥を狙うこともある。


草木灰編集

 草木を燃やした灰。最も原始的な肥料の一つであり、即効性が非常に高い。草木灰はアルカリ性であり、酸性土壌を中性化する効果が見込める一方、やりすぎるとすぐに土壌がアルカリ化してしまう。焼畑農業は酸性で痩せた火山灰地や熱帯雨林性の土壌を草木灰により農業向きに変えるというメリットがある。


油粕編集

菜種綿大豆椿などの植物からを絞った残り。有機肥料のため、穏やかに長く栄養分が染み出る。水で捏ねて団子状にしたものを盆栽に使用する事が多い。


モミガラ編集

ケイ素を大量に含み分解しづらく栄養分は乏しいが、土壌改良剤として有用で、他の有機質肥料と組み合わせて用いられる。


乾鰯(ほしか)編集

乾燥させた魚で、食用に向かないもの。

後にの搾り滓(粕)も用いられるが、現在はいずれも養殖になる。


堆肥編集

生ゴミや稲わら、落ち葉動物などを完全に醗酵させたもの。コンポスト。上手に発酵させたものは臭いが薄く、土に近い形(腐植)をしている。


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家畜などの糞尿と敷藁を原料とした堆肥。牛糞や馬糞の処理に多く使われている。


乾燥ふん編集

糞尿を水分20%以下に乾燥すると臭気は減少し、微生物の活動が低下することから、長期の保存が可能となる。鶏糞の処理に多く使われている。牛糞などを乾燥して肥料に使った場合、悪臭が問題になりうる。


下肥編集

人間の大小便。栄養素は豊富だが窒素分が多すぎるほか、塩分(ナトリウム)が多すぎるといった問題があり、多用しすぎは禁物。十分に発酵させればサナダムシぎょう虫といった寄生虫も死滅するという。


江戸時代では商品として取り扱われており、公衆便所から盗んで売る奴までいた。武家のものは栄養状態が良いため、庶民の物より高い値段で売れたという。運ぶ沈没したら恐ろしいことになっていたであろう。また、長屋の共同便所の場合は下肥は店子ではなく大家の収入源でもあった。こうした下肥は戦後もしばらく使われていたが、現在は公衆衛生の観点から、日本において人の大小便は肥料として使われていない。


無機肥料編集

1841年にドイツのリービッヒ男爵がリンの化学肥料である過リン酸石灰を発見。さらにフリッツ・ハーバーとカール・ボッシュが1906年に開発したハーバー・ボッシュ法による窒素化学肥料の誕生により、20世紀の人口爆発にも耐えうる農業生産量を確保することが可能となった。植物に直接吸収されるため即効性があり、水耕栽培の肥料としても用いられる。しかし、腐植を形成する能力を持たないのでこれだけを常用すると地力が劣化してしまう。通常の土耕栽培で常用するなら有機肥料との併用は必須である。


関連タグ編集

有機化学 農家 農業 田園 花壇 農耕 土壌 栽培 園芸

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