干物(食品)
その名の通り天日で干したり、火や電気などの人工熱で乾燥させたもの。
乾燥させることで水分含有量が少なくなるのと同時に表面に膜が形成され、腐りにくく長期間の保存に向く。また、干物にすることで独特の食感とそれに伴う旨味が増す効果もある。単なる保存食ではなく、素材を美味しく食べるための加工食品でもあり、日本に限らず世界各国で見られる加工方法である。
乾燥を早めるため、身を開いたり切るなどして薄く加工することも多い。
食品として利用されるものが多いが、一部では漢方薬としても用いられることも。
主な干物
アジの干物
干しダコ
コマイ(カンカイともいう)
エイヒレ
身欠きニシン
干しシシャモ
干しアワビ
干しナマコ
反鼻(はんび、ミミズの干物。漢方薬)
干物(俗語)
昨今では、前述の食品としての干物から転じて、様々な物事を面倒くさがり家の中でだらけ切ってほとんど動かない人に対しても「干物」という表現が使用される傾向にある。
元々は、ひうらさとるの漫画『ホタルノヒカリ』の中で登場した「干物女(ひものおんな)」という用語が発祥とされる。
本作の主人公・雨宮蛍は、仕事から帰ると無気力のまま布団の上でただうだうだと過ごすという生活を送っており、他者との交流を面倒くさがり恋愛からも遠ざかり、いつしか「干物のように枯れ果て」「干物を噛みしめるように魚であった頃の思い出を反芻するだけ」になることが由来とされる。また、長時間横たわる姿を天日干しされる魚類に見立てているともおもわれる。
近年では、サンカクヘッドの漫画『干物妹!うまるちゃん』の主人公・土間うまるが、家では家事を一切せずアニメ・漫画・ゲームなどの趣味に没頭する姿を「干物妹(ひもうと)」と表現されている。