概要
災害も無く平和に過ごし賞味期限切れが近くなると非常食からビールのツマミに変身する代物。唾液を出すのと糖分を補う為に氷砂糖や金平糖、オレンジスプレッドなどが付属しているものもある。ちなみにその食感は薄い生地を多く重ねて出している。
海上自衛隊と陸上自衛隊では乾パンの形状は異なり、陸上自衛隊(陸軍)は携帯に便利なよう小型に、海上自衛隊(海軍)は艦内での収納の際に積み重ねしやすいようにトランプ大のサイズとなっている。これは旧軍時代からの伝統となっている。前者は市場でよく見られる三立製菓のカンパン、後者はカニヤの「本格派ネービーカンパン」として市販されている。
戦闘糧食ではⅠ型で袋入りの金平糖付き小型乾パンと缶入りのウインナーソーセージ、オレンジスプレッドとのセットが、Ⅱ型で大型の乾パンとウインナーソーセージ、粉末スポーツ飲料、ツナサラダ、蜂蜜のセットがあったが、どちらも姿を消しており、現在はⅡ型で新型の金平糖入り小型乾パン、ウィンナーソーセージ、ツナサラダのセットのみとなっている。
ちなみに乾パンが現在のスタイルとなったのは改良が行われた昭和6年ごろからであり、最初期のものは明治ごろに欧米の軍用ビスケットを元に作られている。
元々、日本軍の戦闘糧食として開発されたため、保存食として優秀なのは言うまでも無い。
現在でも自衛隊の戦闘糧食の一つとして配備され、多くの避難場所に常備されている事からも、その信頼性は確かである。もっとも、乾パン(炭水化物)のみに頼った備蓄計画は味の面でも栄養の面でも精神的にも問題である。実際に震災の際に乾パンばかりが被災地に届けられ、三食乾パンで飽きてしまい、食べかけのみでなく未使用のものも大量に廃棄されたということも起きている。家庭に備蓄する際には副菜となる缶詰や野菜ジュース缶、ローリングストックを活用してプロテインなども揃えておくのが望ましい。常温で2ヶ月程度保存出来るロングライフ牛乳も備えておけば万全。
余談ながら、陸上自衛隊のとある駐屯地では残った乾パンを一度揚げて砂糖をまぶしたものがおやつとして出されるとか。
また、三立製菓の乾パンは1粒10キロカロリーで、20粒程度(約200キロカロリー)でも適度に腹がふくれるため、カロリー計算もしやすい。