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お酒は二十歳になってから


概要 🍺🍻編集

穀物とは要するにイネ科植物の種子であって、適切な温度化で管理していると芽を生やす(発芽)。この時、種子に含まれていたある種の酵素が活性化し、種子の中の胚乳が蓄えていたデンプンを糖化し、芽から葉が生まれ光合成が可能になるまでの間のエネルギーを供給する。


これを利用し、穀物を環境管理の上で貯蔵して発芽させ、デンプンが適当に糖化した所で砕き、水や酵母を添加してアルコール発酵させる事でお酒が作れる。

だいたいの穀物で可能なプロセスだが、あまり環境を選ばずに育ち発芽の際の糖化の度合いが強い大麦がこれに一番適している。大麦醸造酒(ビール)が栄えたのはそのためである。


種類編集

大まかに二種類に大別される。


エール編集

常温(15~25℃)で短期間上面発酵させて醸造したビール。古代ビールもこのエールに大別される。

硬水で活動し二糖類を発酵に利用せず、上に浮遊する出芽酵母の活性によって生成され、果実を思わせる華やかで複雑な香りと、豊潤でフルーティーな味わいが楽しめる。

本来「エール」はホップを加えない醸造、「ビール」はホップを加えての醸造を示していたが、15世紀にホップがイギリスに伝わって以来、エールのほとんどにはホップが使用されている。それまではハーブ(ヤチヤナギ)や香辛料で苦味をつけていた。

醸造が容易で時間がかからないためコストは安く、イギリスに紅茶が普及する前は“庶民の飲み物”として親しまれていた。イギリス、アイルランド、ベルギー、ドイツ、カナダ、アメリカ合衆国などで愛飲される。


ちなみにこの酵母の残りかすを利用して誕生したのが、あのマーマイトである。


ラガー編集

低温(10℃以下)で熟成させながら長期間の発酵を行う、ドイツ・バイエルン地方発祥のビール。歴史は16世紀前後からと、エールに比べ歴史は浅い。

軟水でも活動し二糖類を発酵に利用する酵母を使用。エールとは反対に酵母が下層に沈み込み下面発酵と呼ばれる。

醸造にホップを用いることで、防腐効果を働かせ、また程よい苦みと香りを醸すため、すっきりとした“キレ”と飲みやすさが特徴として表れる。

大掛かりな醸造器財が必要で、大量生産・大量販売の可能な大資本が市場に参入し、世界のビール生産量の大部分を占める。日本でおなじみのビールは、ほとんどこのラガーに分類される


歴史編集

ビールは非常に歴史の古い酒であり、その起源は農耕の開始とほぼ同時とも言われ、シュメール人(初期メソポタミア文明)のギルガメシュ叙事詩などにも登場する。

シュメール人は乾燥させた大麦の麦芽を粉末にして水で練り、表面だけ固くなるよう焼いたバッピル(ビールブレッド)を千切って水に浸して煮沸し、甕に入れて放置し、自然に発酵して出来たビールの上澄みをストローで飲んでいた。

古代エジプトでも紀元前3000年頃からメソポタミアとほぼ同様のビールが造られ、「食物」を表すヒエログリフがビールとパンにより構成されるなど、食物の象徴とも言える地位にあった。ピラミッド建設の作業員には手当としてビールとパンが支払われ、「ピラミッドはビールの力で作られた」とも言われる程である。


アルコール飲料なため、要するに冷蔵技術未発達時代に、保存料の類が添加されていない真水だと藻が生えたりして腐敗してしまうため、「藻が生えない保存が効く」特性を活かし、長期航海の海賊や海兵の水分補給要員でもあったが、南海だと気が抜けてアルコール分が飛びやすかったビールは酸っぱくて不味くなるらしく、かといってウイスキーやワインやブランデーだとコストも高く、南海ではサトウキビからできるラム酒が雑味対策もコスト対策も発達すると、間も無く海賊や海兵にはラム酒が好まれ、ビールも海上ではラム酒に締め出されたも同然だったらしい。


因みに現在主流である、ビールブレッド製造を伴わない製法(大麦麦芽の粉末をそのまま湯に浸して糖化、アルコール発酵させる醸造法)は北方のケルト人ゲルマン人達の考案に拠るとされている。



日本とビール編集

日本人がビールに触れたのは江戸時代後期から幕末期が最初と言われている。

日本化学の祖・川本幸民オランダからの献上品を入手して気に入り、1853年(嘉永6年)、自宅でビールを試醸し、浅草で試飲会を開催した。

1870年(明治3年)、横浜の山手居留地でアメリカの醸造士ウィリアム・コープランドによって日本初の醸造所「スプリングバレー・ブルワリー」が設立され、これを機に日本各地でビール酒造会社が誕生していく。

その後、文明開化の波に乗って徐々に伝播を開始。当初は「ざるそば1枚=1銭」の時代に「ビール1本=125銭」と高級品であったが、時代が下るにつれて低価格化。戦後を超えて高度成長時代に入ると、「天丼1杯=150円」に対して「ビール1本=125円」にまで値下がりし、“安くて飲みやすい酒”として日本酒を大きく突き放し、日本の酒文化の“顔”となった。

しかし近年では不況と相次ぐ酒税増税により、発泡酒第三のビールなどが台頭し、国内消費は冷え込んでいる。


ビールは冷やして飲む?編集

芸術家の北大路魯山人は、風呂から上がってすぐのタイミングでキンキンに冷やしたビールが出てこないと使用人を激しく叱責し、何人も辞めさせたという。


冷やしたビールを喜ぶのは実は日本だけではなく、北米東南アジア諸国も同様にきつく冷やす習慣がある。タイに至っては冷やした上にを入れる。中国では近年までビールを室温で飲んでいたが、日本や北米と同様にきつく冷やす嗜好が一般化している。


ビールの本場であるヨーロッパでは、元々、地下貯蔵庫で適度に冷やす程度であった。これは、ヨーロッパで伝統的に飲まれてきたのがエールビールであったことが理由。エールビールの魅力である華やかな香りとフルーティな飲み口を楽しむには、冷やしすぎは厳禁なのである。


近年はアメリカ文化の影響による嗜好の変化から、ヨーロッパでもラガーを冷やして飲む習慣が一般化しているが、日本やアメリカほど極端に冷やすことは少ない。ヨーロッパは南欧を別にすると元の気候が冷涼なのでキンキンに冷やして飲みたいほど暑くなることは滅多になかった...のだが、近年は地球温暖化の煽りで気候が激変し、中欧西欧も度々35度超えの猛暑に見舞われるようになってしまっており、今後はドイツなども北米と同じような嗜好に変わっていくかもしれない。


ラグビーとビール編集

ラグビー強豪国にはビール党が多く、特に富裕層のサポーターが多いため、試合観戦のたびに気前よく呑んで盛り上がっているという。

またラグビーワールドカップには、「ビールの消費量が開催期間中は6倍に増える」というジンクスが存在する。事実、2019年の日本大会では海外観戦客たちと彼らの熱に中てられた日本人サポーターにより、試合観戦のたびに想定以上のビールが飛ぶように注文されたという。



国内メーカー編集

キリンビール

サッポロビール

サントリー

アサヒビール

オリオンビール


海外の銘柄編集

カールスバーグ(カールスバーグ)

ギネス(ディアジオ)

クローネンブルグ(カールスバーグ)

グロールシュ(アサヒビール)

コロナビール(アンハイザー・ブッシュ・インベブ)

シメイ(トラピスト修道院)

シンハー(ブンロート・ブリュワリー)

ステラ・アルトワ(アンハイザー・ブッシュ・インベブ)

チャーン(タイ・ビバレッジ)

青島啤酒(青岛啤酒股份有限公司)

ハイネケン(ハイネケングループ)

バドワイザー(アンハイザー・ブッシュ・インベブ)

ピルスナーウルケル(アサヒビール)

ビンタン(ハイネケングループ)

ミラー(SABミラー)

ラバット(ラバット)

レーベンブロイ(アンハイザー・ブッシュ・インベブ)


等々編集


pixiv Spotlight編集


余談編集

新疆ウイグル自治区ではミルクビール(奶啤)という伝統飲料が作られているが、名前とは裏腹にノンアルコールの乳酸菌飲料である(一応、麦芽やホップが原料として使用されている)。


関連タグ編集

飲み物  ホップ

ビールのポスター スーパードライ ヱビスビール プレミアムモルツ ビール擬人化 ホッピー


ビールかけ


ミルウォーキー・ブルワーズ:チーム名が「ビールの醸造者たち」という意味で、本拠地もビール製造が盛んだったことから由来。

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