🥫概要
固形食材や調理済みの食品を調味液と一緒にしたもの、もしくは液状の食材や飲料を缶に詰め、加熱殺菌してふたを閉じ、長期保存に耐えうるようにしたもの。
長期間の保存がきくので保存食や非常食に向いている。また加熱殺菌の副次効果として、食材に熱が通り味がよく染みるといういう利点がある。
🥫歴史
缶詰開発のきっかけとなったのは、かのフランス皇帝ナポレオンであった。
ナポレオンの「兵士の行軍に携行できる、塩蔵や干物などに代わる新たな食材の保存方法を編み出したものに賞金を授ける」とのお触れに答え、瓶詰めを開発したのが、パリの菓子職人アペールである。
のちに容器は瓶から缶に替わったが、「容器に入れた食材を加熱殺菌し、熱いうちに封をする」というアペールのアイディアそのものは変化していない。
なお缶と切っても切り離せない「缶切り」が開発されたのは、缶詰が開発されてから数十年後のことであった。それまでは缶詰を開けるのに鑿とたがねを使っていたり、銃で撃って開けたりしていたという。
🥫缶詰のいろいろ
いま日本で売れている缶詰の9割近くは、飲み物の缶詰、すなわち缶飲料である。残りの1割が食品である。業務用のものでは調味料や食用油の缶詰もある。缶詰はその製法上調味液を入れて加熱殺菌してしまうので、当然ながら生の食材は缶詰にできない(生のニシンを塩漬けにして缶の中で発酵させる「シュールストレミング」というものがあるが、殺菌工程を経ていないのでJASの規格上は缶詰ではない)。
おもちゃや種を植えた培養土など、食品ではないものを詰めた缶もあるが、缶詰全体の市場から見ればごく少数派に過ぎない。一種のジョーク商品として、「富士山頂の空気」や「摩周湖の霧」、「桜島の火山灰」を缶に入れたものなども土産物として販売されている。
🥫比喩的な使い方
- 仕事が忙しくてひとつの建物または部屋の中にこもりっきりになることを「缶詰めになる」と言うことがある。由来は缶詰ではなく、旅館にこもること(館詰め)からである。
- 人が混雑してぎゅうぎゅう詰めになることを日本では「すし詰め」というが、欧米では「缶詰めのイワシのよう」という。
🥫関連タグ
シュールストレミング:缶詰としては例外的に、加熱処理をしないでふたをするため缶の中で発酵が進む。