概要
マメ科マメ亜科に属する一年草、またはその種子(豆)の呼称。英語では「soy」または「soybean」。Soyの起源は薩摩弁で醤油を表す「そい」で、西洋では醤油の原料としてまず知られたことによる。種皮が黒い「黒豆」、山形県特産の「だだちゃ豆」などの品種を含む。
原種は日本を含む極東地域に自生するツルマメで、縄文時代の日本をはじめ中国、朝鮮半島など各地で独立に栽培化がなされたと思われる。
日本や中国では米・麦・粟・稗とともに五穀とされ、伝統的に主要食用作物として位置付けられる。世界的には家畜の餌、油脂原料としての利用が中心で、各国の経済発展による油脂と食肉の消費量拡大につれ、小麦、トウモロコシ、米、ジャガイモなど他の主要作物をしのぐ突出した生産量の伸びを示している。
利用
世界的には油(大豆油)用としての栽培が最も多い。油を搾ったあとの搾りかす(脱脂加工大豆)は家畜の飼料になるほか、醤油の原料になるのも通常は脱脂加工大豆である(油を絞る前の丸大豆から醤油を作ることも可能であるが、脱脂加工大豆の方が醸造効率がよい)。もちろん食用としても用いられるが、大豆食文化のある東アジアや東南アジア以外での利用は限られる。
日本においては熟した豆を炒り豆、煮豆にして食べるに留まらず、豆腐、納豆、味噌、醤油など食材や調味料の原材料として重要。また未成熟のものは「枝豆」と言われ、ビールのお供として非常にポピュラーである。発芽させて、もやし(大豆もやし)として食べることもある。
欧米の食文化ではなじみの薄い食材であり、直接食べるのではなく醤油の原料や豆腐の原料としての流通が中心であるが、代替肉である大豆ミートの素材として注目を集めている。
栄養
タンパク質をはじめ、脂肪、鉄分、カルシウムなど栄養価が非常に高く、植物性食品としては唯一、牛乳や卵と同等のアミノ酸スコア(100点)を持つ。日本やドイツでは「畑の牛肉」、アメリカでは「大地の黄金」とも呼ばれている。
また、女性ホルモンであるエストロゲンに化学構造が似たイソフラボンが豊富である。
ただし他の豆類と同じく有毒な酵素(トリプシンインヒビターなど)を含んでいるため加熱などの調理が必須で、生では食べられない。また単に茹でただけでは消化が悪く、上記のような複雑な調理方法が発達した。
備考
大豆の組成を1から肉に近いものにするために「豚の遺伝子を組み込んだ大豆」が研究されており、もし実現すれば動物と植物のハイブリッドとも呼べる新種の大豆が食卓に並ぶ可能性もある。こちらを参照。