概要
被子植物のうち、単子葉類を除く植物。発芽時にその名の通り2枚の葉(子葉)を出す(セツブンソウなど少数の例外はある)。
単子葉類と比較すると、葉脈は網状脈である、花の各部の個数が2または5の倍数となる、根は主根と側根に分かれる、維管束が円形に並ぶ中心柱を持つ....などの特徴を持つことが多いが、形態が極めて多様なため当てはまらない例も多く、子葉の数以外の共通点を挙げるのが難しい。それもそのはず、進化的には上記の特徴はいずれも被子植物が元々持っていた特徴で、単子葉植物が後から派生したのである。
分子系統解析に基づく現行の分類体系(APG分類体系)では、単子葉植物が分かれた後に独自に進化したもののみを真正双子葉植物と呼び、単子葉類のメイングループから早くに分岐した基部被子植物(モクレン、スイレン、クスノキなど)と分けている。
さらに、真正双子葉類の中でもバラ類(バラ科、マメ科、ウリ科、アブラナ科など)とキク類(キク科、キキョウ科、セリ科、ナス科など)の2群が中核で、これらは真正双子葉植物の中でもとりわけ多様化が著しい。
双子葉類の樹木は「広葉樹」と呼ばれ、樹木の種類の大半を占めている。
おおざっぱな分類
詳しく書くと膨大になるので、マイナーな目や科を省くなど大幅に簡略化しているが、それでもこれだけの多数の分類群が属する。
※基本的に最新のAPG IV(2016年)によるが、APG III(2009年)、APG II(2003年)など古い版と異なる部分はその旨注記を入れる。
基部被子植物(APG IIでは基部双子葉植物)
(単子葉類が分岐する前に双子葉類のメイングループと分岐したもの。一般的に花被や雄しべ、心皮の数が多く、発達した花床を持つ)
など
モクレン類
真正双子葉類の推定姉妹群
- マツモ目(マツモ科のみ)
基部真正双子葉類
(真正双子葉類のうち、中核的なグループであるコア真正双子葉類に属さないもの。基部双子葉植物と共通する形質を有し、古い分類では多心皮類として基部双子葉植物とひとまとめにされていた)
- キンポウゲ目(キンポウゲ科、ケシ科、アケビ科、ツヅラフジ科、メギ科、フサザクラ科など)
- ヤマモガシ目(アワブキ科《APG IIIではアワブキ目を設けていた》、ハス科、スズカケノキ科、ヤマモガシ科)
- ツゲ目(ツゲ科など)
など
コア真正双子葉類
(花弁とがく片が分化した花など、双子葉類らしい形質を進化させたグループ。双子葉類の大半を占める)
バラ上群
など
バラ類
- ブドウ目(ブドウ科のみ)
COMクレード(マメ群かアオイ群か未確定)
マメ群《APG IIでは真正バラ類Ⅰ》
- マメ目(マメ科、ヒメハギ科など)
- ウリ目(ウリ科、シュウカイドウ科、ドクウツギ科など)
- ブナ目(ブナ科、ヤマモモ科、クルミ科、モクマオウ科、カバノキ科など)
- ハマビシ目(ハマビシ科など)
- バラ目(バラ科、グミ科、ニレ科、アサ科、クワ科、イラクサ科など)
アオイ群《APG IIでは真正バラ類Ⅱ》
- アブラナ目(アブラナ科、フウチョウソウ科、パパイア科、ノウゼンハレン科など)
- アオイ目(アオイ科、フタバガキ科、ハンニチバナ科、ジンチョウゲ科など)
- フウロソウ目(フウロソウ科など)
- フトモモ目(フトモモ科、アカバナ科、ミソハギ科など)
- ムクロジ目(ムクロジ科《旧カエデ科、トチノキ科を含む》、ウルシ科、ミカン科、ニガキ科、センダン科など)
など
キク上群
- ナデシコ目(ヒユ科《旧アカザ科を含む》、ナデシコ科、タデ科、オシロイバナ科、ヤマゴボウ科、イソマツ科、ハマミズナ科、ヌマハコベ科、スベリヒユ科、ツルムラサキ科、サボテン科 など)
- ビャクダン目(ビャクダン科、ツチトリモチ科など)
など
キク類
- ミズキ目(ミズキ科、アジサイ科など)
- ツツジ目(ツツジ科、リョウブ科、ツバキ科、ハナシノブ科、エゴノキ科、マタタビ科、サクラソウ科、カキノキ科、サカキ科《APG IIではモッコク科、APG IIIではペンタフィラクス科》、ツリフネソウ科など)
シソ類《APG IIでは真正キク類Ⅰ》
- ムラサキ目(ムラサキ科のみ)
- リンドウ目(リンドウ科、アカネ科、キョウチクトウ科、マチン科、ゲルセミウム科)
- シソ目(シソ科、キリ科、ゴマ科、クマツヅラ科、モクセイ科、アゼナ科、オオバコ科、ゴマノハグサ科、ノウゼンカズラ科など)
- ナス目(ナス科、ヒルガオ科など)
- アオキ目《APG III以前はガリア目》(アオキ科《APG III以前はガリア科》、トチュウ科)
- クロタキカズラ目(クロタキカズラ科、オンコテカ科)《APG IIIまでは所属不明とされていた》
など
キキョウ類《APG IIでは真正キク類Ⅱ》
- モチノキ目(モチノキ科、ハナイカダ科など)
- セリ目(セリ科、ウコギ科、トベラ科など)
- マツムシソウ目(スイカズラ科、ガマズミ科《APG IIIまではレンプクソウ科》)
- キク目(キク科、クサトベラ科、ミツガシワ科、キキョウ科など)
など