概要
ヤマモガシ目スズカケノキ科スズカケノキ属(Platanus)の樹木の総称(スズカケノキ科に属するのは本属のみ)。南北アメリカ大陸を中心に分布する。
日本で見かけるのは、ユーラシア(中央アジア〜西アジア〜バルカン半島)原産のスズカケノキと、北アメリカ大陸原産のアメリカスズカケノキ、およびそれらの交配種であるモミジバスズカケノキのどれかであることが多いが、モミジバスズカケノキが最も一般的である。
果実は痩果が多数が集まった集合果。スズカケノキの名はこの形が山伏衣装の鈴懸を思わせることから。スズカケノキはこれが3~7個まとまってぶら下がるが、アメリカスズカケノキは1個ずつぶら下がる。モミジバスズカケノキの場合はその中間で2~3個が普通。
大半が落葉高木で、葉に深い切れ込みを持つ。ただし、ベトナム・ラオスに分布するPlatanus kerriiのみ常緑で、葉に切れ込みがない全縁である。
モミジバスズカケノキ
最も一般的なプラタナスで、日本全土に公園樹や街路樹として広く植栽される。大きく薄くまだらに剥がれる滑らかな樹皮が特徴的で、葉がない冬でもすぐに見分けがつく。
丈夫な木で、固く栄養の乏しい土壌に耐え、成長がとても早いことから街路樹として好まれた。大気汚染にも強いことから、公害が社会問題になった昭和40年代には特に流行した。成長が早すぎて剪定が大変なことと、アメリカシロヒトリの被害が酷くなったため、近年は新たに植えられる事は少ないようだ。
独特の匂いがする(雨の後には特に強くなる)のと、毛虫がつきやすいこと、秋の落ち葉が大量なため、この木を嫌う人もいる。剪定にとても強く、かなり大胆に枝を切り落としても枯れることはない。冬時には、強い剪定を受けてほとんど幹だけの丸裸になったプラタナスをよく見かける。