概要
真正双子葉類キク類のキク目に属する植物の一群。世界ではおよそ950属、2万種以上が知られる。被子植物の中でも、単子葉類のイネ科と並び最も進化し繁栄している分類群とされる。
陸上植物の科の中ではラン科と並び最も種数が多い。生態の多様性も著しく、熱帯のジャングルから北極圏のツンドラ、乾燥帯から湿地まで陸上のいたるところに生育し、ミズヒマワリのような抽水植物もある。雑草、野草、観賞用の草花、食用の野菜、薬用の薬草など、身近な植物の多くがキク科に属している。ただしほとんどが草だが、ユリオプスデージーやスカレシア、ワダンノキなど木になるものもある。
12亜科に分けられるが、タンポポ亜科(タンポポ、チコリ、コオニタビラコ、レタスなど)、アザミ亜科(アザミ、ゴボウ、ベニバナ、ヤグルマギクなど)、ムティシア亜科(ガーベラ、ノブキなど)、そしてキク亜科の4亜科が主要なグループである。その中でもキク亜科の種数が約1万6200種と圧倒的に多い。
特徴
最大の特徴は、多数の小さな花が集まって一つの花に見える集合花を着けること。
キク亜科の植物の多くはマーガレットやヒマワリの花のような特徴的な形の「頭状花」をつける。頭状花の中心部は花弁のない筒状の管状花で、周辺を1枚の大きな花弁が発達した舌状花がぐるりと取り囲む。もっともキク亜科であってもヨモギやリアトリスやフジバカマなど舌状花を欠き管状花のみからなる種も少なくはない。ガーベラなどのムティシア亜科も同様の特徴を持つ。
アザミ亜科の集合花は管状花だけで構成される。ヤグルマギクの花は舌状花と筒状花があるように見えるが、実は舌状花はなく、外周に並ぶのは長い筒状花である。
タンポポ亜科の集合花は舌状花だけで構成されているものが多いが、ガザニアのように頭状花をつけるものもある。
一般に、葉がギザギザになっている種が多い。しかし、滑らかな形の葉を持つツワブキやハルジオンなど当てはまらない例も多くある。
食用としての利用
キク科の全体的な傾向として、無毒の種が多い。野菜として一般的なレタスやシュンギクをはじめ、ヒマワリの花やハルジオンの葉、セイタカアワダチソウの茎などあまり食用にされないものも含め、多くのキク科の植物が可食である(美味しいかどうかは別にして)。
日本では一般的には草花として扱われるマリーゴールドやコスモスは野菜として栽培している例もある。掘り上げたダリアの塊根は日本では普通捨ててしまうが、キクイモと同じように料理して食べることができる。
もっとも、オナモミやノボロギクなど全草に毒を含む(オナモミは薬用として少量摂取することがあるが)有毒植物も少なくはない。食用であるフキも毒を含んでおりアク抜きをしないと食べられない。また、キク科植物に対してアレルギーを持つ人もいる。
キク科の植物
主として観賞用に栽培される種
- エーデルワイス
- エキナセア
- エゾギク(アスター)
- ガザニア
- ガーベラ
- キク(イエギク)
- キンセンカ
- コスモス
- キバナコスモス
- シオン
- シネラリア
- 宿根アスター(クジャクアスターなど)
- ダリア
- ツワブキ
- ノコギリソウ
- ヒナギク(デイジー、デージー)
- ブルーデージー
- ヘレニウム
- マトリカリア
- ミヤコワスレ(ミヤマヨメナの園芸種)
- ムルチコーレ
- ユリオプスデージー
- リアトリス
- ローダンセ
緑肥用と観賞用を兼ねて栽培される種
食用と観賞用を兼ねて栽培される種
主として食用として扱われる種
主として雑草扱いされる種
野菊と呼ばれることのある種