エルバフ
えるばふ
※この記事は単行本未収録の重大なネタバレ情報を含みます。 |
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「偉大なる航路(グランドライン)」後半の海「新世界」にある巨人族の王国。作中では「村」という規模の地域名として扱われることもある。
「ウォーランド」という呼ばれ方もしており、王子ロキ曰く、かつて戦争に明けくれていたとのこと。
有望な巨人族の戦士を数多く輩出してきたことで有名であり、100年以上前の『巨兵海賊団』の伝説も相まって、世間では『世界一の強国』『巨人族の総本山』とも称される。
世界政府に加盟しているかは現時点では明らかになっておらず、新世界編の世界会議には未出席である。
作中では麦わらの一味がリトルガーデンに上陸した時点でその存在が明かされ、新世界編突入後にはビッグ・マムの過去編やシャンクスとユースタス・キッドの戦いの舞台として何度か描かれてきた。そして、エッグヘッドでの戦いを終えた麦わらの一味が上陸したことで、その全容が明かされ始めている。
国の特徴
中央にあるユグドラシルや要塞を彷彿とさせる「宝樹アダム」が特徴で、北欧を感じさせる気候・植生・文化を持つ。巨大樹の中層には海に向けられた大砲や下層に届くまで突き刺さった大剣、滝などが確認されている。
下層は「冥界」、エルバフの神話においては「第一世界」と呼ばれ、大地そのものが監獄及び処刑場の役割を担っている。険しい雪山と樹齢が千年を超える大木たち、そして各山に住む屈強な猛獣たちが罪人認定された者たちを囲い込み、死に至らせている。
巨人族の島であるため、建築物はすべて彼らに合わせた規模になっており、島に生息する動物や植物も規格外のサイズである。
島周辺の海域には、船を丸飲みしかねない程巨大な魚たちが泳いでいる。また、エッグヘッドとエルバフの間の航路には「眠霧地帯」という海域があるらしく、そこを通った者は眠ってしまう模様。
巨人族
世間一般では「巨人族」と言えば誇り高いエルバフの戦士が有名であり、ビッグ・マムによれば「エルバフの巨人族を味方にできれば、他の四皇たちを倒して海賊王になれていた」とのこと。海軍が人間の巨大化実験に躍起になるのもうなずける。
100年以上に『巨兵海賊団』がとあるきっかけで解散してからはマザー・カルメルの進言を得て人間との平和的な交流へと移行していき、その有り余る力と豊かな自然を生かし、材木の輸出を手掛けていることが窺える(ただし50年以上前の描写)。
しかし、戦士としての誇りを忘れ去った訳ではなく、現在も若い戦士たちが新巨兵海賊団を結成したり、赤髪海賊団が上陸すると快く受け入れて宴会を開くなどしている。
全巨人族がエルバフの出身というわけではなく、エルバフの影響で巨人族全般が闘争心が高いと誤解も受けているらしい。他の巨人族の国出身のハグワール・D・サウロは同じ枠に入れられるのを嫌がっていた。
しかし、巨人族の国同士の繋がりは強固な様で、エルバフで起きたビッグ・マムと英雄ヨルルの一件は瞬く間に全世界の巨人族の国に伝わっている。
信仰
巨人族の戦士たちは皆、戦いの神「エルバフ」を信仰している。その神は常に正しき者に加護を与えて生き残らせると伝えられており、もし巨人族同士が互いに引けぬ争いを始めた場合、どちらかが死ぬまでの決闘が始まる。ルフィたちがリトルガーデンで出会ったドリーとブロギーはその決闘の最中だった。
同時に太陽の神「ニカ」に関する伝承もあり、その影響か巨人族の戦士たちは世界政府の上層部である五老星に「因縁深き者たち」と称されている。また、中には「太陽神」を自称する巨人族も数人登場している。
他にも「冬至祭」という太陽への感謝を示す行事があり、その際にはセムラを食してから12日間断食し、期間を終えると盛大な祭りを開くという。
主な施設
かつてマザー・カルメルと彼女が受け入れた孤児たちが住んでいた施設。63年前の冬至祭準備期間中に起きた悲劇により他の島に移設され、その後更なる惨劇に見舞われたことにより完全崩壊した。
- 港の酒場
文字通り港にある、巨人族にとっては小さな酒場。
本編では赤髪海賊団と巨兵海賊団が宴会をしていた。
- 留置所
冥界の断崖絶壁の地に建てられた、巨人族を拘束するための施設。城のような外観をしている。
通常の人間にとって、部屋の1つが広大な土地に感じられる程の広さとなっており、部屋の持ち主次第では下記のような国が出来上がる。
- ブロックの国
"太陽神"を名乗るある悪趣味な巨人が留置所内の一室に作り上げた世界。麦わらの一味のエルバフでの冒険はここから始まった。
「ビッグステイン城」といった建築物や地面、植物がすべて巨人族サイズのレゴブロックで作られており、天井から綿を吊り下げることで雲がある空を再現している。また、四方をマジックミラーで囲むことで風景が永遠に続くように見せると共に、世界観を崩さないようにしている。あくまで正体は巨人族サイズの部屋であるため、風は一切吹かず天候にも変化は無い。
街には世界の製作者が意図的にエルバフの侵入者に仕立て上げた人間たち「生人形(リヴドール)」が滞在している。また、エルバフの動物も何匹か投入されており、それぞれが神様と呼ばれている(ウサギ=耳神様など)。
鏡の一辺の外側は製作者の部屋となっており、そこは神殿と呼ばれている。ここにも巨大な蛇やカラス、ネズミといった生物たちがいる。生人形になる者たちはここでエルバフの戦士風の装束に着替えさせられる。
エルバフ出身者
巨兵海賊団
元巨兵海賊団の二人の船長。通称「青鬼のドリー」「赤鬼のブロギー」。作中で初めて登場したエルバフの巨人族たち。
些細なことから102年に渡りリトルガーデンで決闘を続けてきた。
元巨兵海賊団の船員。エニエス・ロビー編で登場。
ドリーとブロギーが決闘を始めてから50年経ってもどちらも戻って来ないことに心配し、52年前に二人の元へ赴こうとしたところを海軍に捕らえられ、世界政府から「インペルダウンに捕らえられたドリーとブロギーを解放したくば100年ここで門番をせよ」と嘘を吹き込まれていた。50年目に麦わらの一味(とその協力者)が攻め込んで来て敗れてしまうがウソップからドリーとブロギーが今でも2人がリトルガーデンで決着のつかない決闘を続けていると言う真実を聞かされ、世界政府を裏切る。
エニエス・ロビー崩壊後は、一時ウォーターセブンで世話になった後にエルバフに帰還。
元巨兵海賊団船長。世界最高齢の戦士で、巨人族の英雄。
地面につくほどの長いひげを生やした2人の老戦士。ヤルルは戦士としての誇りを重んじ、長生きではなく死に様こそが戦士の証としている。笑い声はヤルルが「ボジャジャジャ」、ヨルルが「ザバババ」。
ヨルルは幼い日のビッグ・マムことシャーロット・リンリンが食いわずらいを起こして正気を失い暴れたのを止めようとするも、返り討ちを受け死亡してしまった。それがきっかけとなり世界中の巨人族はリンリンを憎悪している。
新巨兵海賊団
新巨兵海賊団船長。
エルバフ出身の新世代の戦士。例の事件で彼もまたリンリンを憎悪している。
かつてはバギーズデリバリーに勤めていたが、ドレスローザでの一件後にバギーの元を離れ、ルフィの子分として麦わら大船団の傘下に加わる。
新巨兵海賊団船医。ハイルディンの幼馴染で、例の事件以前はリンリンと仲良しだった。
巨人族の女性。武器は斧。
新巨兵海賊団船大工。ハイルディンの幼馴染。かつて人間屋で売られそうになっていたが、麦わらの一味とシルバーズ・レイリーの大暴れにより難を逃れた。武器はハンマー。
なお同名のキャラがアニメオリジナル回でも出ているがこちらは人間。
新巨兵海賊団航海士。63歳。
長髪で剣を持った人物。
新巨兵海賊団コック。63歳。
どっしりとした体格で金棒と顔のついた盾を持つ人物。
麦わらの一味はまだ訪れていないが、偉大なる航路の前半の島リトルガーデンで元巨兵海賊団の2人の船長ドリーとブロギーに出会い、彼らからエルバフの存在を聞いている。その後エニエス・ロビーでは門番をしていたオイモとカーシー、新世界にあるドレスローザではハイルディンと出会い、それぞれ共闘している。
麦わらの一味の狙撃手ウソップは何度かエルバフに行きたいと話しており、いつか麦わらの一味も上陸するかもしれない。
ホールケーキアイランド編では四皇の1人である"ビッグ・マム"ことシャーロット・リンリンが彼女の恩人マザー・カルメルと共に暮らした場所として登場。当時にはマザーが営む「羊の家」があり、島の主な外観や「冬至祭」という催しがあることも判明した。
エッグヘッド編では、麦わらの一味の前に現れたベガパンクによってロビンに縁のある人物がエルバフで生存していることを示唆され、同時にオハラの学者たちが残した大量の本もエルバフに保管されていることが明かされた他、ベガパンクの提言により、麦わらの一味の次の目的地はエルバフに決定となった。
そして、エッグヘッドで戦闘が始まった頃にユースタス・キッド率いるキッド海賊団がエルバフの海域に到達。だが、島を目前にして先に上陸していたシャンクス率いる赤髪海賊団とその傘下たち、及びリトルガーデンから帰還していたドリーとブロギーに道を阻まれ、キッド海賊団は手に入れていたロード歴史の本文の写しを全て奪われ、ヴィクトリアパンク号も破壊されて海に沈んでしまった事で、キッド海賊団は壊滅し、ひとつなぎの大秘宝の争奪戦から脱落する事となってしまった。
- 国の元ネタについて
このエルバフについて、元ネタだと思われているものについてだが、何かと北欧に伝わるものが多い。例えばバイキングはおそらく国、もといそこの出身の人々の雰囲気共々元ネタになっているとおもわれる。また、王子の名も北欧神話随一のトリックスター「ロキ」に因むと思われる。
さらに、先述した冬至祭で食べられていお菓子「セムラ」は、実はスウェーデンやフィンランドといった、北欧にメジャーに広がっている実在のお菓子である。
そして、サメを発酵させて作るエルバフの非常食「ハカール」も、独特な臭いを放つところまでアイスランドで作られるものと全く同じである。
- ついに明かされるその強さ
偉大なる航路突入時期から登場し、しばらく出番のなかったドリーとブロギー。
当時はMr.3の狡猾な罠によって本来の力を出し切れず絶体絶命の危機に追いやられたがルフィ達の船出を邪魔する島喰いを一撃で撃破し、その力を見せつけた。
そして現在、エッグヘッド編にて再登場した彼らは自分達が崇めていたという神ニカの力を解放したルフィを援護する為に参戦。
ニカの力を解放したルフィでも一筋縄では行かない実力を誇る五老星と渡り合い、古の海賊団としての力を存分に振るい大暴れ。
巨兵海賊団、引いてはエルバフの伝説的な強さを示す結果となった。
- 宝樹アダムとの関係
フランキーが戦争に明け暮れた国で残っていた樹としてアダムの名を挙げている。そして、本編に登場したロキが磔にされている大樹が宝樹アダムではあることが判明したが、フランキーが語っていたその国がエルバフかどうかについては不明。
- 冥界の猛獣たち
ロキが友と称した山の主たちや、ハイルディンが仕留めたヘラジカといった猛獣たちは、「ONEPIECE FILM STRONGWORLD」の冒険の舞台「メルヴィユ」に解き放たれていた動物たちと同じである。