概要
花卉とは本来草花のことだが、「広辞苑」では「観賞のために栽培する植物」、農林水産省の定義では「観賞の用に供される植物」としてグラウンドカバー(芝など)、花木、観葉植物なども含めている。
卉は「屮」を三つ合わせた漢字で草本を意味する(常用漢字に含まれていないので花きと表記することもある)。中国語でも花卉(huāhuì)と表記するため、pixivでは中華系の投稿者による作品が多い。
本項では園芸の一分野としての花卉について解説する。
花卉園芸
観賞用植物を栽培する園芸分野。範囲がかぶる造園分野とは「造園・花卉」としてひとまとめにされることもある。観賞用であってもアクアリウムの水草は含まない(水産業として扱われる)。
産業(農業)としての花卉園芸(生産花卉)は、切り花、鉢物、花壇用の苗物、球根といった分野がある。極めて嗜好性が強い(生活必需品ではない)消費財であることから品目・品種が膨大で、流行が短期間で移り変わっていくという特色がある。よって花卉は多品種少量生産であり、その時々の消費者のニーズに敏感に応えることが要求される。周年出荷(一年中同じ品目を生産し続けること)のため温室などを使った加温栽培や電照菊など、高いコストをかけた栽培も行われている。
農林水産省の統計によると、花卉園芸で生産が多い品目は上位からキク、洋ラン、ユリ、バラである。
熱心な個人愛好家が多いのも花卉園芸の特徴である。バラやラン類、サボテンなどには特にマニアが多数おり、種苗メーカーからは毎年多数の新品種が売り出されるが、個人育種家により見出された品種も多い。
切り花や種苗生産に比べれば生産額は微々たるものだが、各地のヒマワリ畑やラベンダー畑といった観光用のお花畑も花卉園芸の一分野である。新潟県、富山県のチューリップ畑はもともと球根生産用だが、有名な北海道富良野市のラベンダー畑は本来は香料生産用であり、観賞用ではなかった。