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中国語

ちゅうごくご

中国語は、汉語・華語とも呼ばれている、東アジアで話されている言語。北京語とそれに基づく中国大陸の普通話および台湾の国語、広東省や香港・マカオなどにおける広東語、福建省や台湾南部における閩南語などがある。北京語は母国語者9億人の最大の言語であり、また広東語は広く話される国際的な言語でもある。
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概要編集

ギネスブックによれば、現存する世界最古の言語

多くの言語および方言を含め、全体で話者人口は13億人を超えるという。

ラテン文字を扱う西洋人にとって、漢字で構成される中国語日本語と並んで難解な言語と言われている。


中国の経済発展に伴い、その影響力も以前に増して大きくなっている。日本にとっては、近隣に中国語圏の国や地域が多いので中国語は英語と並んで身近な外国語になりつつある。特に最近では中国語で配信されるゲームアニメの増加、中国語圏のオタクとの交流により、独学で中国語を学ぶ人もいる。また、ビジネスで有利になるために中国語を学ぶ人もいる。他には、中国史春秋三国志など)に興味があって中国語を学ぶ人も多い。


言語名編集

中華人民共和国では、主に「中文」と呼ぶ。


中華人民共和国は多民族・多言語・多文字の国家であり、少数民族の言語(チベット語ウイグル語など)も「中国の言語」と言えなくもないことから、それらと区別するために「汉語」(漢族の言語)と呼ぶことがあり、学術的な用語としてもよく使われる。他に現地では華語、中国話などとも言う呼び方もある。


中華民国では、中国語は広義と狭義に分けられる。中国の外来語については、国内の様々民族の言語と文字を総称して広義の中国語と呼ぶことができ、国内では、他の固有言語と相対して、通常は狭義の中国語である普通話(現代標準汉語)を指し、中華民国の事実上の公用語であり、現在が台湾の様々民族の間の共通語となっている。


台湾当局は2017年6月14日に『原住民民族言語発展法』を公布し、台湾原住民の言語は中国語であると明文化し、2018年1月31日には『客家基本法』を公布し、客家語は中国語であると明文化した。そして、2018年12月25日に国家の言語政策に関する『国語発展法』が第3読会で正式に可決され、台湾の固有言語はすべて中国語となった。


北京語に基づく標準汉語には中国大陸普通話台湾国語シンガポールマレーシアなどの華語がある。日本語でただ「中国語」と言った場合、普通話を指すことが多い。また、普通話を俗に「北京語」と呼ぶことがあるが、日本の標準語と東京方言の関係と同様に、普通話と北京官話(北京語のこと)は必ずしも同一のものではない。台湾では公式に国語を「台湾華語」あるいは「Taiwanese Mandarin」とも呼ぶが、外国人向けに自国語を指して用いる名称である。


なお、一般的に、中国語では、文字のある言語を文といい(例:ドイツ語→德文)、明確に定めた文字のない言語、方言あるいは口語・会話のことを指すときには話という(例:上海話)。語は前述の両方に使われる(例:德語(ドイツ語)、閩南語)。

中国語が使用されている地域編集

  • 中国本土/大陸(普通話、漢語)
  • 香港(広東語と普通話、他に英語)
  • マカオ(広東語と普通話、他にポルトガル語)
  • 台湾(国語、台湾語、客家語)
  • シンガポール(華語、他にマレー語、英語、タミル語)
  • マレーシア(華語、他にマレー語、タミル語)

華人コミュニティは世界各地に存在するため、中国語圏ではない国々でも使われている。かつては先祖が使っていた方言だけを話していたが、今では各グループの共通語として北京語も話す事が多い。


分類編集

文字は漢字を使用するが、漢字の字画を省略する簡体字中国本土・通称「大陸」、マレーシアシンガポール)と、省略しない字体を使う繁体字台湾香港マカオ)がある。簡体字の使用とは別口で、難しい字の単語を易しい字に置き換える事もあり、簡体字を使っていない地域でもそういう例はある(台湾の「台(臺)」など)。

簡体字や繁体字も、国によって標準的な字体や句読点の形が異なるため、ウィキペディア中国語版では、各記事ページトップに「不转换/大陆简体/香港繁體/澳門繁體/大马简体/新加坡简体/台灣正體」を選択する機能が付いている。


共通の文章語を持つため、各地の「中国語」は同一の言語扱いされているが、地域によって全く会話が通じないほどの方言差がある。官話(北京などの北方から西方・南西で広く使われる)と南方の福建語・広東語などでは発音だけではなく文法も単語も大幅に異なり、英語ドイツ語・オランダ語のように、同系の別言語といっていいほどである。大まかに言うと、南方ほど発音の種類(音・アクセント共に)が多く、北方で廃れた古い単語(往々にして日本語などの漢語と類似する)を今も使っている。北方の官話は古代中国語がモンゴル語や満洲語と融合して変化したものであり、南方の諸方言は、在来言語が中国語化されたものと考えられている。また、台湾の中国語には土着の台湾語(福建語系の方言)と客家語(広東省系の方言だが、広東語とは別の言葉)のほか、外省人(大陸からの新しい移民)が持ち込んだ各地の方言がある。


標準語として、中華人民共和国の学校では北京方言(北京語)をもとにした普通話(普通话、Standard Chinese)が教育されている。台湾の学校でも「国語」(國語、台湾華語)が教育に用いられる。一方、香港では公用語のひとつとして「中文」(中国語の文章語)が指定されているものの、実質的には普通話ではなく土着の広東語がデファクトスタンダードとなっている。清朝以前の王朝時代には、各地の庶民は完全に土地それぞれの言葉を用い、大陸全土の行政を考える必要がある僚のみが北京方言を元にした共通に通じる言語を用いるのが一般的な言語事情であった。それ故に共通の言語を北京話と呼ぶのである。だが近代に入って国民国家としての共通言語の必要が叫ばれて官話を元に、中華民国は国語、中華人民共和国は普通話を定めて学校教育に用いることになった。なお、国語と普通話は、使う文字の系統だけでなく、言い回しや外来語表記などに微妙な違いがある。


文法的にも日本語と全く異なる孤立語で、語順で意味を識別する必要がある。しかし北方方言はモンゴル語や満州語の影響で膠着語化しており、日本語のような助詞や多音節単語を用いる事も多い。


ほかの言語との関係編集

近隣の言語、とりわけ日本語や韓国語やベトナム語では、古代や中世の中国文化の導入に伴って、技術や概念を示す単語が流入した。

逆に他国でできた「漢字を並べた単語」が中国語へ流入する事もあり、近代には西洋文化の事物にまつわる単語を日本語からいろいろ導入している(いわゆる和製漢語。一例として、中華人民共和国の国号に含まれる「人民」「共和」は、漢籍に大本となる表現こそあるものの現在の語義は明治時代の日本で確立したものである。『元素』『物理』など科学用語には完全な新語も多い)。日本語と中国語で、表記が同じでも意味が食い違う単語はかなり多く、

  • 漢字を導入した日本人が、日本にいる/あるものに「中国にいる/ある現物は確認できないけど、日本だと多分これじゃないか」という字を当てた
  • 元は同じような意味だったが、時代が下ると別々の意味になった。
  • お互いに何の関係もなく字を当てた。

という例が多い。

漢字を導入した言語以外からの外来語は、そのままの形のものはあまり多くない。発音の組み合わせが漢字単位でしかできず、音を当てて漢字表記すると意味が付いてきてしまうため、外来語は音訳より意訳を優先する傾向が強い。


特に戦前に日本領であった台湾では、「歐吉桑(おじさん)」や「阿達瑪控固力(頭コンクリ)」のようにそもそも和製漢語ですらない表現も多数取り入れられている。近年は中国本土でも日本のポップカルチャーの影響が著しく、「〜酱(〜ちゃん)」や「〜桑(〜さん)」、「萝莉控(ロリコン)」、「口嫌体正直(ロでは嫌がっても、体は正直だな)」など、日本語由来の表現や言い回しが普通に使われるようになった。


発音編集

現代語の標準語と大半の方言には、清音と濁音の区別がない(清音(無声音)・濁音(有声音)で意味を区別しない)。その代わり、吐く息の強さで発音を区別する「無気音」「有気音」がある。発音をラテン文字で表記した場合、「b」「d」などの(ラテン語・英語・日本語などの)濁音表記が無気音に、「p」「t」などの清音表記が有気音に相当する。北京は「Beijing」だが、「ベイジン」より「ペイチン」が近い。

そして声調という、発音する時の高低アクセントがある(標準語で4種類+「軽声」という弱い発音、南方ではもっと多い)。この声調をごっちゃにすると全く意味が通じなくなるので練習が必要だが、ちょっと間違った程度ならわかってもらえる(音の並びで何となくわかるらしい)。

また、各漢字は日本語のように幾つも読み方を持っていることはなく、普通は1通りの読み方、多くても2,3通りの読み方しかしない。発音をローマ字(ラテン文字)で表記する体系「拼音(ピンイン)」が整っており、以下はそれをもとにしている。


母音編集

普通話では「a」「o」「e」「i」「u」「ü」の6種類の短母音がある。厳密には全て日本語の母音と異なるが、eとü以外に関してはだいたい「ア」「オ」「イ」「ウ」と発音して差し支えない。

「e」がかなりの曲者であり、単母音としてe表記されている場合これは「エ」ではなく、口を若干開いて舌を後ろへ引き、カタカナではなんとも書きようのない音を出す(一応、固有名詞などのカタカナ転記では「オ」が当てられることが多い)。そり舌母音「er」も存在するがこの場合eの発音はアに近い物になり、カタカナでは「ル」に近い。二重母音・三重母音ではeの発音はそのままエに近いものであるため、eiは「エイ」、ieは「イエ」、ueは「ウエ」に相当する。

「ü」は「ウ」の口の形で「イ」と言うと出る音。ドイツ語のüと同じである。


子音編集

日本語や英語にない音(★表記)をいくつか含むうえ、先述の通り無声(清音)/有声(濁音)よりも無気(息を吐かない)/有気(息を強く吐く)で区別するため日本人にとって習得難易度は高い。


(無気音/有気音)

  • b/p パ行音と同じ。
  • d/t タ行音と同じ。
  • z/c ツァ行音と同じ。
  • zh/ch ★そり舌音。舌の先を上の歯茎の奥の方につけ音を出す。
  • j/q チャ行音とほぼ同じ。
  • g/k カ行音と同じ。

以下は無気/有気の区別がない。

  • m マ行音と同じ。
  • n ナ行音と同じ。
  • ng 音節の終わりにのみ現れるので母音はつかない。鼻濁音。
  • f 英語のfと同じ。
  • l 英語のlと同じ。
  • s サ行音と同じ。
  • sh ★そり舌音。「zh/ch」とは違い、舌先は上の歯茎の奥につけずに近づけるだけ。シャ行のような音。
  • r ★「sh」と同じ形で出す。shの有声音(濁音)と考えてよい。カタカナではラ行表記されることが多いが、実際にはかなり違って聞こえる。「er」のrはこれとは違うので注意。
  • x 日本語の「し」の子音とほぼ同じ。
  • h ★ハ行に近いが厳密には違う。ドイツ語の「ch」やスペイン語の「j」と同じである。

声調編集

第一声(→):平坦な棒読みのように発音する。

第二声(↗︎):上げ調子。

第三声(↘︎↗︎):一旦下げて上げる。

第四声(↘︎):下げ調子。


読み方の例編集

美国(měi·guó)→米国

俄罗斯(é·luó·sī)→ロシア

新的(xīn·de)→新しい

上海(shàng·hǎi)

北京(běi·jīng)


キーボードで中国語を覚える編集

中国語を覚える時はスマホパソコンのソフトなどに入っている言語設定で中国語対応のローマ字(ピンイン)入力を使用すると読みも分かりやすい。

ただし、中国語のローマ字表記は日本語のローマ字表記や英語の読み方の感覚とはかなり異なるので音にして読むためにはアルファベット表記と発音の対応関係を知っておくことが必要(後述)。

例えば、美国(中国語でアメリカの事。)の場合は美(mei)国(guo)と読む。

漢字の読み方は殆ど、統一されている為、漢字の読みを覚えておくことが中国語を覚える鍵になる。


主な単語編集

体の部位編集

意味カナ表記英字表記繁体字表記簡体字表記
トウTou
ファー / トウファーFa / Toufa髮 / 頭髮发 / 头发
イェンYan
ピーBi
アルEr
ショーShe
ヤー / ヤーチーYa / Yachi牙 / 牙齒牙 / 牙齿
リャオヤーLiaoya獠牙獠牙
チンJing
ピーBi
チョウZhou
ショウShou
チュエン / チュエントウQuan / Quantou拳 / 拳頭拳 / 拳头
トゥエイ / トゥェイ / トェイ / トゥイTui
シーXi
チョンZhong
チャオJiao

戦闘編集

意味カナ表記英字表記繁体字表記簡体字表記
武侠ウーシアWuxia武俠武侠
仙侠シェンシアXianxia仙俠仙侠
武術ウーシューWushu武術武术
格闘術コートウシューGedoushu格鬥術格鬥术
点穴術ティエンシュエシューDianxueshu點穴術点穴术
カンフーコンフーGongfu功夫功夫
太極拳タイチーチュエンTaijiquan太極拳太极拳
蟷螂拳タンランチュエンTanglangquan螳螂拳螳螂拳
酔拳ツェイチュエンZuiquan醉拳醉拳
気功チーコンQigong氣功气功
軽功チンコンQinggong輕功轻功
外功ワイコンWaigong外功外功
内功ネイコンNeigong內功內功
経絡チンルオJingluo經絡经络
経穴チンシュエJingxue經穴经穴
腧穴シューシュエShuxue腧穴腧穴
チェンJian
チャンQiang
マオMao
チーJi
コーGe
ピーPi
シュオShuo
狼牙棒ランヤーパンLangya Bang狼牙棒狼牙棒
峨嵋刺オーメイツーEmeici峨嵋刺峨嵋刺

食べ物編集

意味カナ表記英字表記繁体字表記簡体字表記
ギョーザチャオツーJiaozi餃子饺子
シュウマイシャオマイShaomai燒賣烧卖
ショーロンポーシャオロンパオXiaolongbao小籠包小笼包
北京ダックペイチンカオヤーBeijing Kaoya北京烤鴨北京烤鸭
ホイコーローホェイクオロウHuiguorou回鍋肉回锅肉
ホットドッグローコウRegou熱狗热狗
焼肉定食カオロウタオツァンKaorou Taocan烤肉套餐烤肉套餐
ラーメンラーミエンLamian拉麵拉面

生き物編集

意味カナ表記英字表記繁体字表記簡体字表記
トゥーTu
マオMao
チュエンQuan
ニョウ / ニォウNiu
マーMa
ヤン / ミエンヤン / ミェンヤンYang / Mianyang羊 / 綿羊羊 / 绵羊
鹿ルーLu鹿鹿
シフゾウミールーMilu麋鹿麋鹿
ヨウスコウカワイルカパイチートゥンBaijitun / Baiqitun白鱀豚 / 白鰭豚 / 白暨豚白𬶨豚 / 白鳍豚 / 白暨豚
ニャオNiao
コウライキジチーチー / イェチー / イエチー / ホヮンチンチー / ホァンチンチーZhiji / Yeji / Huanjingzhi雉雞 / 野雞 / 環頸雉雉鸡 / 野鸡 / 环颈雉
ショーShe
ユィYu
アオウオチンユィQingyu青魚青鱼
ソウギョツァオユィCaoyu草魚草鱼
ハクレンリェンユィ / リエンユイLianyu鰱魚鲢鱼
コクレンヨンユィYongyu鱅魚鳙鱼
タウナギホヮンシャン / ホァンシャン / ホワンシャン / ホアンシャンHuangshan黃鱔黄鳝
ライギョリーLi

その他編集

意味カナ表記英字表記繁体字表記簡体字表記
画竜点睛ホアロンティエンチンHua Long Dian Jing畫龍點睛画龙点睛
唇亡びて歯寒し / 唇亡歯寒チュンワンチーハンChun Wang Chi Han脣亡齒寒唇亡齿寒
五十歩百歩ウーシープーシャオパイプーWushibu Xiao Baibu五十步笑百步五十步笑百步
虎頭蛇尾フートウショーウェイHu Tou She Wei虎頭蛇尾虎头蛇尾
四面楚歌スーミェンチューコーSi Mian Chu Ge四麵楚歌四面楚歌
弱肉強食ルオロウチャンシーRuo Rou Qiang Shi弱肉強食弱肉强食
大器晩成ターチーワンチョンDa Qi Wan Cheng大器晚成大器晚成
電光石火ティエンクワンシーホオDian Guang Shi Huo電光石火电光石火
天真爛漫ティエンチェンランマンTian Zhen Lan Man天真爛漫天真烂漫
怒髪天を衝く / 怒髪衝天ヌーファーチョンコアンNu Fa Chong Guan怒髮衝冠怒发冲冠
泣いて馬謖を斬るホェイレイチャンマースーHui Lei Zhan Ma Su揮淚斬馬謖挥泪斩马谡
歯亡び舌存す / 歯亡舌存チーワンショーツンChi Wang She Cun齒亡舌存齿亡舌存
風花雪月フォンホワシュエユエFeng Hua Xue Yue風花雪月风花雪月

関連イラスト編集

キャプションやイラスト内テキストに中国語を使っている絵に、「中国語」タグが付く事も多い。というか、pixivでの圧倒的多数を占める。

クワガタっ娘図鑑 【繁体字中国語版】儲ける感覚

こちらのように、日本人なキャラクターが中国語を使うというシチュエーションの作品は少ない。

《歌词》


関連タグ編集

言語

中国 中華人民共和国 中華民国

台湾 香港 マカオ マレーシア シンガポール

汉語 漢字 簡体字 繁体字

漢文…古代中国語を基にした文語。

協和語満州国で使われていた。

偽中国語…中華風日本語

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