解説
行政区画上は直轄市であり、華北の中央に位置する。
人口は2,152万人の特大都市であり、中国有数の人口を誇る。
また政治用語として、中国政府を指して北京と呼ぶこともある。
世界有数の巨大都市であり、中国の大企業が集積している。かつては経済の中心は上海、広州に分があり、どちらかというと政治、行政の中心地であったが、昨今では経済、金融でも中国内をリードする存在となり、「一線都市」の経済指数としても上海を上回るほどに巨大都市化した。
後述する地下鉄網は2024年現在で22路線あり世界最大となっているが、これは内陸に位置したことで大気汚染があまりにひどかった(世界で最も大気汚染がひどい都市の一つに選ばれた)ため、急速にインフラ整備したことも無関係ではない。
名称
日本では「ペキン」と呼ばれるが、これは中国南部の歴史的な読み方に由来する。「ペキン」でも通じないわけではないが、現代中国語(普通話)では一般にBeijing(ベイジンorペイチン)と呼ばれる。
ちなみに大学は、国際名称で北京(ペキン)大学となっており、アジア最難関の最高学府として知られる。その他にも北京には大学が多く、国内随一の学術都市としての一面を持つ。
交通
中国国鉄の中心地で、中国国内の都市間列車や、外国の主要都市と結ぶ国際列車が発着する。
北京地下鉄(北京地铁)は27路線(うち地下鉄22路線)を持つ世界最大の地下鉄網を有している。地下鉄利用者数だけなら世界一の多さであり、近年は通勤ラッシュが酷いという。代表駅として北京駅、北京西駅、北京南駅がある。
歴史
国都の洛陽からは遠く離れ、常に北方遊牧民族の侵入による被害を受ける辺境であった。
秦~漢代には北平(ほくへい、ベイピン / Běipíng)と称されるが、満州開発が進み、高句麗など周辺国の勢力が強大となると戦略上、また交易上の重要な拠点として重視されるようになった。
北京市に隣接する、河北省涿郡(たくぐん)は三国志の英雄劉備の故郷として知られるとともに隋の煬帝が築いた大運河の北の起点とされている。
唐末~五代の騒乱期には、内モンゴルから南下してきた遼(キタイ/カラ・キタイ)が後晋に対し軍事支援を行った代償に燕京を含む燕雲十六州が後晋から割譲された。遼はこの都市を副都の一つ南京(現在の南京市とは無関係)と定め、その後金(女真族)が遼を滅ぼし華北を獲得すると中都とし、更にモンゴル帝国(→元)が金を滅ぼすと大都と改名して首都とされた。
朱元璋が元を北方に駆逐し明朝が成立すると、名称を北平に戻し、首都は南京に定められたが、1402年に燕王朱棣(元璋の子。後の永楽帝)は血縁上の甥である建文帝の地方弾圧に対し下剋上を行い政権奪取、皇帝に即位した後遷都を実行し地名を北京に改めた。
辛亥革命後も中華民国(袁世凱政権)は北京を首都と定めたが、南京を根拠とした国民党政府(蒋介石中心)は、1928年6月15日に直隷省を河北省、北京を北平と改称した。
1937年から1945年まで続いた日本軍占領期は北京の名称が用いられ(公式には1940年に改名)、日本の敗戦によって再び北平に戻された。
1949年10月1日の中華人民共和国成立により北平が新中国の首都とされ、再び北京と改称され現在に至っている。
このため日本では大陸政府のことを「北京政府」と呼んでいた時期もあった。
しかし台湾(中華民国)では現在でも公式名称として「北平」の名称が用いられている。
余談
- 他の中国の大都市は中国でも南部(長江流域、またはさらに南)がほとんどだが、北京は例外的に中国でも北方に有る。
関連タグ
中華鍋 … 片方に持ち手のあるものを「北京鍋」と呼ぶことがある。
北京を舞台とする作品
(50音順)
- グリーン・ディスティニー(映画)
- 北京ヴァイオリン(映画)
- 微笑みの国(オペレッタ)
- ラストエンペラー(映画)
- ルパン三世 東方見聞録アナザーページ(アニメ)
※他にもありましたら紹介して下さい。
外部リンク
- 北京市(Wikipedia)