概要
首府、国都、都とも言う。
国家権力の集まる首都には企業も集中しやすく、多くの国では首都が最大都市になっている。特に中央集権国家では首都一極集中の傾向が強いが首都と最大都市が一致しない国もある。
(例a:アメリカ合衆国・・・首都はワシントンD.C.、最大の都市はニューヨーク)
南アフリカは司法の首都がブルームフォンテーン、立法の首都がケープタウン、行政の首都がプレトリアというように棲み分けされている。
中にはシンガポールやモナコのようにひとつの都市が独立した国家を形成していたり、バチカン市国のようにひとつの都市のごく一部のみを国土としていたりするミニ国家のように首都がない国も存在する。
首都を別の都市に移すこともある。これを遷都という。
英語ではcapitalの語が当てられる。しかしcapitalは州都や県都(県庁所在地)にも当てられ、日本語の「首都」というより「政治の中心地」の意味が正確である。
いろんな首都
※詳細は「首都の一覧」の記事を参照のこと。
ウランバートル:モンゴルの首都。「世界でいちばん気温が下がる首都」と言われる。
バンコク:タイの首都。正式名称が世界の首都のうちでいちばん長い。
キャンベラ:オーストラリアの首都。シドニーとメルボルンの権力争いを防ぐために、両都市の中間に造られた。円がふたつ並んだ形をしている。
アムステルダム:オランダの首都であり経済の中心地。だが国の政治機能はハーグにある。
クアラルンプール:マレーシアの首都。なお首相官邸はプトラジャヤに移転している。
エルサレム:イスラエルの「自称首都」。三つの宗教(キリスト教、ユダヤ教、イスラム教)の聖地となっているめんどくさい街。国際的にはテルアビブが首都と見られている。
ローマ:イタリアの首都。紀元前753年から存在するとびきりの古都であり、ローマ帝国、ローマ教皇領といったヨーロッパの歴史を動かす国々の首都となってきた。
ベルリン:ドイツの首都で最大都市。しかし金融の中心地はフランクフルトである。
日本の首都
天皇の住まいである皇居、国政を担う首相官邸や国会議事堂、また都庁がある東京が事実上の首都と言えるが、日本の法制度上では「東京都が国の首都である」と明記されていた「首都建設法」が有効であった昭和25~31年を除き確固たる証拠がない状態にある(現在唯一の法的根拠は昭和31年に制定された「首都圏整備法」。同法は東京が日本の首都であることを前提に構成された)。
明治天皇が東京を都と奠められ、京都(平安京)から東京(江戸を改名)への首都機能の移転が明治維新時に行われたが、1000年以上に及び首都の座にあった京都側の反発が予想された。
そこで「天皇が東京に行幸してそのままそこで政務をとられるので省庁もそちらに置く」という形をとった。こうした経緯もあり、現在でも京都の一部では「陛下はちょろっと東京に遊びに行っておられるだけである」と半ば冗談半ばマジに言われていたりする。
「あくまで奠都であって遷都ではない」ということが国家の一大行事である天皇即位の御大典は、それまで通り京都御所のある京都で行われるきっかけとなった。
時は流れて平成時代の明仁陛下の即位大礼は、平安京に遷都以降初めて東京で行われた。この形式は次代の今上天皇にも受け継がれ、令和時代となった現在では名実共に東京が日本の首都であることを意味している。
ただし、明仁陛下の即位大礼の際も京都での開催が検討されていた。即位の際に使用される高御座の常設場所は現在でも京都御所である(平成の即位に際しては反皇室の過激派による妨害を考慮して自衛隊により東京へ空輸された)。