- 形式的意義においては、行政府(日本では内閣とその統轄下にある行政機関)が行う作用の全体をいう(形式的意義の行政)。
- 実質的意義においては、立法権、司法権と並び、統治権の一つとして、行政を行う権能をいう(実質的意義の行政)。
日本政府が進めている法令外国語訳では、行政を指す語として英語で"administration" をあてているが同じ英語でも、米国では"executive" である。
英語圏以外でも、
- フランス語 exécutif
- ドイツ語 Exekutive
- スペイン語 ejecutivo
と表される。
行政の概念
形式的意義の行政
形式的意義の行政とは、行政府に属する一切の作用の総称をいう。政令や命令の制定(実質的意義においては立法作用)、恩赦の決定(実質的意義においては司法作用)も行政府に属する権限とされるため形式的意義においては行政に含まる。管理・管轄というよりも執行・遂行面を重視した語が用いられている。
実質的意義の行政
実質的意義の行政とは何かという点については、現代の行政は複雑で多岐な内容にわたっており、これに必要かつ十分な定義を与えるのは難しいとされている。そのため、行政について内容的に定義することを放棄し、消極的に定義するにとどまる控除説(消極説)と、なんとか行政の内容を積極的に定義してその内容を明らかにしようと努める積極説が対立する。
- 控除説(消極説)
公法学上は、国家作用のうち、立法作用と司法(裁判)作用を控除した残余の作用を指すとする見解(控除説、消極説)が支配的である。このような控除説による説明は、内容的な定義づけを放棄しており、意味がないようにも見えるが、
- 君主が有していた包括的な国家権能のうちまず立法権が議会に移譲され、その残りである執行権のうち司法権がさらに分化され、君主に残された権能が行政とされたという沿革に対応しており、
- 現実問題として、行政と観念される作用には様々なものがあり、定義付けが非常に困難である
- 定義づけをして何らかの漏れが生じた場合、日本国憲法上、三権に属さず責任の所在が不明確な国家作用が発生してしまうことになる。
という理由から、一般的に控除説が支持されている。
- 積極説
控除説のような消極的な定義づけに満足せず、積極的な定義づけをする試みもある。
代表的な見解は田中二郎(行政法学者、最高裁判所裁判官経験あり)によるものであり、「法の下に法の規制を受けながら、現実に国家目的の積極的実現をめざしておこなわれる全体として統一性をもった継続的な形成的国家活動」とするものである。この定義に対しては、行政の特徴等を大まかにイメージしたものに過ぎないという批判もあり、必ずしも成功しているとはいえない。
三権分立における「行政」の説明
三権分立の観点からは、法との関係に着目し、簡単に「法を執行する権力」と説明する。