概要
一般的意味
連邦とは、複数の国家、またはそれに相当する強い権限を留保する自治政府(州等)の集合であり、それらが1つの上位政府によって統治される国家形態である。対義語は「単一国家」。領土の大きな国や、歴史的に数多くの君主国や都市国家が並立していた時代の長かった国家、多民族国家などに多い。
また、アメリカにおける「保守」と「リベラル」の起源の1つは「アメリカは連邦制国家であるべきか、それとも単一国家に近付くべきか」であり(アメリカ独立戦争がイギリス対アメリカの戦争と言うよりも、イギリス対「後にアメリカに属する事になる複数の植民地」の戦争だった為)、アメリカではある時期まで「保守派」「愛国的」な人々の方が連邦政府(ワシントンD.C.にある中央政府)の権限縮小と州・自治体の相対的な権限拡大を主張していた。
- 現存する連邦では、全ての外交は連邦政府の管轄となり、構成領邦が独自外交をすることは許されない。しかし過去には複数の連邦国家によって構成されていた連邦国家(ソビエト連邦)があり、ウクライナとベラルーシが独自に国際連合にも加入していたなどの例がある。
- 軍事行動は外交的手続きを必要とするため、連邦政府の管轄となる。構成領邦が州軍や首長国軍を持つことはあるが、通常連邦政府の指揮下に入る。
- ただし、アメリカなどでは警察では対処出来ない暴動が発生した場合などに、大統領の許可を得ずに州知事の権限で州軍が動かされる事も有る。
- 国籍と出入国管理は一般的に連邦政府が責任を持つ。ただし、マレーシアではサバ及びサラワク州で入境管理が行われ、マレーシア国民であっても身分証明書が必要になるほか、タンザニアでは、タンガニーカ(大陸側)の住民はザンジバルに入る際にはパスポートを用いた出入国手続きが必要である。
- 通貨も通常共通化される。
これ以外の権限についてはまちまちであり、UAEのように自治権の強い国から、アルゼンチンのように形骸化している国まである。一方で単一国家で領邦に相当する自治権の強い地域を有する国も多い(後述)。しかし、多くの連邦制の国では時代と共に自治権の範囲が狭まり単一国家に近づく傾向がある。
また構成主体となる領邦の規模も様々であり、米国のカリフォルニアのようにカナダに相当する人口と日本に匹敵する面積とイタリアに匹敵する経済力を合わせ持つ「巨大な」州もあれば、ミクロネシアの各州のように人口数万人程度の島が単位となっている場合もある。
語
一般的にはFederationなどの「連邦(連盟)」を意味する語が使われるが、そうでない場合もある。
- アメリカ合衆国は基本的に自国の通称として「合衆国(United StatesもしくはStates)」を用いているがFBI(連邦捜査局)など一部では「連邦/中央政府 (Federal)」を用いる。
- Commonwealthは「連邦」と訳されることがあるが、それぞれに実態は異なる。
- ソビエト連邦のСоюзやスイス連邦のEidgenossenschaftは「同盟」という意味である。
- セントクリストファー・ネイビス連邦は連邦(Federation)を名乗っているが連邦制の国家ではない。
実質的な連邦国家
単一国家でも国土の一部地域にのみ連邦国家の領邦並みかそれ以上の高度な自治権を認める例があり、「非対称的連邦制(federacy) 」と呼ばれる。
英国-公式には単一国家だが、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドはカントリー(国)と呼ばれ、イングランド以外のカントリーには個別の議会が設置されるなど高度な自治権が認められている。
デンマーク- デンマーク本土(ユトランド半島)、フェロー諸島、グリーンランドは対等の連合であるデンマーク王国共同体を形成し、フェロー諸島とグリーンランドは一部で独自の外交を行うことが許されている。
中華人民共和国-「一国二制度」をとる香港やマカオは独自通貨の発行と独自の入境管理を行い、法体系も全く異なる。さらに少数民族居住地域には多くの連邦制国家の領邦より自治権の範囲が広い「自治区」が設定されている。
ガンダムの地球連邦軍
pixivのタグとしては9割方ガンダムに登場する架空の組織「地球連邦軍」を指す。→完全一致検索「連邦」
連邦制の国家
アジア
オセアニア
大陸部: オーストラリア
ヨーロッパ
アフリカ
アメリカ
世界最古の連邦国家はアメリカ合衆国(1788年建国)である