概要
連邦捜査局(れんぽうそうさきょく、英語:Federal Bureau of Investigation、略称:FBI)は、アメリカ合衆国の法執行機関。国の政府で発生した事件・国全体に関わる公安事件・州に跨る事件などを担当し、アメリカ国内での諜報・防諜活動全般を担う情報機関でもあるが、日本で言えば警察庁と公安調査庁をほぼ合わせた程度の役割を担う強大な機関である。
FBIは捜査局という名前の通り捜査・逮捕までを管轄としており、逮捕した後の起訴・拘留などは他の連邦保安官などの法務機関が執行している。逆に州法・地方自治体の条例では犯罪となるが、連邦法には規定が無い犯罪については管轄外(地方警察の管轄)となる。
アメリカ合衆国は連邦共和国であり、州ごとに国家主権があると認識されており、国家の根幹を為す三権も州ごとに独立している。当然法体系も州ごとにまるで別物である。
そして警察機関の様相は更に混沌としており、より小さい郡や市町村ごとに設けられた自治体警察が捜査の主体を担っている。アメリカの映画でやたらと「市警」が出てくるのもそういう理由。
そんな状態では州境を跨ぐだけで組織間の強力のために壮絶なカオスが発生してしまうため、広域犯罪対処のための機関としてFBIが存在する。
銀行強盗、誘拐、カージャックなど捜査が広域に及びがちな犯罪は「連邦犯罪」として自動的にFBIの管轄となる。またその他の犯罪でも州境を跨ぐなどして自治体警察の力量を超える場合はFBIに協力が要請される場合がある。
法的にはFBIの下に地方警察が属する訳では無く、両方とも上下関係が無い対等なものである。しかしながらリソースや能力の格差から実際のところはFBIのほうが強権をふるいがちであり、地方自治とのバランスについて常に議論が絶えない。
こうした現状を反映してか「FBIなどの連邦警察と事件が発生した地域の地方警察が対立する。」・「1人の人間を起訴するだけなのに、検察官が居る場所に複数の警察組織の人間が大勢やって来る。」など、アメリカの刑事ドラマでは権威を振りかざすキャラ付けが定番となっている。
アメリカの警察機構は歴史的な経緯から極めて複雑だが概ね下記のようになっている。
- 連邦警察:アメリカ連邦政府の下部組織。アメリカ全土が管轄範囲。基本的に連邦法における犯罪しか取り締まれない。
- FBI
- 連邦警察の中でも最も担当範囲が大きい。
- DEA(麻薬取締局)
- NCIS(海軍犯罪捜査局)
- CID(陸軍犯罪捜査局)
- ATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)
- 連邦警察の中でも各専門分野に特化した組織。
- FBI
- 地方警察
- 州政府・地方自治体政府の下部組織。
- 管轄は州/地方自治体内。
- 連邦法上の犯罪以外にも州法・地方条例上の犯罪も取り締まれる。
- 小さな自治体の警察の場合は、科学鑑定などは州警察や連邦警察に委託する場合も有る。
歴史
1607年5月にアメリカはイギリスの植民地として統治され、1776年7月にフランスの支援などを受けて独立を果たした。その過程で多くの制度がイギリス本国から持ち込まれており、それは警察制度も同様であった。1908年7月にチャールズ・ジョセフ・ボナパルト司法長官(ナポレオン・ボナパルトの姪孫)の指示の下スタンリー・フィンチ捜査局長の指揮下によって捜査局が設置され、1935年7月に連邦捜査局に改称されて現在まで存続している。
ここまで読んで「ではアメリカが建国されてから1世紀以上、20世紀に入るまでアメリカ全土を管轄範囲とする公的な警察組織は無かったのか。」という疑問を持ったと思うだろうが、本当に無かったのである。無茶苦茶だと思う人も居るかも知れないが、歴史的事実だから止むを得ない。
FBIが登場する作品
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