概要
内閣府外局である国家公安委員会管理下の組織で、全都道府県警察の指揮監督を行う日本の警察機構の頂点である。
なお、国家公安委員会については、所属しているのが国務大臣たる委員長を含めて6人の委員のみであり、実質的な事務処理は警察庁が一体となって行っている。建前として委員会は警察庁上部機関であるが、実質的には内部機関でもあるといえる。そのため、しばしば「国家公安委員会(警察庁)」「警察庁(国家公安委員会)」などと表記されることがある。
戦前は内務省警保局がその役割を担っていたが、敗戦後GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が日本政府の反対を押し切って内務省を解体・廃止するなど、「民主化」を大義名分に警察力の分権化を推し進めた結果、日本警察は旧警察法により国家地方警察と約1600の自治体警察に細分化された。
しかし、新機構は過度の細分化による縄張り争いや、国の治安に対する責任不明確化、管轄区域不明瞭化など、さらなる治安悪化を招き、武装革命路線であった日本共産党による派出所襲撃や火炎瓶闘争にも対応出来なかった(岩之坂交番襲撃事件など)。加えて自治体警察維持に必要な莫大な予算を確保出来ない町村による警察権返上と自治体警察廃止が相次いだ。
兼ねてよりGHQ主導の自治体警察制度に不満を抱いていた日本政府は、1952年の主権回復を機に内々に検討されていた警察法改正が表立って議論されるようになり、1954年の警察法の全面改正(新警察法)により、国家地方警察と自治体警察による二元体制は廃止され、新たに警察庁と都道府県警察による一元体制に再編されて現在の姿となった。
警察を取扱う小説・ドラマ・漫画などで度々出て来る「キャリア」と呼ばれる警察官は全員ここに所属しており、出向という形で各都道府県警察に「地方警務官」として派遣されている。都道府県警察の部長級以上の幹部は全て、国家公務員たる地方警務官なので、警察庁が都道府県警察の人事権を握っている。
組織図
長官-警察庁長官 階級外であるが警察官最高位。
警察庁次長 警視監
- 長官官房
人事や監察などを司る部門。首席監察官や総括審議官を初めとする審議官もここに配置されている。
- 刑事局
刑事警察部門の政策的指導を行う。事件の直接指揮を行うことはない。浅見光彦シリーズで刑事局員が刑事として出る場合があるが、現実ではあくまでも政策的役割に終始する(ただし、全国に政策的アドバイスを出張して行う場合はあるらしい)、
組織犯罪対策部門も部として設置されている。
- 警備局
警備警察部門を司る部門。特に左翼暴力勢力や右翼、オウムなどのテロ集団を担当する公安や機動隊などの警備部門、外事警察を指導している。
- 交通局
道路交通法や運転免許に関する、交通警察を司る部門。
- 生活安全局
生活安全に関する部門。街の安全を中心に政策を行っている。交番を取り扱う地域警察から不法投棄、ストーカーやサイバー犯罪もここで取り扱う。
官房長・局長・審議官・首席監察官は全て警視監。
- サイバー警察局
警察庁技官中心の部署であり、局長も技官である。
・都道警察情報通信部
地方機関
- 東北管区警察局 東北地方の警察を管轄する。
・宮城県警察・青森県警察・秋田県警察・山形県警察・福島県警察・岩手県警察
- 関東管区警察 関東、北陸及び東海の一部を管轄する。
・神奈川県警察・千葉県警察・埼玉県警察・山梨県警察・茨城県警察・栃木県警察・新潟県警察・静岡県警察・群馬県警察・長野県警察
- 中部管区警察局 東海北陸を管轄。
・愛知県警察・三重県警察・石川県警察・富山県警察・福井県警察・岐阜県警察
- 近畿管区警察局
・大阪府警察・兵庫県警察・京都府警察・奈良県警察・和歌山県警察・滋賀県警察
- 中国四国管区警察局 四国及び中国地方を管轄。
・広島県警察・鳥取県警察・島根県警察・山口県警察・岡山県警察・徳島県警察・高知県警察・香川県警察・愛媛県警察・徳島県警察
元々中国管区警察局・四国管区警察局に分けられていたが、2019年警察法改正に伴い一体化、四国は四国警察支局が管轄する。支局長は警視長階級をもって充てられる。
- 九州管区警察局 沖縄及び九州一帯を管轄。
・福岡県警察・鹿児島県警察・佐賀県警察・長崎県警察・熊本県警察・沖縄県警察・宮崎県警察・大分県警察
局長は全て警視監。管区警察局は管轄警察本部の監察や指導、広域調整や災害対策を行うという位置付けである。北海道警察及び警視庁は管区警察局傘下には入らず警察庁直轄指揮を受ける。北海道警察は、管轄面積が広大であるためその本部自体が管区警察局としての機能を果たしている。警視庁は首都警察という位置付けであり、その特殊性から警察庁直轄指揮を受けている。
附属機関
・警察大学校 キャリア組として採用された警察官や、警部に昇任したノンキャリア警察官はここで幹部研修を受ける。
・皇宮警察本部
・国際警察センター
・科学警察研究所(科学捜査研究所ではない)
著名な警察庁関係者
実在人物
後藤田正晴:元長官。後に衆議院議員(自民党)となり内閣官房長官を務めた。
亀井静香:元幹部。後に衆議院議員(自民党→国民新党→(省略)→みどりの風)となり、国務大臣も務めた。
松本光弘:第28代元長官。警察庁警備局長・警察庁長官官房長・警察庁次長等も勤めた。
中村格:第29代元長官。警視庁刑事部長・警視庁刑事部捜査二課長・警察庁長官官房長・警察庁次長を勤めた他、菅義偉の秘書官も勤めた。
露木康浩:第30代警察庁長官。警察庁刑事局長・警察庁長官官房長・警察庁次長等を勤めて現在に至る。
架空の人物
室井慎次:長官官房審議官。刑事ドラマ踊る大捜査線シリーズの登場人物。
小野田公顕:元長官官房官房長。刑事ドラマ相棒シリーズの登場人物。
神戸尊:警備局警備企画課課長補佐→長官官房付。刑事ドラマ相棒シリーズの登場人物。
白鳥任三郎:警部。現在は警視庁に出向中。少年漫画名探偵コナンの登場人物。
降谷零:不明。警察庁警備局警備企画課所属の公安警察官。少年漫画名探偵コナンの登場人物。
黒田兵衛:警視。現在は警視庁に出向中。少年漫画名探偵コナンの登場人物。
正木俊介:警視監。特撮ドラマ特捜エクシードラフト終盤の登場人物。
黒木/長官。2時間ドラマ「5つの顔の変装刑事 右京警部補ファイルE」「変装の達人 警部・鬼沢平吉のファイルE」「Gメン'75スペシャル」「軽井沢夫人」の登場人物。