「オレの種族はね、お腹にも口があるんだ。『ガヴ』って言うんだけど……」(第1話)
概要
『仮面ライダーガヴ』に登場する「今週の怪人」枠で、グラニュート界と呼ばれる異世界に住まう知的生命体。「グラニュート族」とも呼ばれる。
密かに人間界に潜伏しており、その多くはストマック家の経営する大手製菓メーカー・ストマック社のバイトとして雇われた者達。
姿形は人型がデフォルトで全般的に人間界でよく知る生物に似た、ファンタジー作品に登場するカラフルな魔物のような禍々しい姿をしている。
共通して体の至る所に口と歯のような意匠を備えており、アイシングのような不規則な白い模様が浮かんでいる他、何処か黒ずんで箇所があるなど肉体が腐敗しているような印象も与える。
また、頭部の口は上顎と下顎が癒着していたり、口内に皮膜が張っている等々、見かけは痕跡器官のようになっているが、後述の通り問題なく口吻として機能している。
下半身は獣のようなゴワゴワした体毛を生やしたもの、涎が滴るような波紋が刻まれたスリムなもの、岩石のようにゴツゴツしたものと3種類のタイプが存在する。
最大の特徴は、腹部に第二の口とも呼べる生体器官「ガヴ」を持つ点。
その見た目通りガヴでの飲食も可能で、その際は長い舌を伸ばして対象を絡め取って食べる。
ストマック家の血縁者は、ここから自分の眷属(所謂使い魔)を生み出す能力を持ち、食事は普通に頭の口で行う(なお元来グラニュート族そのものが眷属を生み出せるかは不明)。また一般のグラニュートとは異なり、逆三角形のガヴを埋めるように擬態用ベルトのバックルパーツを装着している(擬態用バックル自体は必ずしも装着する必要はなく、手に持った状態でもキーを挿し込めば擬態できる)ことが多く、ガヴごと露出せずにベルトとして出現させ使用できる。
人間界の食料も食べることが出来るが、デンテは気に入っている人間界のお菓子を袋ごと食べていることからも雑食の生態を持つ可能性がある。
ストマック社所属のグラニュートは「ガヴ」付近に生体改造を受けており、第一に情報漏洩の防止や人間社会での活動の為に下記のミミックキー装填による人間への擬態能力が、バイトなどのグラニュートにはさらにガヴから伸ばす舌を人間に巻きつけることでヒトプレスに圧縮するといった特殊能力が付加(ここまで改造されたガヴ付近には、真鍮色の金属板やボルトが付加される)されている。ストマック社に関わりのあるいずれの個体も大なり小なりの生体改造が施されている為、構成員は眷属のエージェントを除けば「異世界の」改造人間とも言える。
効率良く作業を進めるため、もしくは万が一の邪魔者対策も兼ねているのか、ある程度の戦闘力やトリッキーな能力を持つものの、バイトのグラニュートからすれば人間は取るに足らない存在でしかないため、能力のカラクリやギミックがバレてしまうと劣勢になってしまう個体も多い。
目的
上記の通り、彼らはストマック社のバイトであり、その報酬として与えられる闇菓子を目当てにしている。
人間界で行っている業務は「幸せを感じている人間を人知れず捕獲し、闇菓子の材料として本社に提供する」のが実態で、何処からどう解釈しても闇バイト(端的には人身売買)のそれである。
人間を捕獲する際は自身のガヴから伸ばした舌で縛り上げ、掌サイズのアクスタのような形の「ヒトプレス」に変える。
劇中で敵対したグラニュートは何れもある程度の場数は踏んでいるようで、中には約20年前から人を攫っていた個体も存在することからそれだけ行方不明者数も多い事になり、もしかすると、ガヴの世界では失踪の多くにグラニュートが関わっているのかもしれない。
そんな活動内容故、彼らにとっては「どれだけ良質な『幸せ』を収穫できるか」が、業務上での評価基準になっている。
収穫方法は個々に違うが、面倒を嫌って闇雲に幸せそうな人間を攫う短絡的な手段を取る者もおり、そのような輩は「肝心の素材の味を落とす愚者」としてナメられ、報酬で渡される闇菓子の質も数も下がる傾向にある。
そのため、大半のバイトは高品質なスパイスを手に入れようと人間の幸せを意図的に作るなどして暗躍しており、手間・資源・忍耐が問われるものの人間に奉仕してから狩るマッチポンプ的な手法で一時的な幸福に満たされた人間をヒトプレスにしてストマック社に納品している。
仕事の催促や仕入れ担当のシータやジープと連絡を取る際には不気味な模様の付いたスマホに似たデバイスで連絡を取っており、形状は何処となくガヴフォンに似ている。こちらはマニュアルも兼ねており、バイト採用されたグラニュートには会社側から支給されている模様。
なお、グラニュート族は本来食人の習性習慣を持たず、彼等にとって「闇菓子は単なる嗜好品で、人間はそのスパイスとなる捕獲対象」に過ぎない。
第5話ではランゴが闇菓子の売買が取り締まられることを危惧し、その前に富裕層に闇菓子を流通させる計画を語っていた。つまりグラニュート界においても、裏社会でのみ流通している違法薬物的な扱いである。
なので劇中でショウマが戦っているグラニュート達は厳密には犯罪者に当たる部類である。
バイトとして活動するグラニュートは、元々は裏の客として闇菓子を購入していたが、その高額さから購入出来なくなった中毒者が闇菓子欲しさにストマック社に連れられて雇われる、という経緯を辿っており、作中描かれた実際のケースの描写はさながらヤクザにマグロ・蟹漁船に乗せられる多重債務者そのものであった。
ライダーの怪人としては珍しい「独自の文化と社会を既に確立している種族」であり、人間界とあまり変わらない文明社会を築いているのもあってか敵対する凶悪な者達も普段は難なく人間社会に溶け込めている。
ちなみに本土グラニュート界の住民達は、怪人の姿の上から衣服を着用している者がほとんどであるが、人間界で活動するグラニュートの怪人態は衣服を身に着けていない。
ミミックキーを使用すると衣服を着けていない個体であっても衣服含めてまとめて擬態できる為、衣服が破れてしまって全身が顕になっている訳では無い模様。基本的に本来の力を発揮する際には、全身を怪人態として戦闘を行うことから、人類と比較して全裸に抵抗が少ない種族なのかもしれない。
ミミックキー
人を咥えた牙の意匠を持つスティック状のアイテム(劇中では特に言及されていないが、特撮雑誌の「宇宙船」にて判明)。
バイトとして人間界に潜伏するグラニュートは上記の通りガヴ内部に特殊な機械を埋め込んでおり、そこに装填することで人間の姿に擬態する。
また、これらの道具の開発・整備はストマック社開発部の責任者であるニエルブが行っているらしく、更に第4話での発言からバイトに生体改造を施している実態があり、前述のガヴ内のメカがその証左である。
また、これらの経緯からストマック家を始めとした生粋のグラニュートは、自力で人間に擬態する能力は先天的に持たないと思われる。
上記のヒトプレス化も割と最近になって確立された技術である事が示唆されているため、ガヴの機械化もこれを円滑にするための仕様であると考えられる。
ちなみに人間の姿でもガヴだけは隠せず露出してしまうが、服を着込んだりすれば誤魔化せるため、初見での判別は限りなく難しい。
グラニュート自身の性別と擬態後の性別、自身の年齢と擬態後の年齢は一致しなくても特に問題はないらしく、中身は男でも人間の女性の姿に擬態している個体や、中身は成人でも人間の小学生の男子の姿に擬態している個体もいる。また、外見の情報はキー側に記録されているため、キーを取り替えることで手軽に別の人間に擬態することも可能。感覚的には変装用の衣服やアバターに等しいものと推測される。
素材に関しては現時点では不明だが、人間に擬態できることから素材は連れ去られた人間が使用されているのではという推測もあるが現時点では判明していない。その場合、ディーンの人間態の名前の岩清水とサルディーナ、ロジョーの人間態の名前の可児も素材の人間の名前をそのまま使っている可能性が高い。それを裏付ける理由としてヒトプレスにされた塩谷の下半身部分はニエルブが所持していることからも塩谷の身体が何らかの形で利用される可能性も示唆されているが……。
一覧
ストマック社上層部
登場話 | 名前・外見 | 概要 |
---|---|---|
13、14 | ||
13~ |
一般グラニュート(バイト)
登場話 | 名前・外見 | 概要 |
---|---|---|
1 | ||
2 | ||
3 | ||
5、6 | ||
7、8 | ||
9、10 | ||
11、12 | ||
12~ | ||
13~16 |
その他
辛木田絆斗が幼い頃、目の前で彼の母・辛木田早恵を襲い、連れ去ったグラニュート。
当時は生体改造が確立されていなかったのか狼のような狂暴な人相に赤く染まった頭部、口と〈ガヴ〉(絆斗が描いた全体図によるとどこか赤ガヴにも見える)に鋭い牙を持つなど雰囲気が異なり、絆斗の証言によると、ヒトプレス化も行わなかった模様。
余談
- 名称の由来は言わずもがな「グラニュー糖」。
- その一方で一部の視聴者からは「グラトニー(暴食)にも引っ掛けているのでは?」と考察されている。そうすると名前の構成が「グラ(暴食)+ニュート(人)」となり、意訳すると「食い荒らす者」になる。
- また、ラテン語で『暴食』を意味する単語は〈グラ(Gula)〉、また『喉』を意味する単語も〈グラ(Gura)〉(しかし、喉は辞書によっては『グットゥル』とも)となっており、上記のも含めた意味付けもあり得るところ。
- なおグラニュー糖の「グラニュー」とは単純に英語で『粒状にした』の意味であるGranulatedが訛ったもので、これらの考察内容とは直接の関係はない。
- その一方で一部の視聴者からは「グラトニー(暴食)にも引っ掛けているのでは?」と考察されている。そうすると名前の構成が「グラ(暴食)+ニュート(人)」となり、意訳すると「食い荒らす者」になる。
- 名称はそれぞれの固有名のみで構成されている……とするよりは、ストマック社で闇バイトとして活動するために与えられたコードネームである。これまでが「○○+共通名」で構成される怪人が多かったのに対して、シンプルに名前のみの怪人は『仮面ライダーウィザード』のファントム以来、実に12年ぶりとなる。
- 令和ライダーにも人間に擬態する怪人はいるが、殆どが主要キャラ等の重要人物であったため、令和ライダーで人に擬態する通常怪人枠はグラニュートが初となる。
- 怪人態になるために専用のデバイスやアイテムを使う者は平成・令和含めて多く存在するが、逆に人間に成り済ますために特殊なアイテムや処置を身体に施される怪人は、仮面ライダーシリーズでは珍しいケースである。
- デザインはスーパー戦隊シリーズでお馴染みのK-SuKe氏が担当。仮面ライダーシリーズは今作が初参加となる。一方でバイトではない一般のグラニュートなどは『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』のヒトツ鬼など過去シリーズの怪人の頭部が多数流用されている。
- K-SuKe氏曰く、「ゲスト怪人デザインは腐敗と暴食をテーマとしているので、どこかにハエっぽい意匠を組み込むようにしている」模様。ハエは七つの大罪において暴食を表す生物とされており、暴食を司る悪魔とされているベルゼブブの名前も「ハエの王」を意味している。
- これを反映してか、一部ヒーローショーでは本編未登場のハエの意匠がついた下級戦闘員(エージェントとは別)が登場しているという声が上がっている。
- K-SuKe氏曰く、「ゲスト怪人デザインは腐敗と暴食をテーマとしているので、どこかにハエっぽい意匠を組み込むようにしている」模様。ハエは七つの大罪において暴食を表す生物とされており、暴食を司る悪魔とされているベルゼブブの名前も「ハエの王」を意味している。
- 前作の『仮面ライダーガッチャード』に登場し、(一体を除き)ボディのリペイントが多かったマルガムと対照的に、スーツの改造が早い段階で行われている。
- 「主人公が敵の同胞である」点は、初代仮面ライダーである1号から続く原点たる要素である。
- ショウマのガヴは同族と思えない程に形状が異なるが、これには複雑な事情がある。詳細は赤ガヴを参照。
- グラニュート族と人間族の関係性について、視聴者からはよく「家畜と飼い主」「狩人と野生動物」などと例えられているが、言葉が通じる点、混血が可能である点、(人身売買の時点で倫理もへったくれもない前提はこの際置いておいて)捕らえた人間は等価交換に類する倫理観の下で取引されている点などから、実際は(少なくともストマック社の関係者からの認識では)「奴隷貿易時代の白人と有色人種」が近いのかもしれない。
- ボンやヤードなど純粋に人を幸せにできる職業及び手腕の経営技術を持つグラニュートがちらほら登場しているため、視聴者からは「せっかく人のためになる素晴らしい手腕を持っているのに(ヒトプレス納品のために使うなんて)もったいなさ過ぎる」といった嘆きの声が上がっている。同時にヒトプレス納品のバイトを始める前は人間界に適応するなどの目的があったため、それで培われたスキルを活かしているのでは?といった考察も存在する。
- 怪人態の声は基本的に人間態の演者が兼任しているが、ボンやアーリーのように擬態した時の性別や年齢が大幅に違う場合は、声優が起用されることが多い。
関連タグ
オリジナルグラニュート:グラニュートの二次創作タグ。