「必要かどうかじゃねぇ…この手で始末しなきゃ気が済まねェ!!」(第13話)
スーツアクター(怪人態):五十嵐睦美
概要
半ズボンのフォーマルな衣装や中性的なルックス、「俺」という一人称もあり少年にも見えるが、れっきとした女性であり、双子の弟であるジープと互いの容姿・性別を逆転させているのが特徴。
ストマック社においては、ジープと共に仕入れ統括を担っていたが、後述の度重なる失敗の果てに、ランゴによってジープ共々解雇を言い渡された。
※仕入れ統括自体は、暫定的にランゴが引き継いでいる。
容姿
袖に白いフリルをあしらった黒い正装に身を包み、男装をしているのが特徴。左耳には太陽をモチーフにしたイヤリングを着けている。
人間態(擬態時)の容姿は弟のジープと揃えつつ、長髪の右半分サイドが白になった(ジープと逆で、長さもジープより若干短い)中性的な少女の姿をしている。
本来の素顔はオスライオンを彷彿とさせる3対の鬣を備えた、狼のような白銀の頭部が特徴。なお服を残して頭部のみ擬態を解いた際には、首周りに銀色のファーが追加される。
なお鬣は2段目が一番大きい真ん中広がりの形状となっており、こちらは人間態とは対照的にシータの方が丸みを帯びたシルエットとなっている。
怪人態
データ
身長:195.0cm 体重:58.3kg 特色/力:俊敏性/短銃/連携攻撃
怨敵を滅ぼすべく、服まで脱ぎ捨てグラニュートとしての姿を晒した戦闘形態。第14話では変身時にショウマと同様目が発光する場面もあるが、彼女の場合白色に目が光っていた。
白を基調とした装甲と両肩にケープのような形状の毛皮が付加されている。胸部の模様も円形が中心になるなど女性的なものとなっており、人間態時の衣装はジープの怪人態に合わせたものであることが窺える。頭部にも口のような生体器官を持つ。
戦闘時には杖を短銃に変形させ遠距離攻撃を得意とし、ジープとの連携を活かした身軽な動きで相手を翻弄する。
人物
基本的にぶっきらぼうで大雑把な口調など言動も男性寄りであり、女性のような柔らかい口調のジープとは姉弟で男女の特徴を逆転させているのが特徴。一人称も「俺」。幼少期は現在よりも物腰の柔らかい口調であり一人称も「僕」であった。
ジープ共々(本流の)末子ということで家族内での立場は最も低く、誕生パーティも仕事を優先する兄姉3人からは形式的にごく短時間しか付き合ってもらえない幼少期を過ごしており、稼業への従事も自分達は出来損ないではないという一種の自己肯定感を得ることを行動原理とし、公私ともに中間管理職的な重圧のもとで過ごしている。
彼等の誕生日を祝おうと歩み寄っていたのは侮蔑の対象であったショウマだけであったが、両親から確かに愛情を受けていた姿を目の当たりにしていた(うち自分達の父でもあるブーシュは自分達を放置してショウマの強化手術を優先していた)ことから、嫉妬心と拒絶だけをさらに募らせることとなっていた。
このため唯一心を通わせてきた双子のジープとは概ね考え方自体は共通しており、「産まれてからずっと一緒だった」と語られるように常に行動を共にし、離れ離れになる事を2人揃って拒絶するなど確かな情愛を互いに持っている。
反面、自分の力で事態を解決しようと言う意識はジープと揃って薄く、仕入れについてはバイトに一認してフォローもせずに下請けのみ行なったり、ショウマの始末についてもニエルブに助力を得るも対抗策が無くなってからは早々に諦めている。バイトの仕入れ品質向上についてもあくまで良質なスパイスを集めるのが得意なバイトを選別するのみで、そこから助力したりすることは最後までなかった。
事実、このような体制についてモチベーションが低下したり不満を抱いていたバイトも少なくなかったようで、仮面ライダーが認識される以前から「やつら(バイト)が飛ぶなんてあるあるだしな」とシータが語るなどバイトの運営能力はあまり高くなかった模様。
劇中ではショウマを見下すシーンこそ多いが、本質的には彼女達もまた上の兄達に怯えながら冷遇・処罰を受けるかもしれないという恐怖を抱いており、やがて嘲笑していた対象である赤ガヴ(ショウマ)との戦いで度重なる失態を犯したことで、ランゴからは会社をクビにされた挙げ句に政略結婚を強制されることになる。
なお、ストマック社をクビにされたのは厳密にはショウマにヒトプレスの出荷量を減らされたというだけではなく面白半分で赤ガヴの存在をランゴ達に伝えずみすみす出荷数を減らしたのも大きな原因であり、実際ヴァレンと交戦した後で報告を済ましているグロッタは特に懲罰も受けずに済んでいる。
第13話では彼女達双子の実力が少なくとも当時のショウマを上回る物であったことからも早期から報告を済ましていれば事前に彼を対処できたことは想像に容易く、会社での立場や事態が悪化するに至ったのは自業自得な部分も多い。
動向
バイトの失踪を「よくある話」と軽く流していたが、不審に思ったジープの反応からエージェントに調査させていたところ、初めてガヴの存在を確認した。
なお、赤ガヴ(=ショウマ)の存在はまだ自分達だけの楽しみにしたいという理由からジープに口裏を合わせて他の兄達には隠すことに(一応ニエルブには感付かれている様だが……?)。
ジープと共にエージェントを使ってショウマの抹殺を企てたものの、ふわマロフォームの猛攻でエージェントが撃破されたため、一先ず撤退した。
その後、仕入れ担当としての自覚が欠けているのではないかとランゴからジープ共々「任されたなら責任を持て。自分で考えて動け。できないなら家族だろうと切り捨てる」と叱責された上に脅されたため、遊ばずに大人しく素直に仕事を遂行することにしたが、その矢先に人間界にある拠点の一つが壊滅したことを知り愕然。
ショウマに苛立ちを募らせるが、このままでは彼の生存を黙っていた自分達にも責任が及ぶと危機感を覚え、グラニュートの改造技術に詳しいニエルブに相談を持ち掛けるも却下された。
それからは損失を穴埋めするべく素直に仕事をするもグロッタが乱入。
仕入れの状況が著しくない理由を詰め寄られるも、バイトのグラニュートに責任を押し付けたが、その彼女が二人目の仮面ライダーと戦闘したことで仕入れが減っていた原因を会議で突きつけられてしまい、更にジープ共々「赤ガヴ」に関する失言をしてしまったことから侮蔑の視線を向けるランゴから二人揃ってクビを宣告された。
今まで遊んでいたツケが回った結果だが、当の本人達は赤っ恥を晒した元凶であるこの場にいないショウマに憎悪を抱き始めていた。
続く第9話ではジープと共に汚名返上をするべくランゴに直談判し、十日の猶予を与えられたことで質の良いヒトプレスのケース増加と赤ガヴの始末を実行することに。
バイトのグラニュートに捕獲を任せ、自身らはエージェントを利用してショウマを誘き寄せるとニエルブが製作した光学兵器を使って彼の変身するガヴの装甲を焼いて溶かそうとするが、レーザーすらも弾くグルキャンフォームへの変身を許してしまったことで形勢が逆転し、エージェントの撃破に顔を歪ませながらも撤退する羽目となった。
逃げ帰る結果となった第10話では苛立ちを露にしており、このままではかつてのショウマと同様に切り捨てられることに焦りを覚えており、五ケース分の良質なヒトプレスが確保出来たことを今回のバイトであるグラニュート・ヤードから伝えられたが、そのヤードが撃破されてしまったため失敗に終わってしまった。
第11話では改めてランゴから有無を言わさず解雇を宣言され、政略結婚=家族ではなく都合の良い道具扱いに愕然とし、反論することなくジープの手を握ることしかできなかった。
そして第12話では、事実上家に帰ることも出来ずジープと共に人間界の拠点に身を寄せていたが、ランゴ配下のエージェントから「関係者以外は立ち入り禁止」「もう二人はストマック社の社員ではない」と告げられて雨の中路地裏へ追い出されてしまう。
会社としての立場も失い、家族からも事実上切り捨てられた事実は、出来損ないの癖に誰よりも幸せそうに生きるショウマへの怨みを募らせるのに充分で……。
「全部赤ガヴのせいだ」
「許さねぇ……許さねぇ…!!」
第13話ではジープと共に屋敷を家出したシータ達はエージェントを使ってショウマを誘き出し、遂に怪人態となって直接対決。互いのコンビネーションを活かして次々とガヴのフォームを攻略し徹底的に彼を追い詰め、必殺技の撃ち合いでも勝利。遂に憎き異母弟を上空へと吹き飛ばすが……?
最期
ショウマが生きていることを確信し、エージェントを使って街を爆破させるとグラニュートにしか読めない文字を使って彼を誘き寄せる。
そして彼に対して怒りを吐き出したが、劣悪な環境に置かされていたショウマもまた身勝手な逆恨みに怒りを爆発させるように戦闘を開始。
戦闘形態となったジープと共にガヴを追い詰めたがケーキングゴチゾウでケーキングフォームに変身したことで徐々に戦況が傾き、召喚したエージェントをホイップ兵との連携によって蹴散らされてしまったことでとうとう追い詰められる。
そして、ケーキングフォームの必殺技を受ける寸前にジープを庇ったことで必殺技が直撃、杖とミミックキーを遺して爆散・消滅した(※ちなみにショウマも必殺技を放つ際、もしかしたら一緒に誕生日を祝い、共にケーキを食べていたかもしれないと複雑な心境をしていた。)
「フッ…よかった…」
彼女が最後に呟いたのはガヴに対する怨みでも彼に負けることに対する無念でも無く、自身の手で弟を守れたことに対する穏やかな安堵の声だった。
一方で半身たる双子の姉を失ったジープは命こそ助かったものの、半狂乱の中で彼女の遺した杖とミミックキーを回収し撤退。大雨の中で遺されたミミックキーを見つめて、亡き彼女の髪型を真似るように自身の髪を短剣で掻き切りながら慟哭するのだった。
余談
名前の由来は日本語で「舌」 (した) を意味すると思われる(彼女の兄弟たちが全員舌の外国名から取られていることから、ギリシャ文字のθから因んでいるとは考えにくくい)。
なお怪人態モチーフは第11話時点まで伏せられていたが、全身解禁と共に北欧神話モチーフであることが明言され、第14話放送後に、モチーフが巨狼フェンリルの仔といわれる双子狼の片割れ、スコルである事が明言された。
スコルは古ノルド語で「嘲る者」「高笑い」を意味し、これまで嘲笑していた双子が、片割れを失って「憎悪に染まった敵」となる(ハティは「憎しみ」や「敵」を意味する)展開にピッタリのモチーフと言える。
演者の川﨑女史は『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』ドン1話やドン10話にて女子高生役でゲスト出演経験がある。
スーツアクトレスの五十嵐女史は『仮面ライダーギーツ』のプレミアムベロバ以来の出演となる。
ジープ共々敵ながら境遇や動向を心配する視聴者は多く、第8話放送終了後には「双子ちゃんクビ」がトレンド入りするほどであった。
また、近年の仮面ライダーシリーズの展開を踏まえると恒例と化した玩具版でLEDが使われるダークライダーの新型のベルトが出る時期が近づいているため、視聴者からは「双子のどちらかが始末されそう」「失態を重ねすぎた挙げ句そういった新しいベルトの開発の実験台にされて切り捨てられるのではないか」といった声も上がっている。
さらに第11話でランゴに富裕層に嫁ぐよう宣告された際には双子の反応から「処刑されるよりはマシかも知れないが、嫁がされて離れ離れにされるのはある意味死よりも酷い罰なのでは?」という反応も見られた。ちなみに同話でランゴから渡された資料には富裕層に嫁ぐに当たってか以下のことが書かれている。
- SHIHAI 支配
- HUYUUSOUNOMENDOU 富裕層の面倒
- STOMAKKUSH ANOREKISHI ストマック社の歴史
- SISANUNYO UN OSUBETE 資産運用のすべて
- GURANYUTO NOSIKOU グラニュートの思考(ないしは嗜好?)
- MANNERKOUZ ATETTEIBAN マナー講座 徹底版
- ICHIRYUU MANNER 一流マナー
- REKISHIDE MANABU JOURYUU KAIKYUU 歴史で学ぶ上流階級
ジープ共々失態が続くごとに上記の通り始末されるか、地獄兄弟のようにやさぐれて第三勢力と化すかなどの動向を予想する声が上がっており、中には「仮面ライダーシリーズにおけるクリスマス恒例の退場ジンクスで双子どちらかが退場してしまうのではないか」「改造されて融合するのでは」との悲惨な末路を心配する声も上がっている。そんな中第12話では上記の終わり方から地獄兄弟を想起した反応が多かった他「戦闘力が無いためニエルブ頼みだった」と多くが思っていたが、第13話では圧倒的なコンビネーションと攻撃力でガヴを追い詰めブシュエルフォームが初登場にもかかわらず補正を破って圧倒したため、「そんなに強かったなら最初から前線に立てばよかったんじゃ?」と大半の視聴者からツッコまれている。もっとも、跡がないという状況に立たされたことで強くなったことや元から戦闘力がそこそこあった可能性がなくもないが、「面白そうだった」という理由でショウマを早めに始末しなかったなどやはり怠けていた節があると言えよう。
また、ケーキングフォームに変身して力がみなぎったショウマに対して言った「急に元気になりやがって!」が「急にケーキになりやがって!」という場面に合った台詞に聞こえてしまうということになり、シリアスな笑いとしてTwitter/Xで話題になっていた。これは30分後に登場するヒーローにも似たようなことがある。
そして第14話ではそのツケが回る形でシータは命を落としてしまった。それも誕生日を家族総出で祝われる事なく、この世に生まれた事への祝福の象徴である、ケーキの力でその命と双子の絆を絶たれるという(双子にとっては)最悪な形で。
ショウマに対し、記事冒頭のセリフで始末しようと意気込んでいた彼女だったが、自身も同じく1人だけ始末される事になったのは皮肉な話である。
演者のクランクアップの報告が行われていないことやシータが死亡したシーンがはっきりと映っていなかったことから生存フラグも立てられていたが、第15話OP映像にてシータだけが弾けるように消滅するという演出が加えられ、死亡がほぼ確定してしまった(一応OP映像で消された後に復活した前例はあるが……)。
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ランゴ・ストマック(長男・ストマック社社長)
グロッタ・ストマック(長女・ストマック社菓子製造統括者)
ニエルブ・ストマック(次男・ストマック社技術開発担当)
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ゾル大佐:【本編で一番最初に倒された狼がモチーフの幹部怪人】という共通点から