「俺の名前を聞き、素顔を見た者は必ず死ぬ!」(第26話)
「一文字隼人、貴様が仮面ライダーに変身出来る如く、俺もまた変身する!」
「俺の本当の姿を今見せてやる……!」(第39話)
概要
『仮面ライダーシリーズ』に登場する悪の組織・ショッカーの初代大幹部。
悪の初代大幹部として、当時の全国の子供達を震え上がらせた。
仮面ライダーにおいて
ショッカー日本支部初代大幹部として登場。フルネームは、バカラシン・イイノデビッチ・ゾル。身長194cm、体重79kgの偉丈夫。口ひげを生やし、緑と紺の2着の軍服を着こなすダンディな壮年男性。武装親衛隊に憧れていたらしく、どちらかと言うと親衛隊寄りの残虐な気質を持つ。
実際、拉致した人々を怪人の実験で殺害するなど指揮を執った作戦は残忍かつ冷酷であり、また、様々な作戦で日本侵略を繰り広げてライダーを何度も窮地に追い込んだ実力者でもある。
長年の経験からか勘が鋭く、第35話では密かに忍び込んだ滝の気配を察知し戦闘員のナイフを投げつけて攻撃したこともある。
ドイツ(ライプツィヒ郊外)出身。元は国防軍の大佐で、ナチスにも所属。アウシュビッツの管理者も歴任した。左目はその際の漏れた毒ガスで失明し、以来アイパッチを着用する。
常に手にしている鞭は軍功に報いてヒットラーから授かった物で、後に改良が加えられ、毒も仕込まれた上に電撃で改造人間ですら殺傷させる威力まで持つようになる。他にも伸縮自在の指揮棒としても使え、無線を発信して怪人を操ることが出来る。ゾル大佐が改造手術を受けた際に狼男に変身できるスイッチも付けられた(『仮面ライダーofficial Magazine』より)。
第二次世界大戦後期にヒットラーの自殺で第三帝国は崩壊し、ゾルも戦犯となったが、その能力を買われて死神博士と共にショッカーに招かれた。軍服と階級は引き続き使用している。
ショッカーの中近東支部長に着任時は、敵の中に味方を潜入させる作戦でショッカーの邪魔者達を破り、かの地を憎悪と破壊の坩堝とし、少年・少女を洗脳して破壊活動をさせていった。 その功績でショッカーの大幹部に昇格し、最高の実権を持つに至った。「その名を聞き、姿を見た者は必ず死ぬ」と言われたほどの実力者で、彼をマークしたFBIも、捜査官が数名倒されている。
作戦に失敗した者を許さず、作戦中の殺人をゲームの様に楽しむ残忍な性格をしていて、戦闘員や怪人からも恐れられている。同時に規律に厳しい生真面目な軍人気質の人物でもあり、僅かな服装の乱れも「精神の弛み」として部下を指導したり、配下の怪人を使った作戦時は該当怪人マークのエンブレムを軍服の胸部ポケット部分へ貼って指揮を執るなど、律儀な面も併せ持つ。
首領から仮面ライダー2号打倒の任を帯びて、初代日本支部長に着任。激闘を繰り広げる。
しかし、その神経質な完璧主義が災いし、作戦中に基地の電源を落とされた時などは、機材を叩いて直そうとするなど人間臭いところも見せた。
変装の名人(本人曰く「化粧は得意」)でもあり、滝和也に変装し警官を暴行してその罪を彼に着せようとしたこともあった。ちなみに失明した左目には義眼が埋め込まれている。
クリスマスにおける最後の戦いでは黄金狼男に変身して仮面ライダー2号と激闘を繰り広げるが、ライダーパンチで殴り飛ばされ谷底に転落し、爆死した。
その後(『仮面ライダーV3』でもゲストとして出演)、デストロンの改造人間再生技術で蘇生しているが、その時は服装がショッカーの時とは異なっていた。作戦執行前にアジトの大爆発に巻き込まれて結局死亡する。
仮面ライダーディケイドにおいて
演:奥田達士
『仮面ライダーディケイド』ではディケイドを憎む謎の人物・鳴滝が変身して、大ショッカーの残党、スーパーショッカーの大幹部として登場した。
つまり、『仮面ライダー』と『仮面ライダーV3』に登場して死亡したゾル大佐本人が再び生き返ったわけではない。
2代目ゾルになった彼は軍人気質の人物になり、原典のゾル大佐同様、服装にうるさくなっている。死神博士と共に戦闘員と怪人を率いてディケイド達に戦いを挑むも、ディケイド達の猛攻に破れさり、ドラスの乱入と共に起きた爆発の所為で元の鳴滝の姿に戻ると、お決まりの台詞を吐き捨ててそのままいずこかへと消えてしまう。
元々鳴滝は『オールライダー対大ショッカー』では思いっきり反大ショッカー寄りの言動を取っていたので、なぜ彼が大ショッカーの後継組織を牛耳り、コードネームとしてゾル大佐の模倣変装をしたのかは謎に包まれている(何らかのバックに存在する相手に洗脳されたと解釈するのが妥当ではあるが)。
『オーズの世界』でも、時系列は曖昧で不明だが変身している。
変身体である「黄金狼男」も登場する。
他媒体展開
仮面ライダーSPIRITS
死神博士共々、バダンによって地獄の底から蘇る。しかし、どちらも実際は別の素体から造られた魂の無い傀儡であり、ゾルや死神博士本人が生き返ったわけではない。
ショッカー怪人と大量の戦闘員を率いて首都東京を廃墟に変えた。
『新SPIRITS』の関東編では、時空魔法陣の力で東京湾基地に呼び寄せられた1号ライダーに襲い掛かる。死神博士共々怪人の本性を現し、一騎打ちを望むガラガランダを邪魔だとばかりにミサイルで射殺するが、ガラガランダの右腕の破片が足に絡まってイカデビルと足元を括りつけられてしまう。
最後はライダーきりもみシュートを受けてイカデビル共々爆発四散した。
ゲームでの扱い
ファミリーコンピュータ用ソフト『仮面ライダー倶楽部』では1号編のボスとして登場。
プレイステーション2用ソフト『仮面ライダー 正義の系譜』(演じたのは高塚正也)では1・2号の時代のボスとして登場。
いずれも、原作で面識のない1号ライダーと対戦する事になる。
真の安らぎはこの世になく
SHOCKERアメリカ支部に所属する重要人物を務める男性「ウルフソン」として登場。アドルフ・ヒトラーの信望者と思われる危険人物。
余談
ゾル大佐を演じた宮口氏はゾル大佐を演じたことで、子供に嫌われ蹴られたことがあるが、「役者冥利に尽きます」とコメントし喜んだという。
関連項目
ゼロ(KOF)(「化粧は得意でね」という独特の言い回しがオマージュされている。)
シータ・ストマック:【本編で一番最初に倒された狼がモチーフの幹部怪人】という共通点から
九条貴利矢、迅、富加宮賢人、吾妻道長、ギロリ:後のライダー作品にてクリスマスの時期に殉職したキャラクター繋がり。だがこの5名は仮面ライダーであり、しかも後に復活しているのもゾル大佐と同じである。更に奇しくも貴利矢とギロリが消滅した回の放送日はゾル大佐が退場した回と同じく12月25日であった。