概要
本名は秋山忠史(あきやま ただし)。旧芸名は宮口二朗(読み同じ)。
日本大学藝術学部中退。劇団ひまわり、エヌ・エー・シー、東京企画、アマチ企画を経て、中里事務所に所属していた。
経歴
中学・高校と劇団ひまわりに所属。大学入学後、住み込みの付き人として天知茂に師事した。
天知のもとで演技を学び、1964年のテレビドラマ『廃虚の唇』で、天知を狙う殺し屋役でデビュー後、悪役俳優として、テレビ・映画・舞台で活躍した。
テレビでは刑事ドラマから特撮番組まで、様々な作品に出演しており、演じたキャラクターでは『仮面ライダー』(1971年、東映 / 毎日放送)のゾル大佐、『非情のライセンス』(1973年-1976年、東映 / NET)の坂井刑事で知られる。
デビュー以降、芸名の表記は主に宮口二朗だったが、1974年、姓名判断により宮口二郎と改名した。
1983年、師匠の天知茂が製作主演した日西合作映画『狼男とサムライ』(La Bestia y la Espada Magica)に、織田信長役で出演した。この映画は日本では未公開となり、その後天知が急逝したため、テレビ放映された際には天知の声のアフレコを宮口が担当した。
1995年9月18日死去。55歳没。
人物・エピソード
演技力はもとより身体能力にも優れ、走行中の列車上での格闘(『キイハンター』第161・162話)や屋根伝いの大立ち回り(『江戸を斬るVI』第15話)など、危険を伴うアクションシーンを、吹替え(スタント)なしで自ら行うこともあった。
また、時代劇でも得意の殺陣を活かし、凄腕の用心棒など剣客役を数多く演じた。萬屋錦之介も剣劇俳優としての宮口の才能を高く評価し、舞台公演も含め数々の作品に招いている。晩年、悪家老や悪奉行などの黒幕役を演じた際も自ら殺陣に参加し、「戦う悪役」としてのキャリアを全うした。
『仮面ライダー』でゾル大佐役に起用された際の衣装選びでは、自らナチ風の軍服(前期は詰襟だったが、後期は白マフラー)を選んだ。このゾル大佐の扮装で「仮面ライダーショー」のサイン会に出席した際には、仮面ライダーの敵だとして子供に蹴られたことがあったという。これを振り返った宮口は「役者冥利に尽きます。子供の頃の思い出は、大切にしてほしいですね」と語るなど、役の上での極悪非道ぶりとは正反対の、気さくでちびっ子ファンを大切にする俳優であった。
妻は悪女役で一時代を築いた女優の弓恵子、義父は名脇役として戦前から活躍した潮万太郎。義弟の柴田昌宏と柴田侊彦も俳優である。