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真の安らぎはこの世になく

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しんのやすらぎはこのよになく

『真の安らぎはこの世になく-シン・仮面ライダーSHOCKERSIDE-』とは、映画『シン・仮面ライダー』のスピンオフ作品。

概要

正式タイトルは『真の安らぎはこの世になく-シン・仮面ライダーSHOCKERSIDE-』。

脚本は庵野秀明、漫画脚本は山田胡瓜、作画は藤村緋二

週刊ヤングジャンプ新年4・5合併特大号より連載される『シン・仮面ライダー』のスピンオフ作品で、SHOCKER視点での物語が展開される。

第1話に石ノ森章太郎氏の漫画『鉄面クロス』に登場する鉄面クロスと仮面ライダーの初期構想に存在した『十字仮面クロスファイヤー』を合わせたようなヒーローが登場する事が判明している。

タイトルはヴィヴァルディの作曲したモテット「Nulla in mundo pax sincera」の邦訳「まことの安らぎはこの世になく」に由来しており、作中でも該当曲が登場している。

あらすじ

正義感の強い小学生・緑川イチローは、ある日、母・硝子を行きずりの男に殺されてしまう。絶望に苛まれるイチローは、父・の案内によって、「人類全体の幸福」を目的とする秘密結社SHOCKERの一員となる。ケイというAIロボット、クモサソリといったSHOCKERの戦士たちと触れ合い、またSHOCKER内部の勢力争いに巻き込まれていくイチローは、とある任務中に重傷を負ってしまった結果、弘が開発していたプラーナと呼ばれる物質を注入され、人間離れした強靭な肉体を手に入れる。

数年後、十代後半となったイチローは、研究一辺倒の弘との仲が次第に悪化していく。そんな中、弘の友人の遺児だという少女・ルリ子が現れ、なし崩しに彼女の「兄」となってしまう。身勝手な父に苛立つイチローだが、SHOCKERアメリカ支部がSHOCKERの理念に反する計画を企てているとわかり、クモ、サソリ、弘、ルリ子、ケイとともにアメリカ支部の幹部ウルフソンと新型AI・カイと対決する。辛勝するも、サソリは本来の人格・詩織が目覚めて別人となってしまい、さらにルリ子が緑川夫妻の遺伝子を使ったデザイナーベイビーだと判明。イチローはますますSHOCKERと父への不信を抱き、自らの理想を実現するため、SHOCKERの幹部となる。

10年後、すっかり青年となったイチローは、理想実現のために都政にもかかわるなど積極的に活動していたが、現実とのギャップに懊悩する。一方、イチローが時折暴走することを心配するルリ子は、弘からプラーナに関するデータを見せてもらい、最初にイチローへ注入されたプラーナの中に、硝子を殺した男を含む、数々の凶悪犯から採取したものが含まれていることを発見する。プラーナに含まれた凶悪犯の魂に影響されて理性を失ったイチローは、ジャーナリストの一文字松哉夫妻を殺害してしまう。

SHOCKERの裏切り者や敵対者でも何でもない、一般人を殺めてしまったイチローは深い絶望に陥り、これまでの活動の一切を辞めて引きこもる。彼を救いたいルリ子は、イチローの内部のプラーナにアクセスする。結果、イチローも母を殺した男のプラーナと接触してしまい、母の末期の言葉だけでなく、彼の悲劇的な半生をも理解し、憐れみと憎しみの相反する感情に苛まれた結果、すべての人間がプラーナで接続し、差別も無理解もない究極の融和を果たすことこそが人類を救済すると考え、「ハビタット計画」を考案する。計画の危険性を軽視するイチローをとめようとルリ子が弘に相談すると、弘は暴走するイチローやSHOCKERを止めるためには圧倒的な「力」があると考え、その担い手として本郷猛という青年を選ぶ。

登場人物

人間キャラの名前は原作となった『仮面ライダー』をはじめ、石ノ森章太郎作品で登場したキャラクターの名前となっている。

本作の主人公。研究に明け暮れる科学者の父と心優しい母を持つ。叔母に美希がいる。

正義感の強いバイクオタクで、転校生のマモルとはとても仲が良かったが、彼をいじめから庇って以降、自分がターゲットにされてしまっただけでなく、母が通り魔に襲われて他界するなど不運の連続に見舞われる。

いじめっ子からのいじめに耐えかねて反撃したことから退学処分を喰らい、現在はSHOCKER基地で暮らしており、その折に首に何らかの施術を受けた。

ケイからSHOCKERの一員となる為に必要な教育を受ける他、仲間としてクモオーグとサソリと交流を持つようになる。組織の幹部の一人であるクラークに父ともども拉致され、SHOCKERの内部分裂に巻き込まれる事となった。その際、クラークを排除する為に現れたが苦戦するクモを救うべく、クラークの『目』であるドローンを取り押さえる。クラークの排除には成功したが、イチローは胸部を銃撃されて瀕死の重傷を負う。生死の境をさまようが、父のプラーナ技術によって蘇生した。この件から本格的にSHOCKERの一員となる決意を固めるが、現在は肉体の変化に苦悩しているようである。

名前の由来は『キカイダー01』のイチローからと思われる。

映画本編のヒロイン。

SHOCKERに参加してしばらくしてから、弘が「亡くなった友人の遺児」としてイチローのもとへ連れてきた。事故によって脳に障害を負い、その補助として機械脳を埋め込み、また失われた記憶の代替として自身が緑川家の長女(イチローの妹)であるという記憶を埋め込まれている。そのため、イチローを「兄」、弘を「父」と呼んでいる。

当初は、まるでロボットかアンドロイドのように無機質な喋り方をしていたが、イチローやファウストの面々と過ごしていく中、人らしい振る舞いを身に着けていく。

実は、弘の友人の遺児というのは嘘であり、弘と亡妻・硝子の遺伝子を用い、SHOCKERの人工子宮から生まれた人造の存在。よって、遺伝子上はイチローの妹である。

イチローの父。SHOCKER傘下の「ファウスト・ネットワーク」という企業と共に脳に関する研究を行っている。

研究に追われているが、イチローにマフラーをプレゼントしてツーリングに連れて行くほどの家族愛は持っており、現在はイチローと共にSHOCKER基地に移住し、人類を病魔や死の恐怖から救う「プラーナ」なる技術を研究している。

妻である緑川硝子の死をきっかけに人が変わったかのように研究に邁進していき、クラークとの戦いで重傷を負ったイチローにプラーナを施した事で蘇生させている。息子が徐々にプラーナに適合して人ならざる力を手に入れたことに狂喜しているが、それは人類のためと称して自分の息子を事実上実験台に使ったも同然であり、この点はサソリやクモからも追及されているが、他に救う方法はなかったと返している(実際プラーナを施さなければイチローは助かっていない)。

自身の研究を務めていたユニットリーダーを任せていた丸山京太郎がクラーク殺しの報復として何者かに殺された事を悔やんでいるあたり、人間としての良心はまだ残っているらしい。

名前の由来は『仮面ライダー』の緑川弘博士から。

イチローが緑川に連れてこられたとある組織が管理する研究施設のロボット。

イチローの「暴力のない世界作り」の手伝いがしたいと申し出ており、彼の教育係(座学を担当)を務める。

アイなる存在に従い、イワン派に肩入れしている。

モデルは『ロボット刑事』に登場するヒーロー「K」。

ケイがイチローの学友として連れてきた改造人間で、常に仮面を装着している組織の掃除屋。

実直で自然好きな性格。人間嫌いを自称するが、イチローに対しては丁寧に接し、クラークとの戦闘で自身を助けて貰った恩からトレーナーを請け負う。

ケイがイチローの学友として連れてきた改造人間でハーフアップの美女。サソリはおそらく通称。「サソリオーグ」。

一見、明るく見えるが年端も行かぬイチローに対して「エクスタシーしない?」と問いかけたり、英語の授業では卑猥な単語をイチローに教えようとしたり、クモオーグとの組手では首を絞められて感じるドM淫乱である。よく見ると普段着も網+下着となかなか際どいデザインであり、作中では学生服姿も披露している。

しかし、逝ってしまうと快楽を貪れないと語るなど本人なりにポリシーがある。

本名は詩織。父親からDVを受けており、一時母と逃げたものの、(恐らく行政のミスで)逃亡先を父親に知られた結果、母親は(恐らく)自殺し、自身は父の暴力を受け続けた。結果、サソリという別の人格を生み出し、詩織の意識は眠ることになった。そうした経緯から、歪な親子関係にあるイチローに共感を示している。

カイとの戦いの最中、サソリの人格が失われ、詩織としての人格が目覚める。詩織はサソリのやっていたことをほとんど把握していない。

  • クラーク

SHOCKERの構成員である軍事企業「FAUST」の幹部。兵器売買で金儲けを目論む派閥に属する。

民主主義国家に武器を売り渡して、彼らの正義を完遂させる事で平和をもたらそうと嘯く。

ファウストの研究所に弘らを誘拐し、アイとクリプトキューブの情報を渡すように要求してきた。

腕からレーザーを発射する強化人間であり、クモとサソリの二体を同時に相手どれる強敵だったが、イチローが軍事ドローンを捕縛した隙を狙われてクモに頭を叩き潰される。

クモオーグたちがあくまでも生身なのに対して、クラークは機械化による強化を行なっているらしい。

モデルは恐らくブラック将軍(クラークブラークブラック将軍)。

  • イワン

SHOCKERの構成員らしき不気味な風貌の男性。クモオーグとサソリは彼の配下である。

兵器や人身売買といった非合法手段で金儲けを重視する派閥とは対立している模様。

クラーク曰く、精神的に追い詰められた人物や異常な衝動を持った人物を組織にスカウトしているとの事。

クモオーグに何らかの施術を施そうとしているあたり、改造人間に関する技術に長けているものと推測される。

名前と容姿のモデルは死神博士(本名がイワン・タワノビッチ)と彼を演じた天本英世から。

  • ヘルマン

SHOCKERの構成員である軍事企業「FAUST」の幹部。

イワンによるクーデターが発生した際、アジトに突入してきたイチロー達に人型兵器「ガーディアン」を差し向けるが、ガーディアンを全てクモオーグに破壊されてしまう。やむなく交渉の為に姿を現すが、暴走状態のクモオーグの繰り出した拳の一撃で胴体に風穴を開けられ、「悪魔め… 地獄へ落ちろ…」と呪詛の言葉を吐いて倒れ伏した。

そのまま死亡したかに見えたが、第14話で生存していることが判明。しかし、既にSHOCKER幹部としての地位は失っており、緑川博士の説得に応じて本来の職務に復帰した。

モデルは恐らく地獄大使ヘルマン→地獄大使)。

  • 綾小路 律子

SHOCKERの構成員と思しき人物。カイの事件後、幹部の一員となった。

世界の支配や功名心といったSHOCKERの体質に反発するイチローに、言葉巧みにすり寄る。

名前の由来は『仮面ライダー』第10話のゲストキャラクターである綾小路律子から。

クモオーグがかつて愛し、「裏切った」という人物。

純粋無垢な人物だったようで、クモがイチローに目を掛けるのもその人物と重ねているからである模様。

彼を嘲笑ったという人間の存在がクモの人間嫌い、ひいては自らの顔を溶かすという自罰行為に繋がっている模様。

  • 丸山京太郎

独立行政法人革新科学研究所脳神経科学研究センター・ファウスト連携本部神経幹細胞研究ユニットリーダー。緑川博士の研究を手伝っていたが、何者かに暗殺された。

  • ウルフソン

SHOCKERの幹部で、米国支部の管轄者。緑川博士曰く

「稀有な実業家」で、米政府との繋がりもある。

アイの暴走や反逆に備えて新たなAIの開発を唱えているが、その真意は不明。

モデルは恐らくゾル大佐

ウルフソンが崇拝するSHOCKER米国支部の人工知能。外部との接触にはウルフソンから「天使」と呼ばれる、年端のいかない少女の姿のアンドロイド2体を通じて行っている。

元々はアイが暴走した時の予備として制作された存在だが、彼方とは違い“人類のアライアント(整理)”を目的に活動を行っている。

後のハチオーグ。カイの事件後、ルリ子と出会う。

「満たされない心」を与えられた結果、幸福や生きる意味を自ら追い求める性質を持つ。

ヒロミと並び、イワン率いる“死神グループ”が生み出した人工子宮実験の最終完全体の1人で、彼女の弟にあたる少年。

組織から人為的に<満ち足りた心>を与えられた影響なのか、その表情は何処か悟りを開いた様な退廃的なものにも見える。ただし組織からは「個」としては理想的だが「全」の幸福へと導く器には成り得ないとみなされている。

尚、元々は設定だけは存在していた人物である事が明かされている事や、その名前と立場から、おそらく“植物とのオーグメンテーション手術で命を落とした人物”その人である可能性が高い。

  • 古賀刑事

表向きは隠蔽されたSHOCKERの起こした事件に不審を感じ独自に捜査する刑事。

名前の由来は、原典『仮面ライダー』のコブラ男のエピソードに登場する同名の刑事と思われる。

  • 多田野

カイの事件の後、SHOCKERの幹部の一人となった科学者。ヴィールス研究の第一人者だったが、その研究結果が改ざんデータによるものだと世間に触れ回られた結果、表社会から追放された。

SHOCKERの理念に興味はなく、自分の研究だけが優先事項だったが、己の論文を誠実に読み取ってくれた弘には「好敵手」として好感を抱いている。

恐らく、後のコウモリオーグ。

一文字隼人の父親。文筆業を営む男性で、ファウスト絡みの事件を追っている。

  • 川尻都知事

カイ事件から10年後、東京都知事になった男。元ファウストの一員で、幹部となったイチローとも接点がある。

ウルフソンも使っていたAI技術を使って「だれ一人取り残さないデジタル改革」を推し進めている。

革新科学研究所のインターン。プラーナ研究で行き詰った弘が偶然出会い、「もし普通の人生を歩んでいたら、イチローも彼のようになっていたかも」と思わせた。

  • 石神 大造

莫大な資金を持つ実業家。アイの開発に資金援助した。

映画にも「SHOCKERの創設者」として登場したが、名前は出なかった。

名前はおそらく、仮面ライダーシリーズの原作者・ノ森章太郎が由来。

本編とのつながりについて

仮面ライダー第1号の変身ベルトが「DX仮面ライダー 変身ベルトタイフーン プラーナ強制排出補助機構付初期型」の名称で販売される事が公開前から公表されており、本作で初登場した「プラーナ」は本編にも密接に関わる要素である。

なお、プラーナは「息吹」を意味する古代インド哲学用語であり、対応する元素は「風」。

また、本作の主人公である緑川イチローは本編においても成人の姿で登場しており、「仮面ライダー最大の敵」として立ち塞がっている。

56話からは『シン・仮面ライダー』本編でも描かれたストーリーが中心となるが、映画では描かれなかった登場人物達の心情が明らかとなる。

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