サソリオーグ
さそりおーぐ
原典におけるさそり男に相当し、英語名はSASORI-AUGMENT-01。
クレストは刺々しい蠍(見た目はデストロンのシンボルマークの蠍に似ている)。
他のオーグメントとは異なり、素顔の右半面が露出する仮面を着けた女怪人。左目の周囲から頭頂部にかけて黒いサソリが装飾として配置され、左腕もサソリの鋏のような形状になっている。
武器として左腕の鋏の他、コンテナにKAWAII DOKUとローマ字表記された猛毒性の化学兵器を用いる。
原典のさそり男と同じく女性の下級構成員を引き連れており、戦闘中はライオットシールドを装備した女構成員に防御を担当させている。
性格は常にハイテンションで、前日譚である『真の安らぎはこの世になく』同様、英語交じりの喋り方が特徴。
一見ユーモラスに見えなくもないが、オーグメントの肉体にも通用する危険な毒物を開発し可愛がっていたり、戦闘時には下級構成員を盾にすることを厭わず、流血や殺人に興奮と快感を感じるなど、性質は冷酷かつ残忍である。
コウモリオーグが倒された後に登場。
襲撃をかけてきた政府の男と情報機関の男が率いる特殊部隊と対峙。女性下級構成員との連携で特殊部隊を蹂躙したものの、圧倒的物量には敵わず最終的には彼らの手で排除され、結果的に仮面ライダーと戦うことなく死亡した唯一のオーグメントとなった。
その最期も、戦闘を中継するモニターから聞こえる彼女の興奮の声が大量の銃声と共に断末魔に変わり、上記2人が無表情かつ事務的に「排除を確認」するという、かなり淡々とした演出で表現された。
ルリ子曰く「彼女の毒はプラーナでも対処不可能」だったため、本郷猛/仮面ライダーが仮に彼女と交戦したとしても毒を打ち込まれてしまえば敗北していた可能性が高い様子。
彼女の遺した毒は後に意外な形で用いられることとなり…。
オーグメントになる前の強化人間・サソリとして登場。本名は「詩織」
主人公・緑川イチローの学友としてケイが連れてきた強化人間の1人で、クモとも異なった方向性からイチローと接することとなる。
普段は明るい性格のムードメーカーであるが、親に裏切られた経験を持っており、暗い過去が示唆されている。
また性に奔放な面があり、イチローに卑猥な英単語を教えて揶揄ったり、「体育の授業」でクモから首を絞められて悦ぶなどマゾヒストらしき面もある。日頃の服装も下着の透けて見える網状のワンピースというかなり際どいもので、「授業」においては学生服を着ている場面もある。
英単語を交えて喋る癖を持つが、英語圏ネイティブというわけではなく発音は殆どカタカナ英語で、ときどき発音を間違えて恥をかくこともある。
本業は組織内の「掃除」=不穏分子の排除。クモオーグ同様、イワン博士の派閥に属している。
創業派のアジトに乗り込んだ際、暴走状態のクモオーグを止めるべく戦闘に入るが、クモオーグの副腕から繰り出された一撃によって左腕を千切られてしまう。
クモオーグの鎮静後、もげた左腕は下級構成員によって回収されており、手術で無事元通りに接合。この接合手術は「人体の一部にオーグメント手術を施す実験」も兼ねており、左腕を自由自在に怪人化させることが可能となっている。
組織に不信感を抱いているのかは不明だが、どこか思うところはあるらしく、イチローに対し共にSHOCKERを脱退しないかと持ち掛けている。
しかし、イチローの説得もありそのままSHOCKERに留まることを決めた。
アメリカでの一件が原因でサソリの人格は一時消息不明となる。
何とかルリ子がサソリのプラーナを見つけ詩織本人の意思により戻ることはできたものの、プラーナが不完全だった上に無理やり実験を行った影響で精神のバランスを崩しており、自我は完全に崩壊。最終的にはサソリオーグという狂人となりイチローの元を離れていくことになる。
SHOCKERの一員となる以前は、自堕落な父親から母共々暴力を振るわれる壮絶な日々を送っており、そんな父親の元から逃げ、母と共にアパートで暮らしていた。
だがアパートの住所を父親に特定されてしまい、玄関で待ち構えていた父親に遭遇。再び暴力を振るわれ続け、その最中に母親は息を引き取った。(死因は不明だが、彼女は「ハイになってヘブンにゴー」と評していることから、薬の過剰摂取による自殺の可能性がある。)母親の死後も暴力を振るわれ続けた結果、現在のサソリとしての人格が誕生したという。ちなみに元の人格である詩織は普段はサソリに一切を任せている。
このような過去を経験した影響で父親という存在を忌み嫌っており、イチローにも親をあまり信用しないよう忠告している。
この頃のトラウマによりテディベアを見るとフラッシュバックを起こしてしまいSHOCKER製のドラッグで抑えなければいけなくなる。
アメリカでの一件が原因でサソリの人格は一時消息不明となった。
その後、SHOCKERの洗脳技術を使って無理やりサソリの人格を戻した。
限定版ブルーレイの特典ディスクに収録された「各話フォーマット版」の「第4幕後編ED」及び「新番組予告」では、如何なる経緯か再生を遂げた(或いは別の人間を素体に再生産された)「再生サソリオーグ」として登場。あくまで特典映像であるため詳細は不明であるが、同じく再生された他のオーグメント達と共に、仮面ライダー第2+1号と戦う様子が映されている。
その外見はオリジナルのサソリオーグが下級構成員の物と同形状の赤いマスクを被っているというもので、目元まで隠れているという違いこそあるものの、放射線状の模様も相まって原典のさそり男により近い見た目となっている。
- 演者の長澤女史は『シン・ウルトラマン』にて浅見弘子役を演じており、シン・シリーズへの出演は2回目となる。しかし、わずか1分ほどで出オチ同然に倒されたため、その扱いに賛否両論が見られた。
- メタ的な理由としては「スケジュールの都合」らしく、本作の撮影前後にも他のドラマや映画の撮影などかなり仕事が詰め込まれていた様子。さらに本郷猛役の池松壮亮氏もインタビューの中で「撮影は3日間だった」と証言している。そのためか、仮面ライダーやSHOCKERの上級構成員らが受話器を持って電話を楽しむ企画『シン仮面ライダーもしもしシリーズ』にも参加せず、Youtubeの公式チャンネルにもサソリオーグのメイキング映像が無かった模様。
- とはいえ、仮面ライダーシリーズには警察が仮面ライダーと協力して怪人の駆除にあたり、見事撃破に成功した作品もあるため、「普通の人間であっても知恵を使ったり工夫したりすることで怪人を撃破することも可能である」ことを示しているといえる。
- 上記の排除される直前、よく聞くと何故か当人が「ガクッ」とセルフの効果音を口にし、その直後に排除されたのが分かる(プライムビデオで配信された際は、字幕付きにすると実際に「(サソリオーグ) ガクッ 」というシュールな字幕が表示される)。ある意味でキャラクター性が一貫しているというべきか……
- 上映前の特報や予告では仮面を被った部分のアップが一瞬しか出ておらず、「さそり男がモチーフの女性怪人が登場する」という点以外の情報がないこともあってファンの間で様々な憶測が行なわれていた。
- 『真の安らぎはこの世になく』に登場した「サソリ」について作者の山田胡瓜はラッシュで観たサソリオーグに着想に得たものであることをTwitterで明かしているが、一方で直接の関連については「まだ秘密です!」とぼかしており、今後何らかの展開があることを示唆している。
- 初期設定では原典と同じく男性にする予定だったが、当初ラスボスとして君臨するはずだった緑川ルリ子の姉という設定が紆余曲折を経て最終的にルリ子の兄・緑川イチローへと変化したため、女性へと設定を変更することになった模様。
- 顔の半分を隠した特徴的なフェイスマスクのデザインについては、「『快傑ズバット』第1話に登場した地獄組組長・地獄竜がモチーフの1つになっているのでは?」と往年からの特撮ファンに指摘されている。
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