大量発生型相変異バッタオーグ
たいりょうはっせいがたそうへんいばったおーぐ
チョウオーグ=緑川イチローの野望を止めるべく、単身で基地へと侵入する仮面ライダー第1号の前にトンネル内で立ちはだかる。
「相変異」の名が示す通り、蝗害の如く一糸乱れぬ統率された動きで敵に襲いかかる獰猛な兵隊。
量産型サイクロン号とサブマシンガン(H&K MP5)で武装している他、作中では使用することは無かったが右大腿部にサイドアームとして拳銃(H&K USPとベレッタ92F)を携帯している。
カットされたシーンのセリフによれば、第2バッタオーグがSHOCKERの洗脳を脱した失態に学び、質より量を優先して開発された模様(つまり、一文字の離反から短期間で造られた事になる)。
マスクの形状は第1号と第2号に近い物になってはいるが、スーツは細部に至るまで大きく異なっており、特殊部隊のような戦闘服の上にプロテクターを装着したようなものとなっている。
戦闘中は暗所なので非常に分かりにくいが、全体的にダブルライダーよりも暗くて黒系のカラーリングとなっている(ゲーム版だと、ステージが明るいので違いが分かりやすい)。
ダブルライダー同様、腰には変身ベルト「プラーナ蓄積循環外部補助機構簡易タイフーン(量産型)」を装着しており、仮面ライダー(第1号)と同等の戦闘能力をもたらす。ベルトからは左右それぞれ一本ずつパイプが伸びており、それらはコンバーターラングに相当する外装部分と直結している(K.K.オーグも同規格のベルトを装着しているが、こちらは「3種合成型という特殊なオーグメントであるため、体外に伸びたバイパスなどを通じてエネルギーを循環させている」とのこと)。
マフラーに相当するネックカバーの色は黄色。左腕と搭乗するサイクロン号にSHOCKERのエンブレムが施されている。
マスクの下の顔はオーグメントの中で最も異形化が進んでおり、マスクがそのまま生物の顔になったような文字通りのバッタ怪人とも言える形相と化している(素顔が露になるシーンは周囲が暗く、マスクに似た姿になっている事も相まって口元だけが露になったように見間違いやすい)。
戦闘中にマスクが破損しても声一つ上げず、人間の姿に戻らない事もあり、自らの心情がこもった言葉を叫ぶ他のオーグメントとは違った不気味さを持つ。
原作では本郷、一文字の同型の改造人間としての完成形に至ったショッカーライダーとは逆に、量産型や簡易型といった性質が色濃い。
11体それぞれが仮面ライダー(第1号)と同等の力を持つとされるが、上述通り質より量に重点を置いて改造された為か、基本的に集団で襲いかかる戦法を取っている。例として、ライダーキックには相手のライダー1人に対し3体同時攻撃で対処しており、これで互角の威力となっている。
サブマシンガンによる攻撃は、本郷がサイクロン号の車体で銃弾を防いだ為にほとんどダメージを与えられなかったが、数の多さと長引く戦闘の前に本郷は限界を悟っており、第2号が駆けつけていなければいずれ致命傷になり得た可能性も示唆されている。
搭乗している量産型サイクロン号はオリジナルと遜色無い性能と思われ、マフラー部分の変形で滞空も可能。
イチローのアジトへと向かう仮面ライダー第1号の前に立ちはだかり、イチローの合図と共に攻撃を開始。空中からサブマシンガンによる一斉攻撃で第1号に襲いかかる。
トンネル内での激しいチェイスの末、1号のサイクロンアタックやライダーパンチなどで計4体が撃破されるが、1号が落車すると、すかさず残った7体の内6体が彼の周りを包囲。1体がサイクロンに跨ったまま押さえつけ、第1号のマスク目掛けてサブマシンガンを至近距離で乱射し、第1号のマスクを破壊寸前にまで追い込んだ。
だが、そこへ仮面ライダー第2号が駆け付けたことで戦況が一変。1号に発砲していた1体が2号のサイクロンアタックで撃破される。残りの6体はサイクロン号をダブルライダーの至近距離で自爆させるも、相手が生き延びたことを確認し、最後の攻撃を仕掛ける。
3人一組のライダーキック等で激闘を繰り広げるが、スペックの差から次々とダブルライダーに倒されていく。最終的に2体まで数が減り、最期はライダーダブルキックを受けて倒され、全滅した。
劇中でルリ子と政府関係者2人がセーフハウスで会話するシーンがあるが、その中で一瞬だけショッカーの極秘情報のページが映る。
そのページの中に彼らの正体と思われる記述がある。
-June 24th
Eleven elementary school children apparently collecting insects were actually kidnapped.
As per the most recent report, the children are being taken towards Mt. Takao. It is believed that they have been brainwashed and have become members of SHOCKER.
(訳:6月24日
昆虫採集をしていた小学生11人が誘拐された。情報によると子供達は高尾山方面に連れ去られたと思われる。
洗脳を受け、ショッカーのメンバーとなっている可能性あり)
これ自体は1972年6月24日放送のTV版仮面ライダー65話『怪人昆虫博士とショッカースクール』において、「仮面ライダーといっしょにカブトムシを採集しよう」という誘いに騙された子供たち11人が高尾山に拉致され、カブトロングに洗脳された事件が元ネタとなっており、ショッカーライダーと直接の関係性は無い。
しかし確証は無いがわざわざこの「11人が拉致された」というエピソードを採用し、かつ「11人」という大量発生型相変異バッタオーグの数と一致する人数である事は、色々と裏を勘繰ってしまう部分がある。
もしこの記述が彼らのことを指しているのであれば彼らは洗脳され、大人と遜色ない姿に改造された上で、大量発生型相変異バッタオーグとして使い捨てられた事になる。
無論そうでなくとも、何の罪もない小学生たちはショッカーの「救済され幸福になるべき最少人数」に含まれず、その「幸福」のため犠牲になった事だけは確かである。
因みにゲーム版では一文字曰く「人間の時から碌でもない欲望を持った連中(意訳)」だったらしい。
- 『シン・仮面ライダー』におけるショッカーライダーに相当する。
- 撃破された際に、他のオーグとは違い、融解せずに爆発している(重機に叩きつけられた個体だけではなく、本郷にトンネル天井に蹴り飛ばされた個体も爆発している)。タイフーンが簡易型ゆえなのか、原点の怪人のベルトと同様、自爆機能がついているのか。
- 群生相のバッタは死ぬ時に周囲に毒素を撒き散らして土壌などを汚染してしまうため、そのあたりのイメージもあるのかもしれない。
- 劇中のイチローのセリフから、カラーリングも含め、トノサマバッタの群生相がモチーフだと思われる。
- NHKで放送されたドキュメンタリー番組などによると、雨の降る屋外でのダブルライダー戦も撮影されていたが、スケジュール的にVFX合成が間に合わず、最終的には全カットとなってしまっている。
- 『シン・仮面ライダー』のポスターにアップで映っているマスクは実は第1号ではなく、大量発生型相変異バッタオーグの物である。ポスターを作る際に送れるマスクのイメージがこちらしか無かったとのこと。なお、合成されている目自体は本郷を演じる池松壮亮氏の物である。(黒いマスクの1号なのでいわゆる桜島1号を期待したファンも一定数いた)
- 第1号&第2号と、シン1号の中間に登場するバッタオーグという意味では、カラーリングに桜島1号を意識した部分はあるのかもしれない。
- 没になったシーンとして屋外で第1号を迎え撃つ萬画版を意識したシーンがあるが、こちらではシン・本編では存在しなかった改造サイクロン(原典のサイクロン号と新サイクロンの中間に位置するバイク)らしき機体に乗っている様子が確認できる。実物も複数作られているようなのだが本編では暗いトンネルで迎え撃つシーンとなっており、そちらでは第1号や第2号のサイクロン号を黒くしたバイクに乗っており、上述の改造サイクロンがどうなったかは不明。フィギュアーツでも黒いサイクロン号になっている。
- 数を揃えなければならない予算の都合かグローブやブーツやニーパッドは市販品が使われている。
桜島1号、仮面ライダーブラック、仮面ライダージョーカー、仮面ライダーメタルビルド、仮面ライダーブラックサン:黒系のカラーリングのボディを持つライダー。特にメタルビルドは複眼まで黒い。
ライオトルーパー:同じく量産型ライダー(ただし公式には、仮面ライダーに含まれていない)。数の暴力かつバイク乗り、統率のとれたフォーメーション、TVシリーズでは6体登場など共通点がある。
仮面ライダーゼロワン、メタルクラスタホッパー:同じくバッタをモチーフとしたライダーと、群生相をモチーフとした強化フォーム。
仮面ライダーアバドン:こちらはイナゴモチーフの量産型ライダー。数の暴力と復活機能で脅威となる一方で変身者が高いスペックを活かし切れない素人による烏合の衆である上に悪意全開なので無感情な相変異とは対照的。
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