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サブマシンガン

さぶましんがん

サブマシンガンとは、拳銃弾を使用し、フルオート射撃可能な自動銃の総称。日本では機関拳銃または短機関銃とも呼ばれる。
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概要編集

サブマシンガンは、拳銃弾を使用するフルオートやバースト機能を持つ火器である。

拳銃型でフルオート機能を持つもの、小型カービンのような形状のもの等が混在しているが拳銃弾を使用しているものは概ねこれに分類される。

拳銃の設計を変更しフルオート機能、バースト機能を付与したもの(⇨モーゼルC96ベレッタ93R、H&KVP70など)や、特に小型のサブマシンガン(⇨MAC11TMPなど)は『マシンピストル』と呼称されることもある。


歴史編集

原型編集

サブマシンガンの定義に最初に当て嵌まる物は黎明期以前に存在していた。

それはマキシム機関銃で有名なハイラム・マキシム氏が1896年頃に設計した『ミニチュア・マキシム』という空冷式のデモンストレーション用の銃である。

この銃は前年に開発したエクストラ・ライトという持ち運びを容易とする為、徹底的な軽量化と二人乗り三輪車の後部につけて即席の銃座に出来るようにするというコンセプトの機関銃の銃本体を元に、更なる小型化を行い弾薬も7.63x25mmモーゼル弾、つまりモーゼルC96の弾を使用し、それをベルト給弾式で装填するという代物だった。

マキシム氏は当日のデモンストレーションでこれをスーツケースに入れて持ち運んで来たとの事で、概ねサブマシンガンとしての運用が可能な代物だったと思われる。

だがしかし、当時はまだサブマシンガンの需要という物が理解されて無い時代だったため、歴史の裏へと消え去ることになった。

なお現在は実機が英国のリーズにある王立武具博物館に保管されており、これを参考にマガジン式にしたプロップガンが作られ映画『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』に登場したこともある。


黎明期編集

第一次世界大戦後半、膠着した戦線を打開すべく、連合国・同盟国の両軍は塹壕線の取り合いに躍起になった。

塹壕内での白兵戦で長大なライフルは邪魔になり、専ら拳銃や棍棒ナイフ円匙(スコップ)など取り回しの良い武器が使用された。

1917年、アメリカの参戦で追い込まれ、塹壕戦に適した軽便な自動火器が早急に必要となったドイツ帝国軍は、セオドーア・ベルグマン武器製造社に開発を打診し、1918年初頭にルイス・シュマイザーの研究チームはMP18を完成させた。

MP18は、敵陣へ向け疾走できる脚力を持つ若者で構成された『突撃歩兵(ストッス・トルッペン)』に供給され、3月21日からのドイツ帝国軍春季大攻勢ではフランス軍の塹壕線を突破し8日で65km前進する事に成功した。

攻勢は3ヶ月で頓挫しドイツ帝国は崩壊したが、MP18は各国軍の将官・研究者に強い印象を与え、以降、各国はサブマシンガンの研究開発にしのぎを削った。

 

第二次世界大戦――サブマシンガンの栄光と挫折編集

第二次大戦では、多くのサブマシンガンが実戦投入され、ジャングルや市街地といった、接近遭遇戦が生起しやすいフィールドでその威力を遺憾なく発揮した。

当時はコストの問題もあってか中距離から小銃弾をばら撒くことができず、瞬発的に多くの弾丸を発射できるサブマシンガンは、装備品が限定される空挺部隊を中心に重宝された。安価に大量生産でき訓練が容易いこともあって、ソ連軍歩兵などはサブマシンガンを実質的な主力火器として使っていたほどだった。

しかし、第二次大戦はサブマシンガンの限界が露呈した戦争でもあった。装薬が少ない拳銃弾を使用するがゆえの射程の短さ、ライフルと比較した場合の貫通力の乏しさはいかんともしがたい。事実、ドイツ軍は都市郊外の戦いでソ連軍の半自動小銃相手に苦戦した。

1942年、ヘーネル社がStG44を開発。薬莢を短縮した弱装弾とはいえライフル弾を使用し、長射程と命中精度を持ちつつサブマシンガン並みの制圧力を兼ね備えたアサルトライフルを送り出したことにより後年、サブマシンガンはその地位を脅かされるのであった。


第二次世界大戦後~編集

第2次大戦後、イスラエルでは当時使用していたドイツ製MP40のの代替としてUZISMGを開発。SMGの本場とも言えるドイツではG3ライフルのサブマシンガン版・MP5を開発するなど西側では今日の創作物でも有名な機種が続々と登場した。

一方でソ連の影響下の東側諸国ではAK47やAK74、その派生品が流通したことによってサブマシンガンの活躍の場は狭まっていった。


現代のサブマシンガン編集

主に戦車兵や航空機搭乗員の個人防衛火器や、特殊部隊向けといった限られた場で使われるようになったサブマシンガンだったが、警察用という新たなニーズが現れた。

サブマシンガンの射程の短さは、市街地での犯罪者との銃撃戦では問題にならなかったし、低貫通は市民の生命・財産を無用の危険にさらす事がなく、むしろ好都合だった。

同様の理由から軍隊でも警護や警備といった過剰な威力を必要としない任務で必要とすることから新規採用に至った組織もあり、再び開発が活性化しており、新たな製品が多く登場している。

短いフルオートをコントロールして発射し制圧するSMGというよりセミオートで発射し確実に当てるという拳銃弾を用いるカービンという風に求められるコンセプトが変わっており、MP5が登場した頃よりより命中精度が高く、サウンドサプレッサーの装着を前提とするなど、多くのものが求められている。


民間用途ではセミオートのみの所謂ピストルキャリバーカービンモデル、ストックやフォアグリップ等を取り外した拳銃モデルが販売されている。

拳銃弾を使用している事からカービンモデルでも非力で、実用性の低い趣味銃に近い扱いがされる事もあるが、昨今の情勢から過剰な威力を持たず、ストック等を持つので正確な射撃が可能と、ホームディフェンス用途で需要が高くなっている。ショットガンや5.56mmカービンと異なりボディアーマーといった防護装備に対しては非力であるものの、壁を貫通しての二次被害が生じたり、過剰防衛として裁判で不利となる事が減る。


作動方式編集

大きく分けてオープンボルト方式クローズドボルト方式があり、特殊部隊用にはクローズドボルト方式が多く採用されている。


オープンボルト方式は、銃弾の装填・排莢を行うボルト(遊底)が後退位置から射撃サイクルを開始する方式で、ボルトが撃鉄も兼ねる構造のためメカを単純に設計でき、何より発射サイクルが非常に早くなる。このため、初期のサブマシンガンでは多く採用された。

しかし、これは射撃時に重量のあるボルトが前進するために射撃姿勢がぶれやすく、初弾や単発での命中精度に劣る欠点を抱えていた。しかしこれは、初期のサブマシンガンの運用形態を考えると、さほど重大な欠点ではなかった。


クローズドボルト方式は、ボルトが前進位置から射撃サイクルを開始する方式で、機構は複雑になるが命中精度が高くなる。

この機構を採用した初期のサブマシンガンには、アメリカのユージン・レイジングが開発し、第二次大戦初期に海兵隊によって用いられたレイジングM50/M55があり、繊細な機構が脆弱性につながり軍用銃としての評価は低かったが、命中精度は優れており警察用途として十分な性能を持っていた。

各国の警察が強力な銃火器で武装した犯罪者と対決するようになると、市民への二次被害を防ぐため命中精度に優れたサブマシンガンが求められるようになる。


新世代のサブマシンガン編集

サブマシンガンは狭い室内や機内でも取り回しが楽な反面、拳銃弾を使うため射程距離は短く、貫通力が低い。性能のよいボディアーマーが犯罪者にも普及するようになると、拳銃弾では手に余るようになってきた。


ドイツのH&K社やベルギーのFNハースタル社は、フルサイズの歩兵ライフルを携行できない戦車兵やパイロットなどの使用を想定し、後方勤務の兵士の自衛火器としての運用も視野に入れ、ボディアーマーを貫通する性能を備え、かつ従来の拳銃弾なみのサイズの新型弾薬と、それを使用する銃器の開発を進めた。その結果生み出されたのが、FN P90H&K MP7に代表される、PDWと呼ばれる一群の銃器である。

PDWは、高い防御力を有するようになった犯罪者に手を焼いていた特殊部隊にも注目を浴びた。

特にP90は、その奇怪な形状とは裏腹に非常に扱いやすいこともあって、現在では多くの警察機関や民間軍事組織で使用されている。


しかし、PDWは従来の弾薬体系とは異なる独自規格の弾薬を使用するため、冷戦が終了した現在では潤沢な予算を持ち、大きな裁量権を持つ軍事組織か、狭い体制となる民間軍事組織、警察機関、特殊部隊意外では採用は難しく、普及には時間がかかりそうである。特に西側諸国は長い期間費やしてNATO規格を導入したこともあり、腰が重くなるのも当然である。


サブマシンガンと犯罪者編集

軽便で扱いやすく、入手が容易な拳銃弾を使用するという特徴から、サブマシンガンは犯罪者たちからの需要も大きかった。


有名なのは禁酒法時代のアメリカで猛威を振るったマフィアたちであろう。

1929年2月14日の『聖バレンタインデーの虐殺』など、当時の新聞をにぎわせたマフィアの抗争事件で用いられたのがトンプソン・サブマシンガンで、その独特の射撃音から「シカゴ・タイプライター」と呼ばれた。

また、マフィアに対峙する警察もトンプソンで武装したため、警察もマフィアも同じ銃という皮肉な状況が現出した。

1960年代の西ヨーロッパでは極左テロ組織がVz61(スコーピオン・マシンピストル)などの小型サブマシンガンをテロに用い、多くの犠牲者を出した。


こうしたことから、欧米各国ではサブマシンガンに対する規制が厳しく、セミオートオンリーの民生品でも、銃身を規定以上の長さにしたり、ストックやフォアグリップ等を取り外して拳銃扱いにするなどの改造を行わないと、販売が許可されない。

まして、フルオート射撃可能な純正品など、銃規制がゆるいアメリカでも一握りの州でしか所持許可がおりず、銃自体も厳重に規制され、1986年以降は新規のフルオート火器は手に入らない状況となっている。供給が断たれて銃自体が非常に高価なことに加え、所持の為に必要な審査が厳重に行われている為に許可が下りるまでに申請から一年以上かかる事もざらである。

それでも違法な改造パーツを組み込むことでフルオート機能を回復することは可能であり、各国とも対応に悩んでいる。


フィクションに於いて編集

  • アキンボ
    • 初代ターミネーターのように両手に銃を持つスタイル。フィクションでは派手な見た目から多用される傾向にあるが、実際にやるとそもそもサブマシンガン自体が重いためまともに構えるのも難しい。たとえ支えるだけの筋力があっても反動が強いため、初弾はともかく二発目以降の命中率が極端に低下、場合によっては手首や腕等を痛めたり味方誤射の危険がある等、様々な困難が伴い現実に行う場合には実用性は極めて低いとみなされている。これがサブマシンガンよりも遥かに軽量な普通の拳銃であっても、的確に命中させることはなかなか難しい。腕の力だけで支えず、スリングやストックによって2点支持等すればいくらか負担は減るが、それでも実用的ではない。
    • ただし、P90等の低反動が売りの銃では、片手撃ち・2艇撃ちなどによりフルオートでマンターゲットに弾を中てるデモンストレーションを行っているので、実用性はともかくフィクションのような撃ち方が可能な銃といえるだろう
      • デモンストレーション程度ならMINIMI2艇撃ちや重機関銃腰だめ撃ちを行った例もある。
    • とはいえ、実用的な精度で連射を行うのはそれこそ超人でもなければ無理であろうから、使用者の超人的な能力をアピールするにはうってつけの描写、まさにフィクションならではのシーンでといえる。
  • ロボットものなど
    • 人型のロボット兵器などが『サブマシンガン』と称した小型マシンガンを運用する例は多い。しかし概要で触れられている通り、拳銃の弾を使用するマシンガンこそがサブマシンガンであるが、そもそも当該兵器向けの『拳銃』やそれに用いる弾薬が設定されていない場合も多く、結果として今一実態の不明なカテゴリーが生まれることがある。


代表的なサブマシンガン編集

第二次大戦前後編集


※銃の試作品は戦時中に少数だけ納入され、戦後に完成型が制式採用される。


第二次大戦後編集


※1.厳密に言えばマシンピストルに分類されている。

※2.現在はアサルトライフルに分類されている。

※3.厳密にはPDW(個人防衛兵器)という別カテゴリ。


関連タグ編集

マシンガン 短機関銃

マシンピストル……英語ではサブマシンガンの中でも特に小型のもの。

メタビー……左腕パーツの旧称が「サブマシンガン」だった。

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