概要
元々はOICW計画のXM29に存在した下部モジュールにアサルトライフルではなくサブマシンガンを使用する、という案の発展系である。
UZIに似た外見を持つが新規格の弾丸を用い、狭い場所での取り回しとボディアーマーに対する殺傷力を重視したPDW。もともとP90に対抗心を燃やしまくった開発陣がPDW(個人防衛火器)と名付けたが、その後PDWが武器カテゴリーとして定着したため改良型にはドイツ軍によってMP7A1という名が与えられた。
折り畳み式のフォアグリップ部分が排除されピカティニーレールとなっているモデルはA2となっており、A1と共に併売されている。
イギリス等の法執行機関向けにMP7-SFというシングルファイアモデルがある。
セレクターにフルオートがない以外は全く一緒のものとなっている。
ごく少数ではあるが同様の仕様のものがカナダで民間で販売されている。カナダの銃規制法上は装弾数以外は合法で、マガジンを変更さえすれば問題なく販売可能となっている(なお、H&Kは民間への販売は認めていない)。
2015年には民間向けに軍用H&K製品のクローンを販売しているBlackops TacticalからP90と同じ5.7×28mm弾仕様のクローンモデルが発表されていたが、現在に至るまで音沙汰はない。
2024年にはTommy Build TacticalというメーカーからT7という名称で遂に民間向けMP7が販売されたが、本家のH&Kと比べると非常に小規模な銃器会社の製造ということもあってか「ジャムが頻発する」「パーツの脱落が酷くピンの嵌め合わせがスカスカ」「ポリマーフレームの仕上げが雑でバリがある」「パーツが歪んでいる」「マガジンがきちんと挿入できない個体がある」「それでいて3500ドルと非常に高額」と酷評されているものの、初の民生MP7ということもあってか売れ行きは非常に好調な模様。
かの有名なDEVGRUが9.11を引き起こしたテロリストであるアルカイダの首魁オサマ・ビンラディンを射殺した際に使用していた銃だと言われており、現在でもA2が採用されていることがわかっている。
ちなみに、P90に対するFive-seveNのように、本銃にも弾薬が対応する拳銃であるH&KP46(UCP)、が開発されていたが、元が小さくてサイドアームが不要な事と、使用する4.6mm×30弾では小口径過ぎて高圧にしなければ十分な弾道性能が得られなかった(=高圧にすると銃身の焼損が激しくなり、耐久力が低下する)ため、2009年に開発を中止している。
性能
新規格の弾丸である4.6mm×30弾を使用しボディアーマーを着た敵に対しそのアーマーを貫通し相手に損傷を与える事ができ、元特殊部隊員の話では「頭に撃てば後頭部が無くなる」との話もある。
200メートル先からであれば拳銃弾に対し効果を発揮するヘルメットを貫通する事が可能。
また反動は9mm×19弾よりも小さくサイレンサーを装備した際の音はMP5よりも小さい。
開発元はP90の用いる弾丸より威力が大きいとしているものの真偽は定かでない(第一銃弾の威力は初速や口径などの数値やバリスティックゼラチン等に撃ち込んだデータだけでは推測しきれないため)。
弾頭はG11PDWで使われたケースレス弾の発展型。
基本データ
全長 | 415/638mm※ |
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銃身長 | 180mm |
重量 | 1900g~1960g(フルロードマガジン込み) |
口径 | 4.6mm×30 |
装弾数 | 20/30/40発 |
※東京マルイ、KSC、アカデミー科学のエアソフトガンは80%ほどのサイズとなっており、380/590mmとなっている。
最後発のVFC以外は図面を提供されておらず、「銃口付近の部品がない状態の試作品の寸法を完成品へ当てはめた」という説があるが実態は不明。
開発経緯
一昔前では入手が容易ではなかったボディアーマーがある程度一般的に手に入れる事が可能になり、既存の拳銃弾を使用した小火器では対処が難しい状況が想定される様になった。
それに対しFN社が作り出したP90に対抗して制作されたのが本銃である。
対防弾としてのコンセプトは同じであるがP90とは趣向が真逆であり従来のデザインを踏襲している。
評価
P90は元々の開発コンセプトが違う事もあり、操作手順が従来のライフルやサブマシンガンと善くも悪くも一線を画しており、新参はいざ知らず今までの火器に慣れた兵士や隊員にとっては訓練のし直しが面倒であった。
しかし、MP7A1はUZIやMAC10など既存のSMGと似た外見を持ち、操作も従来の小火器と同様に操作する事ができ、加えて弾丸を装填した状態でも2kg未満と非常に軽量である為に携帯が用意で頻繁に移動を繰り返す兵士にとっては便利であり、現在では各国の特殊部隊で採用されている。
ただし、ドイツ軍では拳銃の代わりに採用している部隊があり、そこでは拳銃扱いにしては重い為不評だった。
また、銃身が短い分誤射の確率が上がるため、サプレッサーを付けたらちょうどいい、という意見もある。
登場作品
A1以前のプロトタイプ。コンバイン兵の主力装備であり、劇中では最も使用頻度の高い銃火器。
バレルが二本あり、下部のバレルからセカンダリ扱いでグレネードランチャーを使用可能。
ちなみにワールドモデルは一人称モデルとは異なりかなり不正確なモデリングである。
主人公の一人が使用。こちらはロングマガジンとホロサイトを装備している。
- レインボーシックスべガス1・2
サイレンサーや光学サイトを使用可能。UCPも登場する予定だったようで、内部フォルダにモデリングが存在する。
GSG-9の防御側オペレーターであるバンディットとゼロことサム・フィッシャーが使用する。
- ステルス
緊急脱出時に持ち出す自衛火器としてタロンに搭載されていた。ちなみにまだ名称がH&K PDWだった頃のプロトタイプであり、これが映画で初めてMP7が登場した作品である。
特定有害生物対策センター4Cの装備。主にヒロインの水澤美月が使用した。一回りサイズが小さい為、東京マルイのエアガンを使用している可能性がある。
MP7A2が登場しているがかなり架空デザインが入っており、伸縮ストックではなく折りたたみ式ストックでマガジンキャッチボタンがレバー式ではなく押し込み式に変更され、版権避けの為かH&K社ではなく「FSS」社が設計したモデルである刻印が入っている。
トイガン
東京マルイ、アカデミー、クラウン、WE、KSC、VFCがモデルアップしており、その内東京マルイとKSCのモデルは実寸サイズより一回り小さくモデルアップされているが、これはMP7のプロトタイプをベースにサイズを採寸したから、と言われている。
また、東京マルイは「スタンダード電動ガン」ではなく、「電動コンパクトマシンガン」という括りで販売している。
アカデミーのモデルはエアコッキングガンであり、ストックが展開できない。
クラウンは電動ガンであり、若干架空のデザインが入っている。
WE社のモデルはガスブローバックで、デザインは近未来的な架空デザインになっており、名称も「SMG8」になっている。
VFCはこの中で最もリアルな作りになっており、正式にUMAREX社を通してMP7の版権を使用しているため、リアルサイズで正規刻印である。