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G36

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じーさんろく

H&K G3の後継型として開発されたアサルトライフル。H&K社内ので名称はHK50。

概要

他企業の銃火器がすくすくと性能が強化されていく中、4大アサルトライフルの地位を持つH&K G3だったが後継種を造る必要が出てきた。

そこでH&KはまずG11という自動小銃を生み出した。

最新技術と独創的機構で開発したG11が悪い意味でぶっ飛び過ぎた出来のうえ冷戦終了での開発予算縮小のせいで極小数試用された程度になってしまい、H&Kは作り直しを要求される。

一時は旧東ドイツから大量に手に入れたAK-74(MPi-K)を改修し、5.56mmNATO弾使用にするという案まで出ていた。

同じG3ファミリーにもHK33G41といった5.56mmNATO弾を使用するものもあったが、G3同様の設計の古さや値段、重量等が問題となった。

そして「独創とか最新技術や独自技術を無理に詰め込むのはやめて堅実にいこう」とした結果生まれたのHK50、つまりG36で、これはどうしたことか4大アサルトライフルの後継者の名に恥じない素晴らしい銃が生まれたのである。

特徴

外見で最も特徴的なのはスコープの内蔵された大型のキャリングハンドル(持ち運び用のアーチ型の取っ手)である。

標準で光学照準装置が備わった銃は(プルバップ以外では)珍しいが、さらにスコープ上部にレイルを備え、予備の光学装置を取り付けることも出来る。

また、3倍のスコープと集光ドットサイトの二階建てが内蔵されたキャリングハンドルもある。(こちらはレールが無いために光学照準装置の増設は不可能)

どちらも専用のZeiss/Hensoldt NSA80ナイトビジョンを搭載することで暗視スコープとして使用が出来るようになっている。

スコープ内蔵型のキャリングハンドル上に光学機器を搭載すると高くなりすぎるため、光学機器を内蔵せず低い位置にレールが来るロープロファイルレールもある。

ロープロファイルレールにはアイアンサイトを搭載するもの、持たないものの二種類がある。

チャージングハンドルはキャリングハンドル内部、ボルトリリースはトリガーガード内の上部にある。

H&K社のデモンストレーションにおいて土の中に埋めて掘り出し、軽く払った程度で射撃を行ったり、

10分以内なら水につけても射撃に支障はないなど、

過酷な条件下でもどこぞのカラシニコフとどっこいどっこいな動作性を持つ。

それに加え精度も高く、ジャムって食えるの?と言わんばかりの信頼性も併せ持つ。

ハンドガードはレイル付きの物に交換する事でアクセサリーも装備可能。

AG36グレネードランチャー付きのハンドガードやSurefire製のフラッシュライト内臓ハンドガードもある。

内部構造は繊細なローラーロッキングシステムを捨て、ガスピストン式へと変更された。

さらにマガジンはプラスチック製のスケルトンマガジンにしている等、G3とは全く違うものになったが、その性能はG3の後継種の名に恥じない強さを見せる。

ちなみにマガジン自体に他の銃との互換性はないが、G36のマグウェルを交換するか、STANAGマガジンにアダプターを付ければSTANAGマガジンの使用ができる。

命中精度問題

このようにほぼ完璧といえるライフルと言われているが、最近その威厳に関わる事態が起こっている。

それはフルオートで撃ち続けると本銃の売りの一つであるポリマーフレームが発砲時の熱で変形し、命中精度がガタ落ちするという、もうひとつは、中東などの紫外線の多い地域で長時間使用すると前述のポリマーが劣化し、射撃時の衝撃でヒビが入るとのこと。

この件に対して開発元であるH&K社は前者の問題に対して「どんな火器でも弾道が散らばるものなので、銃身過熱時の命中精度は試験項目に含まれていない」と反論し、後者の問題に関しては国内(ドイツ)の左翼系新聞のデマとしている。

2014年3月時点ではドイツ国防省も問題はないという声明を発表している。

(参考までにG36のフレームに使用されているナイロン66(Polyamide 66)の熱的性質は連続耐熱温度は摂氏80~150度、荷重たわみ温度は0.45MPaで摂氏180~240度。機関部にガスが吹き込み熱くなりやすい直噴式のAR-15でさえフルオート射撃で50発以上撃っても摂氏150度を越えることはなく、ガスピストン式であるG36では発射時に使用したガスが機関部内に吹き込まないためにそれ以下の温度となると思われる)

2014年6月には兵士からの苦情を受け、ドイツ連邦軍の約167,000丁のG36が使用禁止となった。

樹脂製バレルホルダーが高温で柔らかくなり、適正位置に銃身を保持できないことにより発射された銃弾が異常に散らばり(200m先で最大で6mの円内に散らばり着弾)、

原因としては熱の影響が出やすい設計に加え、砂漠地帯の気候以外に銃身の放熱能力不足によりバレルを固定している樹脂が過熱され、その状態で射撃の衝撃が加わることでこのようなことが起きると推測している。

過去に同様の環境でテストが行われた際には問題は起きていなかったようで、樹脂の経年劣化によって起きた問題とも推測されている。

この問題を受けて後継銃が検討されているが、別の銃への更新ではなくG36の改良型を採用する可能性も残されている。

他国の軍や法執行機関でも採用されているが、元々そういった組織でも一部部隊の採用がメインであり問題が起きても大きな騒動にならなかった可能性がある、とはいえペシュメルガも同様の事件があり問題を指摘していた様で、またイチローナガタ氏もこの問題を指摘していたという。

銃に対する不信を持つ組織はドイツでの調査の結論を待って判断を行う模様。

そして2015年7月7日、軍の調達本部は、H&K社に対し納入分全17万丁の引取りないしは改修を命令するよう裁判所に申し立てた。

もし軍の主張が通れば、H&K社はドイツ連邦軍に納入した17万丁の改修に加え、各国に輸出した分についても同様の措置をとることになるのは予想に難くない。

輸出停止により大きなダメージを受けている中、問題がこれ以上長引けば経営への更なる重大なダメージは避けられない。H&K社は重い決断を迫られている。

2016年6月にはH&K社は欠陥は存在しないとしてコブレンツの裁判所に提訴、2016年9月に契約内容から逸脱していないことからH&K側の勝訴となった。

G36を採用している欧州各国は独自の検査を続けるものの購入・使用を続行、サウジアラビア政府は2年以上にわたる輸出遅延に対しドイツ政府を訴える、ドイツ国内でも検察が(欠陥の有無はともかく)納入時に要求性能を満たしており、違法性はないとしているといった動きがある。

ドイツ連邦軍は試験を必要とする要求性能自体が不足気味であったことに加え、採用時期が派兵がどうなるか不明という事もあってEU内でのみの運用を前提としていた。加えて最初に問題を把握した後も改良を要求することなく納入を受けており、不利であった。

ドイツ軍では使用禁止が続くG36の代替として暫定的にHK417を少数採用しているが、ドイツ国防大臣はG36を廃止して新型小銃を配備することを発表している。

また、H&Kは以降の兵器ショーでG36及びバリエーションモデルを展示する際には「ドイツ軍の要求を満たしている」事をアピールしている。

なお、ドイツ連邦軍でG36に搭載されたレフレックスサイトは熱と衝撃に弱いと言う問題が以前から明らかになっており、この問題となっている光学サイトを使用しているドイツ軍でのみ問題が起きていることから、銃そのものの問題ではなく照準器の問題である可能性もある。

また、陸軍の兵士の銃に完全な自信が持てないという意見も、現在使用するものより優れた装備があればそちらの方が良いという当たり前の意見である可能性もあり、正確な質問や聞き取り対象が不明な以上は参考程度である。

陸軍以外では使い方等が異なる為か命中精度問題は起きていない模様。

いずれにせよG36は20カ国以上に採用されている汎用製品であり、今になって欠陥が判明したからと言っていきなり他の小銃に交換するというのは物理的にも予算的にも無理な話である。また、命中精度に問題が見られたとはいえ、銃器としての信頼性は依然高く使い勝手の良さもあって各国現場の兵士からは好評を得ているのも事実である(少なくともウクライナでは供与品が「信頼出来る銃」として使用されている)

これらを鑑み、G36は運用上問題ない組織では引き続き使用されており、件の構造上の欠陥についても後述する他社が開発したアップグレードパーツに交換することで改良可能となったことから、当面は第一線で使用され続ける模様である。

基本データ

全長999mm
銃身長480mm
重量3,830g
口径5.56mmNATO弾
装弾数30発

バリエーション

  • G36 - ノーマルモデル。
  • G36E - 輸出型。キャリングハンドルのスコープは1.5倍。
  • G36K - カービンモデル(短小化)。
  • G36C - コマンドカービンモデル(さらに短小化)。
  • G36V - 伸縮式ストックなどを追加したモデル。
  • G36KV 輸出型G36KEの現行型、もしくはG36Vのショートモデル。
  • G36A2 - 新型ハンドガードの採用、G36Cの短縮型ストックに変更などがされたアップグレードモデル。
  • MG36 - 分隊支援火器モデル。ツインドラムマガジンとバイポッド付き。
  • AG36 - グレネードランチャー付きのモデル。
  • HK243/HK293 - 民生型。セミオートオンリー。
  • SL-8 - 民生型、G36ベースのセミオートオンリー。
  • SL-9 - SL-8の大口径版。7.62x37mm弾を使用する。
  • R8 - オーストラリアH&Kが独自に設計したSL-8。
  • SL9SD - R8の狙撃仕様。専用の7.62mmx37弾を使用。
  • HK237 - 民生型の.300AAC BLK弾仕様。新型ストックが採用されている。

HK243とHK293はG36の完全なる民生仕様でレシーバーなども同一設計であるが、SL-8は設計変更されている為、民間でG36を入手したいときはSL-8に切り込みを入れるなどして改造しなければいけなかった。

ちなみにG36を更に進化させた銃も生み出されてる。

G62

オーストリアのステアー・アームズ社はスペイン軍の要求によって、Wilcox他数社と合同でG36の改修プログラムの開発を進めている。2019年にプロトタイプが公開され、その後『G62』という名称が発表された。変更点としてレシーバーの金属化やハンドガードの多機能化などが行われている。

銃器情報サイトThe Firearm Blogよると、開発に参加した企業は「G62はドイツ軍が進めるG36の改良計画の名称に基づくものだ」としており、これが事実であればドイツ軍はG36の(抜本的な)改良を視野に入れている(いた)事が窺えるほか、2021年現在進められている新小銃調達計画が大幅な遅延・中止となった場合はG36の改修し継続して使用することになる可能性がある。

G36を採用してきた国々にとっても、新しく小銃を調達し直すより遥かに安上がりに改良更新を済ませられるメリットがある。

活躍

現実ではドイツ連邦軍やドイツ警察の特殊部隊GSG-9SEK、ヨーロッパの国々の軍隊や特殊部隊、アメリカのSWATの相棒である。その他多くの特殊部隊や傭兵の武器としてよく見られる。

G36を使用する有名な機関・部隊

  • ドイツ連邦陸軍KSK(特殊作戦コマンドウ) - ハンドガードをKAC製RASに換装したG36Kを採用
  • イギリスのSAS - G36Cを使用。主に市街戦闘に使用していると思われる。
  • フランス陸軍海兵隊1er RPIMa(第1海兵歩兵落下傘連隊 フランス版SAS) - G36Kを採用。
  • フランスの警察系特殊部隊 - GIGNなどもG36CやKを使用している。
  • タイSEALs - G36Cを使用。
  • 日本国陸上自衛隊 - G36KVとCVを輸入して次世代小銃の選定で、審査されている。
  • 沖縄県警察国境離島警備隊 - 警察庁が公開した資料でG36Cを使用。

メディアでの活躍

映画では所謂SWAT物にM16に変わって登場するようになったほか、MP5に変わってG36Cなどが登場するようになった。

映画『バイオハザード』のS.T.A.R.S.の武器として登場するほか、先進的なフォルムから『リベリオン』など近未来モノにもよく登場する。

ゲームではFPSでも当然活躍。

『バイオハザード リベレーションズ』では一部BSAA隊員の装備として登場。

また、『インフィニット・ストラトス』の登場キャラクター、シャルロット・デュノアの武器にこれと酷似したものが…

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MK556:2020年9月に一時期決定したG36の後継銃。CG Haenel社の製品

HK433:G36の後継銃候補。

HK416A8:最終的に決定したG36の後継銃。

XM8:G36の基本設計を引き継ぎアメリカ軍の次期正式アサルトライフルとなるはずだった銃。

CZ805:G36マガジンを使用できるアサルトライフル。

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