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5.56mmNATO弾

ごてんごろくみりなとーだん

「5.56mmNATO弾」とは、NATO加盟国にて採用されている小銃用弾薬の事。弾薬のイラストよりも銃器に付けられる事が多いタグである。
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開発経緯

1948年に西欧を中心とした軍事同盟「北大西洋条約機構(NATO)」が結成され、弾薬の標準化に際し、アメリカのゴリ押しでM1ガーランドの.30-06弾の薬莢を短くした「7.62mmNATO弾」が小銃弾として採用された。

しかし、各国がアサルトライフルの開発を始めると、イギリスが主張していたように連射時の反動が強く制御が難しい事が判明した。


1957年、アメリカでSCHV弾薬標準化へ向けてのライフル試作が始まると、レミントン社の.222レミントン弾が標準弾の候補となった。

しかし、この弾薬は米本土軍司令部の要求を満たせなかったため、AR-15で参加したアーマライトは.222レミントン弾の長さを延長しネックを短くした.222レミントン・スペシャル弾を作ったが、混乱をふせぐため.223レミントン弾に改称され、1961年、M16(AR-15)と共にM193弾として軍に制式採用された。


1970年代に入るとNATO加盟国の間で共通の小銃用小口径弾を選定することが合意された。アメリカは既にM16で5.56mm(.223)弾の運用実績があったが、装薬量の少なさや弾頭重量が軽すぎる、弾頭構造の違いにより貫通力が低い等により要求性能を満たすものではなかった事に加え、7.62mmNATO弾標準化の際のいきさつもあり、採用しないことになった。

替わりにFN社が.223レミントン弾をベースに開発したSS109弾がSTANAG 4172の標準番号を付与され、第2NATO標準弾として採用される事となった。1982年、アメリカもこれを制式採用し、M855の制式番号が付与された。


運用

5.56mmNATO弾はM193弾よりも弾頭が重く、遠距離射撃での威力に勝る。装薬の量が多く旋転率が異なるため、M193弾を使用する設計となっていたM16HK33等などの銃は改修(M193向けの1:12ツイストピッチ銃身からSS190向けの1:7ツイストピッチ銃身に変える、両対応の1:9ツイストピッチ銃身に変えるなど)が必要となった。

アメリカではM193弾とM855弾の誤用を防ぐため、MIL-STD 709C弾薬色符号に則って、通常のM855弾の弾頭部先端に緑の塗装を施したことから「グリーンチップ」と呼ばれた。

ちなみに通常弾以外は曳光弾はM856弾(先端は赤)、徹甲弾はM955弾(先端は黒)、短射程訓練弾はM862弾(先端は青)、空砲はM200弾(先端は紫)となっている。

変更の影響がないM199ダミー弾とM200空砲弾はM193弾使用時と同じものを継続して使用している。

なお、一部のM855弾にはタングステンを弾芯としたものもあり、緑色の符号を用いながら徹甲弾に準ずる特性を持つものもあった。


スイスはNATOに加盟していないため、SG550のGewehr Patrone 90 5.6mm×45弾は独自仕様の弾薬で、5.56mmNATO弾と互換性がない。

アメリカ海兵隊のMK308弾のように、独自改良の結果、使用銃を選ぶ弾薬もある。


STANAG 4172はあくまで標準規格であって厳密な規格ではなく多少の差異も許容することに加え、20インチ銃身を前提とした設計となっている為、鉄薬莢化したり(FA-MAS)、ダムダム弾の禁止に関するハーグ宣言を調印していないことからフルメタルジャケットではないオープンチップを使用したり(Mk318 SOST等)、M855A1、Mk262のように銃身長や用途に合わせて多少仕様が変更されている例もある。残念なことに最適化の為の仕様変更によって他国から供与された弾を使用した際に本来の性能を発揮できないだけでなく、銃身破裂などの事故へと繋がる可能性も生じてしまっている。

また、民間型の5.56mm×45弾は更にバリエーションが多く、使用前に適合した弾薬である事を確認する必要がある(誤用を防ぐために弾の名を変えており、対応した弾薬名は銃に表示されていることが多い)。

また、ライフリングピッチも、NATO弾は基本的に1回転する間に7インチ進む1:7ピッチだが、民間用では様々で、弾も銃身長やピッチに合わせて数多くの種類が存在しているので注意を払う必要がある。

合わない弾薬を使用すると、命中精度が劣ったり、横弾となったり、薬室が閉鎖しなかったり、不発となったり、薬室が破損したり、雷管部からのバックファイアで機関部へと発射炎が吹き込んだり等が起きたりといった不具合が生じる事があり、最悪銃が破損したり、射手の負傷につながりかねない。


5.56mmNATO弾はイラク戦争アフガニスタン紛争では威力不足とされ6.8×43mmSPC弾が生まれるなどしたが、ACOG等の光学照準機器の普及により、威力不足ではなく効果的に命中していないだけなのが判明した。同時に急所等を無視し、的に当てればそれでよしとするアメリカ陸軍の訓練カリキュラムの問題も明らかとなった。


2010年、アメリカ陸軍は現在の主力となっているM4カービンの銃身長(M16は20インチ、M4は14.5インチ)にあわせたM855A1弾(弾薬色符号とは無関係で正式なものではないが通称は「ブラウンチップ」)を採用、命中精度、信頼性、弾速の向上、発射時の閃光の低減がなされた。

当初、弾頭にはビスマス合金が使用される予定だったが、高温で弾道が不安定となったため保留とされ、銅の弾芯に鋼鉄製のコーン状貫通体を重ねた62グレイン(4g)の弾頭が採用された。貫通体の重量は19グレイン(1.2g)。

弾頭部分にを使用していないことから、M855LeadFree弾(銅ジャケットにスチールコア、もしくはタングステンコア)同様、環境対応型となっている。

また、M855の62グレイン弾頭と重量を変えない為に弾頭は大型化(全長が伸びている)しており、形状変更したことで直進性と貫通力が増している。

ただし、M855A1弾はM4カービンに最適化された弾薬であり、SAWであるM249やフルサイズのM16等には完全には対応しておらず、使用は可能でも性能を発揮しきれないため、海兵隊ではしばらくはM855弾は継続して使用されることとなる。

また、弾頭部先端は貫通体が露出している非FMJである事からマガジン内でのすべりが異なり装填不良を起こすという問題もあり、対応したマガジンの採用も併せて行われている。


マークスマンライフルであるSPR Mk.12では18インチ長の1:8ピッチ銃身を用いており、専用のMk262弾を採用している。

M855弾との違いは弾頭形状を変更し、重量を77グレイン(5g)に増している点である。また、製造にも気を使っており、競技用のマッチグレード同様の品質管理と傷を付けない梱包や輸送、保管が行なわれている。


「後送に人手を割かせる為に威力を落としている」という都市伝説がある。

この手の話は弾薬変更時にはよく出るようで、.30-06弾から7.62mmNATO弾への変更時も同様であった。

実際には300m圏内では威力を発揮する前に安定し形を保ったまま貫通してしまい殺傷能力が発揮しきれないM80 7.62mmNATO弾に対し、M855 5.56mmNATO弾では体内への侵入後に不安定となり、更に破片化するため、対人威力は非常に向上しているのである。


関連タグ


.223レミントン .300AACBlackout


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