→ 詳細はwikipedia:7.62×39mm弾を参照のこと。
開発の経緯
第二次世界大戦末期にドイツ陸軍で制式採用されたStG44の設計思想は、戦後の自動小銃開発に大きな影響を与えた。
StG44は威力と連射時の反動の少なさのバランスを取るため、7.92×57mmマウザー弾(8mmマウザー弾)の薬莢長を短縮した弱装弾(7.92×33mmクルツ弾)を使用した。
ソ連ではモシン・ナガン小銃などに使用されていた7.62×54mmロシアン弾をベースに開発を進め、SKSカービン用のM43実包として採用する。
その後、M43実包を使用するアサルトライフル「AK47」が開発され、世界に名を馳せる事となった。
設計
先端へ傾斜した薬莢の形が特徴的である。これは薬室内部に薬莢が張り付いても、摩擦を小さくして抜きやすくするためである。しかし大きく傾斜したデザインのため、対応する銃のマガジンも前方へ大きく湾曲した形となり、その形状から「バナナマガジン」とも呼ばれる。
同サイズの他の実包に比べて安価である。
火薬が燃焼するときにガス圧で膨張する薬莢には柔軟性のある真鍮が使われる事が多いが、ロシア製7.62×39mm弾には真鍮よりも安価な軟鉄製の薬莢が使われている。鉛の弾丸の中にも安価な鋼鉄芯が使われているが、鋼鉄は硬いため貫通力が高くなるという副次的な効果も生じている。
しかし、軟鉄製薬莢は圧力で膨らんだ薬莢が元に戻り難いため薬室内に張り付き易い。これを防止するにはラッカー塗料で塗装する、銅でメッキするなどの対策が必要だが、安価な弾薬では対策されていない。
また、軟鉄製薬莢には錆の問題もあり、缶詰にするなどして保管する必要がある。
雷管に強腐食性薬品を用いているものもあり、注意が必要である。
世界市場への浸透
AK47/AKMと共に世界に広く浸透している。
ロシアと東欧諸国の軍隊のアサルトライフルは5.45x39mm弾に更新されたが、その他の旧共産圏では現在も7.62×39mm弾を使っている所が多い。
そのため、実包の更新をしなくても良いことをメリットに、自社製ライフルに7.62×39mm弾仕様を加えて旧共産圏に売り込みをかけている西側の銃器メーカーも少なくない。
例:HK32(H&K)、SIG556R(SIG)、MK107(PWS)
また北米の民間市場では昨今の不景気もあり、.223レミントン弾などに比べて安価な7.62×39mm弾の人気が高まっている。北米ならではの事象として、上述のMK107のように7.62×39mm弾に対応したAR-15クローンが様々なメーカーによって制作されている。