開発経緯
開発の理由は、西側の弾薬変更への対抗だと言われている。(※)
アサルトライフル用弾薬として全く使い物にならなかった7.62×51mm弾に比べると、ソ連を始めとする東側国家が運用していたAK-47及び7.62×39mm弾は反動が小さく撃ちやすいものだった。
しかしながら、米国がアサルトライフルのために新規設計した5.56×45mm弾に比べると、7.62×39mm弾はさすがに劣っていると言わざるを得ない。
切迫した問題こそ発生しなかったものの、主力小銃の相対的な劣後を見過ごすわけにもいかず、東側も西側に合わせて弾薬を改良する必要に迫られた。
このときソ連が新たに開発したのが、5.45x39mm弾とAK-74である。
(※)AKシリーズの設計者、ミハエル・カラシニコフは後年「7.62×39mm弾を使用するAKMはそのまま改良を施すだけで性能を向上させる余地があった。」と語っている事からも、何らかの政治的意図があったと推測される
特性
7.62×39mm弾と比較して弾頭が小型化、初速が増加し、射程が向上している他、貫通力も十分に確保している。
また、高い貫通力を得ると「人体をあっさり貫通してしまってダメージが少ない」という問題が発生しがちだが、この銃弾は先端が空洞になっており、人体のような柔らかい物体に着弾するとバランスを崩して回転するようになっている。
縦横にグルグルと回転しながら加害範囲が広がっていくわけで、銃創は口径以上に大きくなる。その優れた殺傷力から敵対組織からは「ポイズン・ブレット(毒の弾)」として恐れられている。
このえげつない構造は、後に西側の5.56mmにも採用された。
評価
現場の兵士からは、初速が速くて低伸性に優れた特性のため従来の弾薬よりよく当たると好評であった。
また、AKMよりも反動が少なく連射時のコントロールが容易であったためよく好まれた。
一般部隊や空挺部隊では早急な使用弾薬の5.45mm化が進んだものの、一方で弾頭重量が減少したため「標的によっては充分な破壊力を得られない」という声も聞かれ、特殊部隊など任務の内容のよって隊員の裁量で武器が選べる部隊や、(補給上の問題から)海外へ派兵される部隊では依然として7.62×39mm弾が使用された。