FA-MAS
ふぁます
GIAT(現・NEXTER)傘下のサン=テチエンヌ造兵廠が製造したブルパップ方式アサルトライフルである。名称のFA-MASとは「Fusil d’Assaut de la Manufacture d’Armes de St-Etienne」の略で「サン=テティエンヌ工廠 (こうしょう)製のアサルトライフル」と言う意味である。
この命名は他国では考えられずフランスのお国柄が感じられる。1977年にフランス陸軍が採用した。
F1はアメリカのM193弾にあわせた設計の為、高圧カートリッジであるSS109を使用すると精度が維持できない、薬莢が千切れるなどの問題を起こしてしまう。
そのため、専用の鉄製薬莢の減装弾を使用することで問題を回避している。
銃身のツイストを変更するなどでSS109に対応したG2で解決済みといわれているが、高価なためか(F1で約1,500ユーロ、G2は約3,000ユーロ)置き換えるに至っておらず、いまだF1が現役となっている。
ライフルグレネードでの間接射撃時(迫撃砲のように上方に撃ち上げて降らせる方法)には地面にストックを付けて立てて撃ち出すのだが、他の銃にはない珍しい特徴がある。
距離に合わせて銃身部にある調整リングの位置を調整し、伏せた状態で銃を側面を向けて立て、キャリングハンドルのグレネードサイトを立ててハンドル内から覗き込むように照準を行う。
直射の時はキャリングハンドル内のフロントサイト側にあるグレネードサイトを起こして使用するが、L字状に広げてそこに付いた前後サイトを使用して照準を行う。
特徴的な外観から「トランペット」や「ビューグル(ラッパ)」という愛称がある。
一応フランスとアメリカ向けに少数ではあるがセミオートに機能を限定した民生用が発売されているが、現在はプレミアがついており、10,000ドル以上(日本円換算で100万円以上)する。
次世代に向けての近代化
次世代の歩兵戦闘装備計画'''Félin'''が持ち上がると、従来のFA-MASの姿が大きく変化し、パッと見ただけでは「これ本当にFA-MASか?」と感じられるほどスッキリとした外観になった。
まず後述するFA-MAS G2をベースにフォアグリップが付き、照準器とキャリングハンドルが取り払われた。
そしてさらに専用のマウントを介して光学照準器が取り付けられ、FA-MAS Felinとなった。
基本データ(F1)
全長 | 757mm |
---|---|
銃身長 | 488mm |
重量 | 3,700g |
口径 | 5.56mmNATO弾 |
装弾数 | 25発 |
- F1 - スタンダードモデル。
- F1 スナイパー - キャリングハンドルをAUGタイプの通常より一回り小さいマウントレールに変更したモデル。
- G1 - F1のトリガーガードをグリップガードに変更したモデル。
- G2 - G1をSS190弾及びSTANAGマガジン(M16等と同じもの)を使用できるようにしたモデル。
- G2 コマンド - カービンモデル。
- G2 SMG - G2コマンドにバーティカルグリップを付けたモデル。二脚も外されている。
- G2 ピカティニレール - F1スナイパーをG2同様の仕様にしたもの。
- G2 スナイパー - F1スナイパーの銃身延長モデル。
- Félin - さまざまな電子機器を搭載した次世代型
人気者なのか?
特に製造国に政治問題がなく、外見がカッコいい為かよくメディア作品で出ることあるが実際に人気が有るかと言うと、人気は無く採用する組織も少ない。(F1がNATO標準のSS109弾に対応していない点やプルバップ独特の問題、装薬燃焼時に生じる刺激性ガスが問題と思われる)
またフランスの警察や特殊部隊が採用しているかと言うと、隣国の高性能なライフル(G36やSG550やCz805)や海の向こうの自由の国の銃(M16やM4カービン)を採用していてる。
元傭兵の高部正樹氏によるとフランス人の傭兵の多くが「実戦で使う銃ではない」と酷評しており、自国の製造物に愛着を持つフランス人が発した言葉だけに驚きを隠せなかったと語っている。高部氏本人は、ブルバップ小銃全般を実戦で扱った事がないことから、自身は評価を下すことはできないとしている。
言われるほどジャム等は生じないが、ボルトストップ等が無いなど設計が古いままという問題があるために使えない銃となると思われる。
ちなみに、なぜか昨今のFPSゲームではFélinではないFA-MASの元のアイアンサイトを使わずにわざわざキャリングハンドルマウントの上に新しいフリップアップサイトを設ける構成が多い。
置き換え計画
フランス国防省は2014年までにFA-MASの置き換えを計画しており、候補にHK416・SCAR・ベレッタARX-160・レミントンACRが候補として挙がっており、ついにフランスも国産の小銃が消えると思われる。(すでに海兵隊や空軍などではHK416やG36、SCARを使用しており、危機感はあった。)
2016年10月にフランス国防省はフランス軍の次世代主力小銃にHK416Fを採用すると発表し、2017年にはほとんどの前線部隊のFA-MASがHK416Fに置き換えられた。
さらに更新の進んだ現在ではフランス外人部隊の武装もほとんど416に置き換えられている。
エアソフトガン
東京マルイよりF1とスーパーバージョンが電動ガンとして発売されている。
最初期のモデルなのでフルオートとセミオートのみでバーストは再現されておらず、セレクターもトリガー部のセレクターはセーフティとバッテリー収納部のロック解除となっており、機関部側の(実銃ではオプションの)バーストコントロールレバーがセレクターとなっている。
また、Ver.1メカボックスには以降のメカボックスにはない逆転防止ラッチの解放スイッチがあり、使用後にピストンを後退したままにせずに前進させてピストン廻りの負荷を減らすことが出来る。
最初期のモデルのためF1の初期型にはホップアップ機構が付いておらず、スーパーバージョンで追加され、以降はF1もホップアップ機構が追加されたモデルへと置き換わっていった。ちなみに銃身が少しだけ短いカービンモデルはM16といった人気の銃やMP5といった短い銃が発売されるからか発売中止となっている。
上記のようにスーパーバージョンはマルイオリジナルとなっているが、実はFA-MASのマガジンはM16系列で使用されているものと給弾口の位置が同じな為、M16用マガジン側に加工を施してマガジンキャッチがかかるようにするとG2風にすることが出来る。
ちなみに第一弾になぜFA-MASかというと、仮にこけてもまだM16といった人気の銃が控えていれば挽回ができるからだとか。(他にもメカボックスが大きく作れるので設計の自由度が高く、ラッチ開放スイッチといった試験的なものも組み込みやすいといった理由もあると思われる)