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概要編集

ライフルグレネードは、ライフル銃を発射装置として遠くへ射出可能な榴弾(グレネード)である。

第一次世界大戦中に開発されたもので、小銃擲弾(しょうじゅうてきだん)とも言う。


人間の力で投擲するハンドグレネードの射程が腕力に依存し、長くても数十m程度にとどまるのに対して、ライフルグレネードは200~400m程度飛翔させることが可能である。

銃口を目標へと向けて撃ち出す直接射撃のほか、銃を立てて迫撃砲のように撃つ曲射射撃の2通りの射撃法がある。


特色編集

銃の先端部にグレネードを装着して発射するという基本の形式は共通しているが、構造にはいくつか種類がある。

発射方式は大きく分けてライフルグレネード発射用の空砲を装填して火薬ガスの圧力だけで撃つものと、通常の実弾をグレネードの尻に撃ち込み撃発するものがある。


取り付け方法の違いでは

  • ライフルの銃口部分にカップ状のアダプターをとりつけ、そこにグレネードを入れて撃つタイプ
  • グレネードの後部に棒がついており、それを銃口から挿して装着、発砲するタイプ
  • 後端に穴のあいたロケット弾のような形のグレネードを銃口にかぶせて取り付けるタイプ

などがある。


利点編集

  • グレネードランチャーと小銃を一人で持ち運ぶのは大変なので、特に「専用ランチャーがいらない」ことが利点とされる。ロケットランチャーや携帯無反動砲より遥かに軽量だし、兵士であればほぼ全員が持っている小銃に簡単な部品を加える、もしくはそのまま発射装置とする事ができる。
  • 極論ライフルグレネード弾だけ供給すれば良いので、専用ランチャーや大型のアンダーバレルランチャーより低コストで部隊の火力を向上させられる。
  • 選任の射手がいないので敵から狙い撃ちされないことや、死傷者が出ても火力に穴が開きにくく継戦能力が増すことにもつながり、全員で一斉発射するといった戦法も可能。
  • 銃の外側に取り付けるので口径の制約がなく、大型で威力の高い弾頭を使える。

専用ランチャーや小銃に付けられるアンダーバレルランチャーが普及した後も使い続けている軍隊があったのはこうした理由から。

フランス日本はライフルグレネード派で、自衛隊では2000年代に入ってからも89式小銃に対応した自国製の06式小銃てき弾を開発・配備している。


欠点編集

  • 銃弾に比べてはるかに重たい擲弾を発射するため、銃に強い負荷がかかる。
    • 酷い場合は銃身が歪んで命中精度が落ちるなどの故障につながってしまう。このため、「結局は擲弾発射専用の銃を割り当てる必要があるのではないか」という意見も。
    • この問題を抑えようとすると初速が低くなり、重量もあって弾道が山なりになるので命中させるのが難しい。
    • 敵の歩兵集団に向けて射撃するなら爆風や破片に巻き込めるのである程度は緩和されるものの、戦車やトーチカなどの「命中させなければ効果が薄い」目標に対しては確実性が劣る。

  • 空砲式の場合、発射専用の空砲弾を持ち歩く必要がある。グレネードを撃つ前に薬室の残弾を抜き取り、弾倉も取り替える訳だが、戦場でそのような作業や区別をしている余裕があるとは限らない。最悪間違えて実弾を使ってしまい自爆する危険がある
    • この問題は実弾でそのまま撃てる方式なら解決できるが、弾を受け止める構造を組み込むためグレネード弾側の複雑化や価格に跳ね返る。

いずれにせよ、この辺りは補給体制や部隊運用思想が絡むので一概に言えない部分もある。

利点の項目でも触れた自衛隊の06式は実弾式かつ、取り付け部と飛んでいく弾頭の分離式にして負荷を軽減するなど、後発品らしく各種の問題に対処した設計。ちなみにエアコンで有名なダイキン製である。

そんなライフルグレネード派だった自衛隊も、次世代の20式小銃ではアンダーバレルランチャーを導入する運びとなった。

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