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概要編集

北大西洋条約機構(きたたいせいようじょうやくきこう、別名:NATO、OTAN)は、北アメリカとヨーロッパ諸国による軍事同盟。2024年4月時点で32か国が加盟し、北大西洋理事会が統括する文民機構と軍事機構から構成されている。集団防衛・危機管理・協調的安全保障の3つを中核的な任務としており、加盟国の領土と国民を防衛する事が最大の責務とされる。


概説編集

1949年4月にアメリカのワシントンD.C.で締結された北大西洋条約に基づいて設立され、略称は英語でNATO(North Atlantic Treaty Organization)・フランス語ではOTAN(Organisation du Traité de l'Atlantique Nord)と言う。NATOは集団安全保障のシステムであり、独立主権国である加盟国は第三国または第三者による攻撃から相互に防衛する事に合意している。


歴史編集

設置と冷戦期編集

1945年9月に第2次世界大戦が枢軸国の敗北で終結し、アメリカと西ヨーロッパ諸国は東ヨーロッパ諸国を取り込んだソ連の脅威を受け、1947年3月にアメリカのハリー・トルーマン大統領がトルーマン・ドクトリンを宣言して東西冷戦が開戦した。ヘイスティングス・イスメイ元事務総長の「アメリカを引き込み、ソ連(後のロシア連邦)を締め出し、ドイツを抑え込む。」という発言に象徴するように、ヨーロッパ諸国を長らく悩ませたドイツの問題に対する1つの回答でもあった。


敵視編集

1952年2月にギリシャトルコ・1955年5月に西ドイツが加盟した時、特に西ドイツの加盟に反発したソ連は東ヨーロッパ各国(モンゴルを除くソ連の衛星国)を集め、同月にワルシャワ条約機構を結成して対抗した。NATOとワルシャワ条約機構が並立するようになってから、NATOはワルシャワ条約機構を公式に名指しでNATOの敵と看做すようになり、1990年7月にロンドン宣言で「ワルシャワ条約機構を敵視するのは止める。」と発表するまで続いた。


脱退と移転編集

1966年7月にフランスがNATOを脱退した為、1967年4月に本部がベルギーブリュッセルへ移動し、1982年5月にスペインが加盟して冷戦が終結するまで16か国であり続けた。1991年7月にワルシャワ条約機構の根拠となるワルシャワ条約が効力を停止し、同年12月にワルシャワ条約機構の盟主であったソ連が崩壊した事で、NATOとその機構を支えた国々の正義が勝利したのである。


冷戦終結後編集

1989年12月にマルタ会談によって東西冷戦の終結が宣言され、1991年12月にソ連が崩壊してからはNATOの役割が大きく変わり、NATOは当初の目的の他にも域外での紛争の予防と危機管理を実行する組織を標榜するようになったのである。1999年3月から旧ソ連のヨーロッパに所在する衛星国の多数と、2004年3月からそこの構成国だったバルト3国がNATOへ加盟するに至り、ソ連の影響から脱却する事を望む東ヨーロッパ各国が加盟を申請する事態が相次いだ。


敵視政策の撤回編集

ワルシャワ条約機構の盟主であったソ連を継承したロシアが「今度は北アメリカとヨーロッパ諸国の全てが加盟したNATOが敵になるのでは無いか。更にスウェーデンフィンランド日本オーストラリアニュージーランドといった協力関係を結ぶ後ろ盾も居る。これでは全世界を敵に回す事になりかねない。」と危惧して抗議活動を展開し、最終的にNATOとロシアは「NATOはロシアを敵視しない。」という内容の基本文書でロシアを準加盟国扱いにして解決した。


介入編集

冷戦時代は機構軍による実戦が無いまま終わったが、冷戦が終結した後は現在に至るまでいくつかの紛争に介入している。最近の事例を挙げれば2011年2月にリビアで発生した内戦だが、結果として同年8月に1969年9月以来続いたカダフィ政権を崩壊へ追いやった事は後々響き、現在も続いているシリア問題に対する介入もこれによって疑問視されたので実現していない。


ロシア・ウクライナ戦争編集

ロシアと欧米諸国の関係は2014年3月にクリミア危機があってから徐々に悪化していたが、2022年2月にロシア・ウクライナ戦争が開戦してからはそれが決定的になった。同年5月にロシアの軍事侵攻に危機感を抱いたフィンランドとスウェーデンが加盟を申請し、2023年4月と2024年3月にそれぞれ正式に加盟した。これで北ヨーロッパ諸国はNATOの領域に入り、バルト海に居るロシアの艦隊は包囲される状況となっている。また以前からアメリカとアメリカ軍に過大に依存していた状況を改善する為、ヨーロッパ各国は軍備増強や戦時計画を大幅に見直している。


加盟国編集

2024年4月時点で32か国が加盟しており、新たな国が加盟するには北大西洋条約第10条に基づき、全ての加盟国が賛成する必要がある。


1949年8月加盟編集

アメリカ合衆国カナダイギリスフランス(1966年7月脱退・2009年4月復帰)・イタリアポルトガルベルギーオランダルクセンブルクデンマークアイスランドノルウェー


1952年2月加盟編集

ギリシャトルコ


1955年5月加盟編集

ドイツ(加盟当時は西ドイツだったが、1990年10月に統一されて再び加盟した。)


1982年5月加盟編集

スペイン


1999年3月加盟編集

チェコハンガリーポーランド


2004年3月加盟編集

エストニアラトビアリトアニアスロバキアスロベニアブルガリアルーマニア


2009年4月加盟編集

アルバニアクロアチア


2017年6月加盟編集

モンテネグロ


2020年3月加盟編集

北マケドニア


2023年4月加盟編集

フィンランド


2024年3月加盟編集

スウェーデン


加盟申請中編集

ウクライナ(2022年9月30日に加盟申請書を提出した。)


加盟検討中編集


他との関係編集

ロシア連邦編集

ロシアは前にも述べたように準加盟国として扱われているが、外交関係を断絶または回復するなど未だに険悪な状況にある。他にもロシアはヨーロッパに所在するバルト3国を除く旧ソ連諸国(ウクライナベラルーシグルジアアゼルバイジャンモルドバアルメニア)が加盟するのを嫌って妨害する為、未だに全く加盟できない状況でいる国もある。


日本国編集

アメリカとは今も緊密な同盟関係にある事情からグローバル・パートナーという位置付けで提携しており、自衛隊では在日アメリカ軍が使用する武器・弾薬の相互運用性を確保する為に小銃のNATO弾を使用している他にも、兵器に様々なNATOとの共通規格を採用している。


批判編集

加盟国の事情編集

NATO加盟国の内部でもNATO自体に反対する者が多く、特に有識者と報道機関では「NATOがアメリカの主導による集団防衛組織であり、アメリカの覇権を維持する為の組織である。」との声が上がっている。元々ヨーロッパの西側諸国はアメリカが実施したマーシャル・プランという復興援助で発展した事情があり、今でもヨーロッパはアメリカに経済・軍事を依存し続けている事から、独自で軍事計画・行動を立案する事は既に不可能であるとされている。しかしながらロシア・ウクライナ戦争が開戦してからは、今までの状況を改善する為の取り組みが各国で実施されている。


ヨーロッパの事情編集

1966年3月にフランスがNATOからの脱退を表明した当時、ド・ゴール大統領(当時)は「アメリカのヨーロッパに対する介入」を理由として挙げ、結局同年7月にはNATOを脱退した。2009年4月にフランスが復帰してからも核兵器を保有しているNATO加盟国のヨーロッパはイギリスとフランスだけだが、イギリスはアメリカと1958年8月に相互防衛協定を締結しており、アメリカの許可も無しに独自で核兵器を管理する事は禁止されているので事実上フランスだけである。


核兵器編集

ヨーロッパには多くのアメリカ軍基地が存在し、ドイツ・イタリア・ベルギー・オランダ・トルコの国内にあるアメリカ軍基地の内部には、ニュークリア・シェアリングによって核ミサイルが厳重に保管されている。これらの権限はアメリカにあって駐留国には無く、その中でフランスは核兵器を290発(2024年6月時点)ほど保有しているだけでヨーロッパ全体を保護出来ない事から、ヨーロッパは70年以上もアメリカの核の傘に入っている事も批判の対象になっている。


属国編集

例えば冷戦時代には当時対立していたソ連が主導する集団防衛組織であるワルシャワ条約機構の加盟国は、国際的にソ連の衛星国または従属国として扱われていた。その為これらの定義をNATOに合わせると、NATOの加盟国はアメリカの衛星国または従属国として扱われても何ら不自然では無いとしている。ちなみにロシアは「NATO加盟国を独立主権国として扱っていない。」との声明を長年発出しており、会見の時は「アメリカとその属国」という表現にしている。


北大西洋条約編集

こちらを参照。


その他編集

規格編集

NATO加盟国の間で技術・弾薬・装備などの共通性を持たせる為にSTANAGという規格があり、STANdardization AGreementが定められている。


NATO旗について編集

NATOの旗はダークブルーの地色に白抜きの円形で囲まれたコンパスローズと、東西南北の全方向に伸びる白線から成り、ダークブルーは北大西洋・円は加盟国の団結・コンパスローズは平和への道を示すとされる。


関連タグ編集

アメリカ合衆国 北アメリカ ヨーロッパ 国際 軍事 冷戦


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