概要
公用語 | ロシア語 |
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首都 | モスクワ |
国家元首(職) | 大統領 |
面積 | 1,712万5,191平方キロメートル(不法占拠している北方領土とクリミア半島を含めた場合) |
人口 | 1億4,082万810人(2024年11月) |
名目GDP | 1兆8,600億ドル(2023年10月) |
1人当たりGDP | 1万3,010ドル(2023年10月) |
前身 | ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国 |
通貨 | ルーブル |
国花 | ひまわり・カモミール |
政体 | 半大統領制 連邦共和国 |
ロシア連邦(ロシアれんぽう、ロシア語:Российская Федерация、読み:ラッスィーイスカヤ・フィディラーツィヤ)は、ユーラシア大陸北部に位置する連邦共和国。国名はロシアとロシア連邦を正式名称としており、「ロシア」という名称はロシア北西部・ウクライナ・ベラルーシの地域を意味するルーシをギリシャ語風にしたものである。1991年12月に旧ソ連が崩壊してからは、出生率が急激に低下したと同時に死亡率が増加し、2024年11月19日時点での人口は1億4,082万810人である。
概説
ロシアは国連安保理常任理事国であり、旧ソ連が参加する独立国家共同体の指導国であると共に、BRICS・G20・APEC(アジア太平洋経済協力)・上海協力機構・ユーラシア経済共同体・欧州安全保障協力機構・世界貿易機関などの加盟国である。かつてはG8(現・G7)参加国であったが、2014年3月にクリミア半島を併合したことで参加資格を停止された。1,712万51,91平方kmの国土は世界最大であり、地球上の居住地域の8分の1を占める。国土が北アジア全体及び東ヨーロッパの大部分に跨り、11の標準時・広範な環境と地形を包含する。
ロシアは核拡散防止条約によって核兵器保有を承認された公式核保有国であり、世界最大の大量破壊兵器保有国である。旧ソ連時代1949年8月に核実験を成功させて世界で2番目の核保有国となり、2024年4月時点で軍事費は1,090億ドルと世界第3位である。常備軍であるロシア軍は地上軍(陸軍)・海軍・航空宇宙軍の3軍と、戦略ロケット軍・空挺軍の2つの独立兵科で構成されている。運用面では地理的に分割された軍管区に権限が委譲されており、それぞれに統合戦略コマンドが設置され、3軍と戦略核兵器部隊以外の通常兵器部隊を指揮している。
ロシア経済は国土や軍事力に比べて国際的地位が低いものの、名目GDP世界第11位・購買力平価世界第6位の経済力であった。世界最大の鉱物・エネルギー資源埋蔵国にして、世界最大の原油・天然ガス生産国の1国である。しかし経済が資源に依存する状況であるため、近年は原油安の影響で停滞している。加えて2014年3月にクリミア半島を併合して欧米諸国からの経済制裁でさらなる打撃を受け、2022年2月にロシア・ウクライナ戦争を開戦して国際的決済網から排除された。
ロシアの政治は旧ソ連共産党による一党独裁制が放棄され、多党制に基づく選挙が実施される様になったが、2003年12月からは事実上プーチン大統領が率いる与党である統一ロシアの一党優位政党制となっている。一応複数政党制や選挙は存在するが、政権に反対する候補を選挙から排除するなどプーチン政権に有利な制度が構築されており、政治的な意思を表明する機会に乏しい。2012年5月以来プーチンが大統領に在任しており、2024年5月に5期目の政権を開始した。
歴史
「ロシア史」を参照。
政治
大統領
国家元首である大統領は国民直接選挙で選出される。2008年12月に憲法改正が実施、それまで1期4年であった大統領任期が6年に延長された。
行政
国家元首である大統領は行政に対して強大な指導力を有する。大統領は議会(上院に相当する連邦院・下院に相当する国家院)の信任を要する首相を含む連邦政府の要職の指名権・任命権と、議会の同意がなくても大統領令を発布する権限を保持し、軍の最高司令官と安全保障会議の長を兼任する。行政権は連邦政府に属し、大統領は外交と国防・政府は内政を担当するとされている。
2012年5月にプーチン政権の3期目が開始してからは、プーチン無きロシアを叫ぶ市民によるデモが開催されるなどプーチンに反対する運動が活発化している。そこでこれらの運動を封じ込める為の一環として宗教信者の感情を害した者に禁錮刑と罰金を科す法律と未成年者への同性愛の宣伝行為に罰金を科す事を定めた法律が2013年6月・好ましからざる外国組織のロシアでの活動を禁じる法律が2015年5月にそれぞれ成立して政府の統制が強化されている。
立法
連邦議会は両院制で各連邦構成主体の行政府と立法府の代表1人ずつ・上院に相当する連邦院・下院に相当する国家院からなる。国家院議員(任期は4年)は小選挙区制と比例代表制で半数ずつ選出されていたが、2005年4月に完全比例代表制に移行する選挙制度改正が国家院を通過した。5%条項が7%条項へと議席を獲得するためのハードルが引き上げられた後、プーチン政権とシロヴィキに有利な選挙戦が展開され、大統領同様2008年12月に任期が5年に延長された。
司法
司法は最高位に憲法裁判所・最高裁判所・最高仲裁裁判所があり、その下に地方裁判所と地域裁判所があって裁判は大陸法型で、行政府からの訴追は司法省が担当する。1996年3月に陪審制を連邦各地に順次導入する事を決定し、2010年1月までに全ての地域で導入された。
1996年8月から死刑執行を停止していたが、2009年11月に憲法裁判所は死刑廃止を規定している欧州人権条約を批准するまでは執行を停止するという命令を発出した。この命令で死刑制度は事実上廃止され、2010年1月に国家院は欧州人権条約第14追加議定書を賛成多数で批准して名目上死刑が廃止された。
政党
複数政党制を採用しているものの、与党である統一ロシアが圧倒的多数を占めており、他にも野党として極右・ロシア自由民主党や極左・ロシア共産党などを初めとして様々なリベラル派や中道派・民族主義や愛国主義・社会主義や共産主義を活動理念に掲げる政党が存在する。しかし、これらの政党はいずれもプーチン政権に従順な体制内野党とされており、野党としての機能は喪失しているという指摘がある。
国際関係
1991年12月まで存続した旧ソ連の正式な後継国で、その他にも国際機関で旧ソ連の国際的権利・義務を継承している。国際関係は多面的であり、世界の191ヶ国と外交関係を有している。
日本
両国間では経済・安全保障・エネルギー分野での協力はある一方で、資源問題・北方領土問題・シベリア抑留・漁民に対する銃撃と拿捕などの懸案事項を抱えており、余り友好関係とはいえない状況である。2016年3月に全ロシア世論研究センターが調査を実施、同年9月にこの調査の結果が発表された。ここではロシア国民の多くが日本とは友好関係にあると考えて重視しており、両国友好関係を重要またはどちらかといえば重要と答えたロシア人は97%であった。
現在はウクライナ侵攻による経済制裁への報復措置として、ロシアの日本大使館から外交官を追放、北方領土ビザなし外交・平和条約交渉を打切っている。
米国(アメリカ合衆国)
NATOの実質的盟主であり、冷戦時代では覇権を巡って対立した。1991年12月に旧ソ連崩壊後も対立を続けており、ロシア・ウクライナ戦争ではウクライナを支援したことで対立が激化した。
ヨーロッパ諸国
冷戦時代以来の主導権争いに加えて、人権問題・ウクライナ問題などで必ずしも安定していない。特にウクライナ問題の際は経済制裁を受ける事となり、ロシア経済は混乱に陥った。ロシアはヨーロッパ各国のポピュリズム政党を支援している。ロシアは英国のEU(ヨーロッパ連合)離脱を容認している国であり、残留を願う米国・ドイツ・中国などとは一線を画す。
中国
1960年4月に表面化した中ソ対立では対立していたが、1989年5月にゴルバチョフ氏が中国を訪問、国家関係の正常化を盛り込んだ共同声明を発表した。しかし両国間では自由貿易は実施されておらず、これは自由貿易に含まれている投資家保護条例の影響で、ロシアが中国に資源を取られないための対策である。首脳会談後に公表される共同声明では「中露関係はかつてない程の高水準」というフレーズが繰りされ、中国との蜜月といえる友好関係が対外的に演出される。
イラン
1979年2月にパフラヴィー王朝を打倒したイスラム革命が勃発し、イスラム共和国として成立した現在のイランを承認した。しかし、1980年9月にイラン・イラク戦争が開戦した時は、イラクのサダム・フセイン大統領に大量の通常兵器を供与した。中国より高い相互の信頼関係によって資源を輸出しているため、イランラジオやラジオスプートニクで同じ記事が出て来るなど両国の同盟関係はより一層強化されつつあり、シリアに関する問題では両国は共にアサド政権を支持している。
キューバ
1959年1月のチェ・ゲバラとフィデル・カストロによるキューバ革命以降から友好関係にあり、旧ソ連時代より緊密な協力関係にある。1991年12月に旧ソ連が崩壊してからも外交関係を維持し、ロシアが2014年3月にウクライナからクリミア半島を併合した際は、この地をロシアの一部として承認している。2022年2月にロシア・ウクライナ戦争が開戦すると、同年11月にディアスカネル大統領がロシアを訪問してこの戦争に対する支持を表明、旧ソ連時代から続く友好関係をアピールした。
軍事
正規軍
陸軍・海軍・航空宇宙軍の3軍種があり、これとは別に独立兵科として戦略核兵器を運用する戦略ロケット軍・空挺軍がある。
準軍事組織
正規軍以外では国家親衛隊・国境軍・民間防衛軍・連邦警護庁の4つが存在する。
情報機関
現在は連邦保安庁と対外情報庁がサイバー攻撃に対する防衛などを始めとして、国内の防諜・情報機関や治安組織としての役割を担っている。他には連邦警護庁・参謀本部情報総局・参謀本部軍事測量局が存在しており、連邦の安全保障になくてはならない重要な部署として機能している。
地理
陸上でノルウェー・フィンランド・エストニア・ラトビア・ベラルーシ・ウクライナ・ジョージア・アゼルバイジャン・カザフスタン・中国・モンゴル・北朝鮮、海上で日本・アメリカ(アラスカ州)と国境を接し、北は北極海・東は太平洋に囲まれている。他にもリトアニア・ポーランドに挟まれた飛び地・カリーニングラード州(旧・プロイセン)が存在するため、これらの国とも国境を接する。国土のほとんどが北極圏に近いため、亜寒帯気候である。
北極の半分以上を占める領土とユーラシアの北側の大半を占めるが、アジア部分で栄えている都市はハバロフスク・ウラジオストク・オムスクなどの南側の国境沿いが中心であり、人口の70%はヨーロッパ部分に住む。ヨーロッパ部分はヨーロッパでは最も東になり、東ヨーロッパでは最も栄えている。ちなみにサンクトペテルブルク・モスクワ・ノヴゴロド・ウファ・ソチなど栄えている街の多くはヨーロッパ側である。なお、各地域詳細は「ロシア連邦の自治体一覧」を参照して欲しい。
経済
ブラジル・中国・インド・南アフリカと共にBRICsと呼ばれる新興国の1国に挙げられており、首都・モスクワと地方格差もあってロシア全体では先進国より低い水準である。
農業
農産物の自給自足にも力を入れており、世界最大の小麦輸出国にして米の栽培の北限地として知られている。ロシアでの米栽培効率は1ha当たり7,100kmで、ヨーロッパの米生産国で知られるイタリア・スペインと比べても多いものとなっている上にアジア諸国より多く、ロシアの米はウズベキスタン・タジキスタン・トルクメニスタン・トルコにも輸出されている。
飲料水
ロシア・ウクライナ戦争に伴う経済制裁を発動されているロシアでは、外国製品から国産製品代替があらゆる分野で実施されており、それは炭酸・清涼飲料水も例外ではない。
航空機産業
航空機製造はロシアの重要な産業部門で、約35万5,300人が雇用されている。航空機産業は最も科学集約的なハイテク分野の1つで、数多くのプロフェッショナルである人材を雇用している。
自動車産業
2022年5月12日にロシアは政令第855号で、「Euro(European emission standards)-0」なる独自のEU圏内統一排出ガス規制を制定した。「ヨーロッパ各国で製造された電子工学部品を多数使用するABS(アンチロック・ブレーキ・システム)及びESP(Electronic Stability Program)・エアバッグなどの安全システムを不要とし、標準搭載の安全システムは2点式シートベルト(Two point seat belt)及び3点式シートベルト式(Three point seat belt)に限る」とし、完全に国内で生産可能な1988年レベルの技術のみで構築された新車生産・販売が許可されるようになった。
交通
広大な国土で寒冷地が多いため、舗装率が低い上に道路の路面状態は悪い。自動車専用高速道路はモスクワとサンクトペテルブルク周辺に限られ、全国的な高速道路網は未発達である。2019年12月にモスクワとサンクトペテルブルクの2大都市を結ぶ高速道路「M11」が全通した。
鉄道網はヨーロッパ部分が多くを占めているが、ロシアを東西に横断するシベリア鉄道とそのバイパスであるバム鉄道がある。中国・中央アジア・西ヨーロッパと接続しており、ユーラシアを縦断する貨物輸送では大きな存在感がある。都市内交通ではモスクワ・サンクトペテルブルク・カザンなどで地下鉄が存在しており、壮麗な装飾で知られている。
国民
ロシアには182の民族が居住しており、移民は約700万人とされる多民族の国である。最大の民族はロシア人だが、ウクライナ人・ベラルーシ人・トルコ系ウズベク人・シベリアと極東の少数民族なども存在し、合計で190以上の民族がある。公用語はロシア語であったが、少数民族の言語も存在する。宗教はキリスト教徒が人口の60%を占め、その大半がロシア正教会の信者であり、イスラム教徒は人口の8%程で仏教徒も存在する。
社会
教育
2023年8月に同年9月に開始される新学期から、16 - 18歳の学生向けに使用される初めての全国統一歴史教科書が導入された。内容はソ連崩壊からプーチン統治時代とロシア・ウクライナ戦争の原因に至るまで、ほぼ完璧にプーチンの歴史観と政権が用いている解釈が映し出されており、プーチン政権によるプロパガンダが強調される形となっている。
結婚
法律上結婚可能な年齢は成人となる年齢と同じ18歳であるが、尊重すべき理由がある時はそれ以下の年齢でも認められる場合がある。結婚後の姓は夫婦どちらかの姓に合わせる(同姓)・結婚前のまま(別姓)・姓を結合する(二重姓)の3通りがあり、同姓の場合は妻が夫の姓に合わせる事が多い。なお、民法典19条によって個人の姓・名前・父称変更は一定の手続きによって可能である。
ロシアでは同性婚は違法となっており、2020年7月に憲法改正が実施された時に明確化され、現在に於いても同性婚を明示的に禁止している。同性愛に関しては2013年6月に同性愛宣伝禁止法が成立し、同性愛者と公言した場合は外国籍(アップルのティム・クックCEO)も処罰の対象となる。ロシア語とLGBTの対立は根深く、ロシア語の性質上話し手は自分の性別を文に反映させなければならないためである。例えば自分が男性・女性なのかによって職業名・動詞過去形は変化するため、これを回避するには無人称文という文型を使用すれば良いが、いつもそれだと回りくどく感じられるので根本的な解決とはならない。
渡航
これまでモスクワ・極東部分・サハリン問わず短期間観光であっても事前に査証取得が必要であったが、2017年8月よりウラジオストクのみ最大8日間査証なしでの渡航が可能となった。ただし、ウクライナ情勢を巡って日本政府は渡航中止を呼掛けている。
ロシアに関連するキャラ
ドールズフロントライン
スチェッキン | SPP-1 | トカレフ |
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マカロフ | GSh-18 | M1895 |
MP-446 | SR-3MP | PP-90 |
PP-19 | PPS-43 | PPSh-41 |
PP-2000 | OTs-14 | AN-94 |
AK-12 | ASVal | 9A-91 |
AK-47 | OTs-12 | 6P62 |
ASh-12.7 | モシン・ナガン | PTRD |
SVD | SV-98 | OTs-44 |
SVT-38 | PKP | PK |
AEK-999 | Saiga-12 | |
随時募集中
関連タグ
共産主義 ロシア人 ソビエト連邦 ロシア帝国 ロシア連邦大統領
料理
「ロシア料理一覧」も参照。
ウォッカ ボルシチ ピロシキ ビーフストロガノフ キャビア いくら ババ スメタナ カーシャ シチ― キシュカ ロシヤケーキ キエフスキー ブルヌイ ペリメニ コトレータ ウハー
文化
クレムリン クドリャフカ チェブラーシカ テトリス ウサビッチ
民族衣装 ロシア帽 マトリョーシカ カモミール ひまわり システマ
地名
「ロシア連邦の自治体一覧」も参照して欲しい。
モスクワ サンクトペテルブルク ソチ カザン オムスク ムールマスク キジ島 ペトロザヴォーツク ノヴゴロド ウーグリチ ヤロスラヴリ コストロマ スーズダリ ヴラジーミル ウラジオストク バイカル湖 カムチャッカ半島 ハバロフスク サマラ ウファ ロストフ
軍事・諜報機関
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企業
交通機関
モスクワ・メトロ サンクトペテルブルク地下鉄 シベリア鉄道 ロシア鉄道
その他
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