概要
世界各国の個性的な格闘家たちが1対1で戦いをくりひろげるという内容のアーケードゲーム。現在まで続く対戦格闘ゲームの流れをつくりあげた世界的大ヒット作品で、格闘ゲームの代名詞とも言える作品である。
1992年にはスーパーファミコンに移植作品が登場。日本国内だけで200万本以上を売り上げ、こちらも大ヒットとなった。
なお、タイトルに『Ⅱ』とあるように前作である初代『ストリートファイター』も存在するが、一部のファンがつき一定の成功をおさめたものの、本作ほど大きなブームとなっていない(だが、そのヒットを受けて本作が作られたことと、通称『必殺技コマンド』を発明したことを考えると、その歴史的価値は計り知れない)。
初代『ストリートファイター』を含め、対戦格闘ゲームの初の作品は何かと言う場合は諸説あるが(カプコンもかつて他社と裁判沙汰になっている、なお和解済)、RPGの最初が『ドラゴンクエスト』である(これも誤り)というような認識みたいなものである。それを抜きとしても、多くの亜流ゲームを出したという流れの源になったことには異論はないだろう。
1995年にはグループ・タックの手によって、『ストリートファイターⅡ V』のタイトルでテレビアニメ化された。
同年4月から11月末にかけて、月曜19時台前半の時間帯で日本テレビ系列局(ただし四国放送と高知放送除く)他にて放送された。製作ホスト局は読売テレビ。
ちなみにこの作品は、『シティーハンター』(第1シリーズ)終了以来7年ぶりに放送されたアニメであり、以後2009年3月のベルトバラエティ番組『サプライズ』設定による枠廃止まで、14年間にわたりアニメの放送が行われている。
対戦台
本作リリース当時、アーケードゲームで二人プレイをする場合、ひとつの画面の前にとなりあって座ってプレイするスタイルしかほぼなく、シャイな日本人の間では「知らない者同士でゲームをプレイ」するというスタイルは一般的ではなかった。
対照的に欧米では、知らない者同士でもゲームを楽しむのが一般的な文化だったらしく、本作はそれをふまえて作られ、当初カプコン社内では、日本でのヒットはそこまで大きくは見込まれていなかったと言われている。
本作リリース後、日本でも爆発的ヒットをしたのは言うまでもないが、やはり対戦については若干敷居が高く、しばらくの間はゲーマー同士声を掛け合って対戦したり、各店舗『対戦求むの札』を作って工夫したりといった時期がすくなからず続いた。
そして、あるとき画面・筐体を背中合わせに配置した、いわゆる『対戦台』が発明され、それが全国的に普及。対戦ブームの大きな後押しとなった。現在こそ、ゲームセンターにおいて、2台以上つなげて対戦ができるようになっている筐体は一般的だが、それらの原型が作られた(すくなくとも全国的に普及させた)のは、この『ストリートファイターⅡ』が初である。
対戦台の登場により、内気で照れ屋な日本人も、声を掛け合ったり、顔をつきあわせたりせずに対戦を楽しむことができるようになり、現代につながる対戦ゲームのスタイルの基盤となった。本作がなければ、直後の対戦格闘ゲームの大ブームのみならず、現在のあらゆる(格闘モノ以外も含めた)対戦型ゲームが日本で根付くことはなかったかもしれない。
キャラクター
初代『ストリートファイターⅡ』の使用可能キャラ
シャドルー四天王(初代はCPU専用のボスキャラで、『ストリートファイターⅡ'』より使用可能)
『スーパーストリートファイターⅡ』の追加キャラ
『スーパーストリートファイターⅡ X』の隠しキャラ
『ウルトラストリートファイターⅡ』の追加キャラ
『ストリートファイターⅡ POCKY EDITION』の追加キャラ
関連作品
ここでは『ストリートファイターⅡ』の名前のつく作品のみ挙げる。
その他ストリートファイターシリーズ(ZERO、Ⅲ、Ⅳ等)については各項目およびストリートファイターの項目を参照
ストリートファイターⅡ
『スト2』の初代作品。それまでのゲームからは考えられないほどになめらかにアニメーションする個性的な格闘家たちに、当時、ゲームファンのみならず、多くの人々が夢中になった。
プレイヤーが操作できるキャラクターは、前作から引き続き参戦のリュウ、ケンの他、エドモンド本田、春麗、ガイル、ダルシム、ブランカ、ザンギエフの8人。
とにかく連続技が非常に強力で体力ゲージのおよそ3分の2を奪う上に確実に気絶状態に追い込んだりピヨリから再びピヨリに追い込んだりするものも数多く存在し1発ヒットするとほぼ確実に勝負が決まる場面も多々あった。このためダッシュ以降はピヨリ値が低くなる、ターボ以降は攻撃力自体低くなるといった調整が行われた。
特にガイルは異様なまでに強く、斜め後ろをホールドして待ち、ジャンプしてきたらサマーソルトキック、前に歩いてくる相手にはソニックブームと強力な通常攻撃で迎撃する待ちガイルがあまりにも強力でゲームセンターでは「待ちガイル禁止」という張り紙が張られたことも。
前述のとおり、スーパーファミコン版も発売され大ヒットとなった。
販売元であるカプコンからジョイスティックが発売された他、HORIからも格闘ゲーム向けにLRボタンの配置を変更したコントローラーが発売された。
対戦バランスは劣悪だったが、ゲームで対人戦が行われるというのが目新しく人気が大爆発、一時は商業施設のちょっとしたゲームコーナーにも設置されていた。
ストリートファイターⅡ'(ダッシュ)
対戦バランスが大きく調整された他、同キャラでの対戦が可能に。
四天王(ボスキャラ)のM.バイソン、バルログ、サガット、ベガもプレイヤーが操作できるキャラとして選択可能になった。
家庭用ゲーム機では、PCエンジン版とメガドライブ版が発売(スーパーファミコン版はひとつ飛ばして後述のターボを発売した)。スーパーファミコンと違い、両機とも『ストⅡ』をプレイするにはコントローラーのボタンが足りず、本作の発売は当初絶望的であったが、両ハードメーカーともに『ストⅡ』のために急遽6ボタンパッドの開発をやってのけた。
PCエンジン版はNECアベニューから発売され、Hu-CARDでありながらスーファミ版では省略されていた樽のボーナスステージや、国名、カウントダウン、インドステージの象の鳴き声、「YOU WIN/LOSE」、「PERFECT」といった音声も後述の「ターボ」に先駆けて再現された。
メガドライブ版はダッシュプラスという名で発売され、音質や画質はスーファミ版よりも劣るも、オープニングデモのストリートファイトシーンが再現されている(また、あまり知られていないが、実はダッシュターボの内容も含んでいる)。
ちなみに対戦バランスは「終わっている」くらいぶっ壊れていて特にベガは「最強のラスボスがそのまま使える」状態であり、極悪すぎる性能を持っていた。
ストリートファイターⅡ'ターボ
スピードアップ化、新技(春麗に気功拳等)が追加。
ゲームスピードが無印と比較して約1.7倍前後高速化され、それに伴いコマンド入力受付の時間が長めに設定されている。
こちらもスーパーファミコンに『ストリートファイターⅡターボ』の名前(なぜか『'』が付かない)で発売。前作に続くヒットとなった。前作よりROMの容量が増えている。
AC版は『ストリートファイターⅡ'』の海賊版(日本では俗に言う『ストⅡダッシュレインボー』が有名)や改造基板が当時大量に出回っていたため、それを駆逐するという目的で急遽作られたアップデート版。本来は並行開発であった『スーパーストリートファイターⅡ』が先に出る予定だった。
なお、この倍速処理は海賊版に搭載されていた機能を解析し実装したと開発プロデューサーの岡本氏が自身のYoutubeチャンネルで明かしている。
ちなみにスーパーファミコン版はゲーム開始前に「TURBO」と「NORMAL」とゲームモードが選択できるが、TURBOモードは4段階のスピード設定が可能で、裏技を使うと実は10段階のスピード設定が可能。また、「NORMAL」は実質『'』としてのゲームモードである。その為、SFC版はMD版の「ダッシュプラス」とは逆にターボの移植だが一緒に『'』が含まれているようなものである。ちなみにSFC版は隠し設定で縛りプレイも可能で「プレイヤー側は必殺技を一切封印」「対戦プレイで必殺技の使用を個別オンオフ」というものができる。
スーパーストリートファイターⅡ
顔アップ・背景などの各部グラフィック、音声の大部分を大幅リニューアル。メモリ容量の関係上、技が簡素だった四天王も、多くのアニメーションパターンが追加された。
新キャラとして、キャミィ、T・ホーク、ディージェイ、フェイロンの4人が参戦。システム面としては、起き上がりと同時に必殺技を放ったり試合開始直後に最初にダメージを与えたりなどの条件を達成するとボーナススコアが入るようになった。
家庭用ゲーム機ではスーパーファミコン版とメガドライブ版が発売された。メガドライブ版は、ハードの性能上、画質と音質は若干スーパーファミコン版に劣るが、スーファミ版では省略されていた一部のグラフィックや音声が再現されている。
スーパーストリートファイターⅡ X
溜めたパワーゲージを消費してくりだす連続必殺技「スーパーコンボ」(いわゆる超必殺技)が各キャラに追加された。
その他、なげぬけ、空中連続ヒットなど、今まであえて手を入れていなかったシステム根幹部分に、追加変更が加えられている。また、スピードも設定次第ではプレイ開始直後に変えられる。
特定の条件を満たした場合のみ隠しボスとして豪鬼登場、長らくボスとして君臨してきたベガを一瞬で撃破しプレイヤーに襲い掛かるというとんでもない演出がなされた。また、ゲーメストで豪鬼が使用できる隠しコマンドが公表された結果、茶色のリュウを好んで(?)使用するプレーヤーが散見された。一部プレイヤーは本当に好んで使っていたが。
家庭用では当時3DOのみで発売。のちにセガサターン、プレイステーションを初め、多くの家庭用機に発売される。
2001年にはゲームボーイアドバンス用に「リバイバル」として発売、ボタン数が少ないため簡単コマンドなどのシステムがついている。
繰り返しゲームをプレイする事でポイントが溜まっていき、一定以上溜まると豪鬼、真・豪鬼が使用可能となる(他の家庭用機と違い、正式にプレイヤーセレクト画面に登場する)。
発表から30年以上経ってなお各地で大会が開催され、現役でプレイされている至高の名作のひとつである。
2021年にストリートファイター30周年を記念したアニバーサリーコレクションに収録という形で移植されたが、ネット対戦はラグがあり不評の模様。
ハイパーストリートファイターⅡ
2003年に家庭用リリースされたストリートファイターⅡの10周年記念の作品。
人気だったのか、2004年にはバグを修正しアーケードへと逆移植されている。
前作をベースに、キャラを選択後にスト2全シリーズの性能を再現したモードを選択するのが最大の特徴。
これにより、同キャラ対戦でもスパ2X時代のキャラ性能とそれ以外のキャラ性能で差別化が図られており、より一層奥深い駆け引きを実現した。
Xキャラはスーパーコンボがある分強いのだが、それはそれとして過去のバージョンの極悪な性能のキャラもそのまま使えるので対戦環境は魔境である。
2022年にカプコンファイティングコレクションに収録という形でSteam、PS4、Switch、Xboxに移植される。ストリートファイター30thアニバーサリーはラグがありオンライン対戦が出来なかったが、こちらは「ゲーセンにいるんじゃないかってくらいラグが無い」というほど快適とのこと。
X勢のオンライン対戦にも使用されている。
ちなみに、豪鬼は隠しコマンドではなくキャラセレ画面に表示こそされていないが普通にセレクトできるようになっている。
ウルトラストリートファイターⅡ
2017年5月26日発売のスト2最新作で、オリジナル版より長き時を経てシリーズ2例目の『ウルトラ』となる。
『ハイパーストリートファイターⅡ』をベースに「殺意の波動に目覚めたリュウ」・「洗脳されたケン」がスト2シリーズに初めて登場する他にも様々な新要素が盛り込まれ、担当声優は全員ストリートファイター4シリーズに準拠する配役に変更された。選択したモード次第では、旧来のボイスが使用される。
プレイヤーキャラは、Ⅱシリーズだけで20人(真・豪鬼のみプレイヤーセレクトから一見外されたが、隠し要素として特定モード限定で使用可能)になった。
Nintendo Switchのおすそわけプレイにも対応する他、ジョイコンのセンサー機能を使って次々と迫ってくるシャドルー兵士たちを倒していく新規モードも搭載。規定のモーションを達成するとリュウの必殺技を繰り出すことが出来る。
ストリートファイターⅡ POCKY EDITION
2022年11月29日展開の「江崎グリコ株式会社」とのタイアップ企画。限定パッケージの「ポッキー」を購入し、キャンペーンサイトにてパッケージ記載のパスワードを入力することでオンライン版でプレイできた。
体力ゲージを「ポッキーのチョコレートとプレッツェルの比率」にした状態で相手をKOする「Pocky K.O.」という特別ルールが追加された。
2023年12月5日から2024年7月31日まではキャンペーンサイトにアクセスすれば誰でもプレイできる。
2024年5月27日までの期間限定でオリジナルキャラクター「EIKO」が使用可能。
パンチ、キック、必殺技の3ボタンのみで、しゃがみ攻撃は存在しない。
関連動画
表記揺れ
…表記揺れが激しいため、ストⅡ系のタグはあえて付けず、シリーズ原点である『ストリートファイター』タグのみを付ける例も多い。
関連タグ
セイン・カミュ…ダッシュプラスのCMに出演(顔のみ)した。
大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U - 『ストⅡ』仕様のリュウ(※)とリュウステージ「朱雀城」が実装された。
※ただし、「真・昇龍拳」など以降の作品で設定された要素も一部含まれる。