概要
下・右下・右+パンチ(↓↘→+P)の入力(右向き)で撃てる必殺技である。前方に気の塊を飛ばす技であり、牽制技として使われることが多い。
一躍の大ブームと化した『ストリートファイターⅡ』の影響か、以降の格闘ゲームでも、上記のコマンドで飛び道具を撃つキャラが次々と登場しており、今や昇龍拳と並んで格闘ゲームに欠かせない必殺技の一つとなった。
なお、この必殺技の元ネタは、鳥山明氏の漫画『ドラゴンボール』における主人公孫悟空の必殺技であるかめはめ波。手を触れずに敵を攻撃するエネルギー波を格闘ゲームに導入したのが、波動拳と言える。
コマンド
上記の↓↘→+ボタンのコマンドは波動(拳)コマンド(単に波動という場合もある)と呼ばれ、大抵の主人公キャラはこのコマンドで飛び道具が出せる。
例外として、同コマンドに突進技が割り当てられる場合も多い。
かめはめ波との違い
よく、かめはめ波と一緒くたにされがちだが、波動拳は気の弾丸、かめはめ波は気を出し続ける気のビームと考えるのが妥当と思われる。
ただ後述の「真空波動拳」など、一部の超必殺技については、シリーズや出演作品(特にMVCシリーズ)によってビーム砲のような表現がなされる場合がある。
使用方法については波動拳が基本的に牽制に使われる技に対してかめはめ波は高威力の必殺技扱いという違いがある(ただし、真空波動拳の高威力版もあれば、逆に悟空が気を抑えてかめはめ波の速射力を重視したいわゆるグミ撃ちで牽制に使うこともある)。
派生・バリエーション
必殺技
- ファイヤー波動拳・灼熱波動拳(しゃくねつはどうけん)
炎を帯びた波動拳を発射する。ヒットすると相手は燃え、必ずダウンする効果がある。
作品によってコマンドが独立していたり、或いはゲージ小消費のEX必殺技だったりと扱いは微妙に異なる。
使用者は、リュウ・豪鬼・殺意の波動に目覚めたリュウ・影ナル者が使用。
リュウの使用するものは当初「ファイヤー波動拳」だったが豪鬼の技名と揃えられた。
大乱闘スマッシュブラザーズシリーズではコマンド入力することでのみ使用可能(ニュートラルB入力では出せない)。また、カービィもリュウをコピーすることで、一時的にではあるが使用可能になる。相手の能力をコピーしたものとはいえ、何気に灼熱波動拳を放てる3人目のキャラとなった。
そしてストリートファイターVからはケンもVトリガー発動中に灼熱波動拳を撃てる様になっている。
影ナル者は通常の波動拳の射程が下記の我道拳のような性能になっているため、飛び道具は実質これだけ。
- 豪波動拳(ごうはどうけん)
リュウのそれと比べ強化されている。豪鬼(とその派生)の使用する波動拳。
豪鬼の豪の字が入っているので豪鬼が自分流に技を昇華させたのかもしれない。
狂オシキ鬼のものは後述の剛波動拳と似た動作となり、溜めも可能。
- 剛波動拳
斬空波動拳のように片手で発射する。剛拳の使用する波動拳。
剛拳の剛の字が入っているので剛拳が自分流に技を昇華させたのかもしれない。
ボタンの押し分けで発射角度を変えることができ、溜めることによって威力を増すこともできるなど高性能。
- 空中波動拳
空中で使用する波動拳。MARVEL VS.シリーズでリュウとケンが使用。
リュウは地上版と同じく横に放ち、ケンは後述の蒼空波動拳・斬空波動拳のように斜め下に放つ。
『ストリートファイターV』では影ナル者が仕様。横に放つが、画面半分も飛ばない。
- 蒼空波動拳
空中から斜め下に向けて波動拳を放つ。春日野さくらの必殺技。
動作の初出はMARVEL SUPER HEROES VS. STREET FIGHTERだが、技名がついたのは私立ジャスティス学園。
- 斬空波動拳
豪鬼が殺意の波動を使い、空中から放つ波動拳。空中から斜め下に向けて波動拳を放つ。
殺意の波動版蒼空波動拳といったところ。
- 天仰波動拳
さくらが使用する、斜め上に波動拳を放つ技。
MARVEL SUPER HEROES VS. STREET FIGHTERでは通常のさくらの波動拳が斜め上に放つものとして登場し、「私立ジャスティス学園」で固有の技名が付いた。
- 波動掌
さくらが使用。一言で言えば飛ばない波動拳。
- 萌芽掌
さくらが使用。一言で言えば両手で放つ波動掌。
- 波掌撃
ストリートファイターVでリュウが使うVリバーサルの技である。
一言で言えばガード中に出せる飛ばない波動拳。
- 連波動拳
ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM3でリュウが使用。
射程が短めの波動拳を最大5連射する。
溜めることにより、爆波動拳に派生する。
爆波動拳
見えない波動を放ち、相手に当たると爆発のエフェクトが発生する。
- 波動昇龍拳
リュウ版
ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM3でリュウが使用。
拳に波動を纏いながら昇龍拳を放ち、相手を高く浮かせる。その相手に追撃として拳のまま上に向けて波動拳を放つ。昇龍拳部分が1ヒット、波動拳部分が3ヒットして合計4ヒットする技である。相手が高く浮く技である。
ケン版
アニメ『ストリートファイターIIV』でケンが同名の技が使用するが、こちらは波動を拳に纏った昇龍拳で壁を蹴って真横に飛ぶ。波動の流派版サイコクラッシャーアタックに見えなくもない。
- 烈風波動蹴
ウルトラストリートファイターIV オメガエディションでケンが使用。
蹴りから波動拳を放つ。ちなみに蹴りにも攻撃判定がある。
- 落陽波動拳
『ウルトラストリートファイターIV オメガエディション』で殺意の波動に目覚めたリュウが使用。
真上に波動拳を放ち、途中から斜め前方へ軌道が変わる波動拳である。
- 雷光波動拳
ストリートファイターVでリュウがVトリガー発動中に波動拳を撃つことで放てる電気属性の波動拳。
- 轟雷波動拳
ウルトラストリートファイターⅣで狂オシキ鬼が放つ電気属性の波動拳。
- 伏魔豪波動
狂オシキ鬼のEX必殺技専用技。
ボディブローを放ち、ヒットすると逆の手でEX版豪波動拳を放つ。
- 我道拳(がどうけん)
出来損ないの波動拳・・・。ダンの使用する波動拳。射程が物凄く短いが、威力は波動拳と同等だったりする。
スーパーコンボ版の震空我道拳の他、強化派生の我道翔吼拳、ウルトラコンボ版の覇王我道拳までも存在する。
スーパーコンボ / スーパーアーツ / ウルトラコンボなど
- 真空波動拳(しんくうはどうけん)
リュウと春日野さくらのスーパーコンボ(超必殺技)。
複数(初出時は5つ)の波動拳を一つに重ねたもの。作品によっては灼熱波動拳が混ざったり、レーザー状になっていたり、波動拳を連射するものだったりする。
真・昇竜拳に先立つリュウを代表する超必殺技のひとつである。
大乱闘スマッシュブラザーズシリーズでは、リュウの最後の切りふだの1つとして実装された。
さくらはIVではウルトラコンボとして実装。Vではクリティカルアーツとして、真空波動拳を放ち密着ヒットした場合は追加演出が入る「桜の雨」を使用する。
- 真空蒼空波動拳
私立ジャスティス学園でさくらが空中から斜め下に放つ真空波動拳である。
- 真空天仰波動拳
真空波動拳を斜め上に発射する。
天仰波動拳同様、さくらが『MARVEL SUPER HEROES VS. STREET FIGHTER』では真空波動拳の名前で地上から斜め上に放っていたものが、私立ジャスティス学園で固有の技名が付いて独立したもの。
IVでは真空波動拳のコマンド最後のP3つをK3つにすることでこちらに変化する。ちなみにIVでは通常の天仰波動拳はない。
- ダブル真空波動拳
名称の通りリュウとケンの二人で同時に放つ真空波動拳である。
『X-MEN VS. STREET FIGHTER』と『MARVEL SUPER HEROES VS. STREET FIGHTER』のみ使用可能な技である。これを放つためにケンが努力し特訓したのだろか・・・。
映画『ストリートファイターII MOVIE』でリュウとケンが同時に波動拳を放ってベガを倒した場面があり、この場面がモチーフになっていると思われる。ちなみにこのときの技は後に「双龍波動拳」(ダブルはどうけん)と名づけられた。
また、同じシーンをモチーフにした技に、プロジェクトクロスゾーン2で使用する「双龍波動拳」(そうりゅうはどうけん)がある。
- 滅・波動拳
リュウと殺意の波動に目覚めたリュウの技。
リュウはストリートファイターⅣシリーズで使用。殺意の波動に飲み込まれないで殺意の波動をただの技として使い放つ波動拳。滅・波動拳が扱えるようになったからこそ後述の電刃波動拳が放てるようになったと言える。
殺意の波動に目覚めたリュウはCAPCOM VS. SNK2とストリートファイターⅣシリーズで使用。CvS2では溜めが長い、威力低め、ガード不能、気絶値が高いと、後述の電刃波動拳と似た仕様になっている。ストⅣでは溜めが可能なこと以外はリュウの物とほぼ同じ性能。
- 電刃波動拳(でんじんはどうけん)
リュウのスーパーアーツ(ストIII3rdの超必殺技)。自身の本来の気と『殺意の波動』による気をぶつけて摩擦を起こし、それによって電撃を伴った波動拳を繰り出す。威力そのものはあまり高くないが、代わりにガード不能で、気絶値が非常に高く確実に無防備な状態にできる性能を持つ。
EX(2PLUS以降)では殺意の波動に目覚めたリュウのメテオコンボ(レベル3専用スーパーコンボ)。
ストリートファイターVではVトリガー発動中に真空波動拳を撃つことで電刃波動拳を放つことができる。
- ハドウバースト
ストリートファイターⅢシリーズに登場するショーンが使う技。気を練ることがまだ苦手なショーンが気を練りに練って放つ技。技の発生は速く、相手に当たればヒット数1ヒットながら相手は吹っ飛ぶ。
相手の必殺技の飛び道具とぶつかればかき消して貫通してしまう技である。波動を練る練習がまだ不充分なのか加減を出来ていな点で未熟なショーンらしい技とも言える。
ケンも『NAMCO x CAPCOM』で使用する。こちらは複数ヒットし、ケン版の真空波動拳といった扱いとなっている。
- 滅殺豪波動
豪鬼の使う技。殺意の波動を片手ずつで同時に練りに、そして両手でその殺意の波動を合わせて放つ技である。簡潔に言うと殺意の波動版真空波動拳の様な技である。
- 天魔豪斬空
豪鬼の使う技。空中から地面に向けて片手で気を練りにその後にまた反対の片手で気を練り放つ波動の技である。両手で波動を合わせる動作はしない。「VSシリーズ」では両手で合計18発の気弾を交互に撃つ。アポカリプスなど、大型の敵には全弾命中させる事も不可能ではない。
- 冥恫豪波動
狂オシキ鬼の技である。真横に滅殺豪波動の様な波動を放つ技だが、至近距離でヒットするともう一度滅殺豪波動の様な波動を発射して追撃する。その2発目の波動は相手の肉体を貫通し、背中側で天の文字の様な爆発を起こす。
- 滅殺豪天破
狂オシキ鬼の技である。真上に向かって滅殺豪波動の様な波動を放つ技である。対空に使いにくいが、ダメージは冥恫豪波動より高い。
- 滅殺豪斬空
狂オシキ鬼の技である。滅殺豪波動の様な波動を空中から地面に向けて放つ技である。天魔豪斬空との違いは最初から両手で殺意の波動を練っている点である。
- 龍哭波動拳
頂上決戦最強ファイターズ SNK VS. CAPCOMでの殺意の波動に目覚めたリュウの超必殺技。
MARVEL VS.シリーズの真空波動拳のようにビーム状の波動拳を放つ。
- 熱血波動拳
巨大な波動拳を発射する。ストリートファイターEXシリーズでのさくらのメテオコンボ。
弾速が速い、判定が大きい、無敵時間が長い、相殺判定が強い、威力が大きい(メテオコンボの中では低いほうだが)といった理由により、最強の波動拳と言われることもある。
- 真・波動拳
アルティメットマーブルVSカプコン3で登場したリュウの技。波動覚醒という技を発動させた後に放つことができる。ビーム状の波動拳であり、相手を貫通し画面端でそのビーム状の波動拳が反射しさらに相手に当たる波動拳である。
今回出演してないあの人の超必殺技に似ている。
使い手が多いのもあり、そのバリエーションはとても多い。
関連技
- 正波拳
波動拳によく似た島津流空手の技。ジャスティス学園シリーズに登場する島津英雄の技。
派生技として空中正波拳や対空正波拳、上位版として島津流正波拳や島津流真正波拳が存在する。
島津流空手には他にも昇龍拳に似た実直拳など、波動を扱う暗殺拳と似たよう技が存在するが関係あるのだろうか……。
ちなみに、愛と友情のツープラトン「島津流真正波拳(島津流双龍正波拳)」ではラストでプレイヤーキャラと英雄が正波拳を使用するため、全てのキャラに正波拳を使用させることも可能。
- ソウルフォース
『ストリートファイターEX』などに登場するアレン・スナイダーの技。
ケンの波動拳を手本として習得した。上記のダンやさくらやショーンのそれとは違いちゃんと前に進む。
超必殺技版としてファイヤーフォースがある。
主な使用者
- リュウ
- ケン
- 豪鬼
- 剛拳
- さくら
- 多くの作品で射程が短く、画面端まで届かない。また、一部作品では溜めることで射程を犠牲に威力を上げられる。
- ダン
- ショーン
- エックス(ロックマンX、イレギュラーハンターX)
- マグマード・ドラグーン(ロックマンX4)
- 実質的には灼熱波動拳であるが、横に飛んでくる火柱に近い。
- トロ(ストリートファイター×鉄拳)
- ローグ(X-MEN VS. STREET FIGHTER)
- リュウにパワードレイン(もしくはグッドナイトシュガー)を使用することで一時的に使用可能になる。また、豪鬼の場合は斬空波動拳が使用可能になる。
- カービィ(大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ)
- リュウまたはケンをコピーすると一時的に使用可能になる。もちろんコマンド入力にも対応しており、上記の通り灼熱波動拳も撃てる。
- 余談だが原作にもコマンドを含めてこの技を意識したと思われる技が存在する。
- ミッキーマウス(ミッキーマウスの不思議な鏡)
- スタッフロールで波動拳・昇龍拳・竜巻旋風脚が使用可能。
- ヴェルドラ=テンペスト(転生したらスライムだった件)
- ストリートファイター監修のもと、パロディとして使用。昇龍拳と竜巻旋風脚、さらにはドラゴンボール監修でかめはめ波も使ってる。
- 鶴河秋水(女神のカフェテラス)
余談
劇場版及びアニメ版「ストリートファイターII」では最後の敵へのトドメに波動拳が使われた。当時はそれだけこの技がメジャーかつ代表的な技だったということである。
一方、ゲーム版ではコマンドを入力さえすれば手軽に出せるのに対し、アニメ版では放つのに気のチャージがかなり掛かる上に一撃必殺的な演出となっており、この事がゲームにおいてスーパーコンボ(超必殺技)となる真空波動拳の誕生に繋がったと言える。
漫画「ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章」では登場人物の一人、ヤオが波動拳を使用する。
こちらでは技名ではなく、武術の名前である。
映画『シャザム!』では、フレディ・フリーマンが敵との戦いで手から電撃を放つ技を使った際に、「波動拳!!」と叫ぶという一幕が原語版・吹き替え版ともに存在する。
日本拳法にも同名の技が存在するが、もちろん気弾を飛ばすのではなく、パンチの際に手首のスナップを効かせ、インパクトの瞬間に拳を握り込むことで威力を増す技。波の動きをイメージしたためこのような名前が付いた。「波動突き」とも言う。
ケニー・オメガもDDTでのゴールデンラヴァーズ時代に使用。もちろん気弾などは出ない。ニーナの双掌破に近い。
なお、吉田沙保里氏はストリートファイター6のPVにてリュウ(のハリボテ)と戦い、その際に波動拳を『テイ!』して弾き飛ばすパフォーマンスを行った(原文では『まず波動拳を テイ!します』とある)。
関連イラスト
関連タグ
昇龍拳(昇竜拳) 竜巻旋風脚 (合わせて三種の神器と呼ばれる)