MARVEL COMICSのサイクロップス
プロフィール
本名:スコット・サマーズ
種族・人種:ミュータント / アメリカ人
X-MENのリーダーで「ファーストファイブ」の一人。非常に生真面目で責任感が強い反面融通が利かない性格でもあり、ワイルドな性分のウルヴァリンとは反りが合わずよく衝突する。マデリーンとの結婚もジーン・グレイとの結婚も死別という形で終っており、現在はエマ・フロストと熱愛中。少年時代にシーアー帝国の「アブダクション」によって家族と生き別れた経験がある。
恩師であるはずのプロフェッサーXとは、ある意味でウルヴァリン以上に深刻な軋轢を繰り返す事が多く、危険思想を掲げるアポカリプスと合体してしまった件(合体は後に解かれたが、人格に悪影響が残っている)や弟のキッド・バルカンに関する記憶を消されていた件でその関係は更に悪化。助言をされても殆ど聞き入れなくなり、やがては彼の外出した隙を突いてX-MENの実権そのものを奪い取るまでに至っている。後述の通り最終的には彼を殺害するに至った。
M-Day以降・ユートピア建国
「M・デイ」以降は、ミュータント人口が数百万人から数百人にまで激減した事で、より暴走に拍車を掛けていく事になる。サンフランシスコ沖にあるかつてのマグニートーのアジトである「アステロイドM」を改造して、ミュータントのみで構成された独立国家「ユートピア」を建国。その指導者としてミュータントを導く事になるが、次第に危険思想とも言える発言が目立つようになる。
ミュータントの種を守る目的の為ならば敵勢力を皆殺しにしたり仲間の損害までも厭わなくなる等、「恵まれし子らの学園」時代における思想を平然と無視する様になり、プロフェッサーXのみでなくマグニートーですらも不安を募らせていった。遂には10代の子供のミュータントまでも人間との戦いに狩り出そうとした結果、それまで我慢し続けていたウルヴァリンの激怒を招き「スキズム」展開にてこれまで以上に対立。X-MENを二分化させてしまう最悪の事態を招いてしまったが、サイクロップスは一向に考えを改めようとしなかった。
Avengers VS X-MEN
去って行ったウルヴァリンやプロフェッサーXが新たに「ジーングレイ学園」を設立した後、サイクロップスはアクシデントによってエマ達と共にフェニックス・フォースの力を手に入れ、新たに「フェニックス・ファイブ」を名乗る事になる。しかしその強大な力によって世界の問題を解決していく行いは、人によってはあまりにも独善極まりないものがあり弊害すらも省みなかった結果、アベンジャーズとの対立を悪化させてしまう。最初はフェニックス・フォースの力を押さえ込んでいたが、他のミュータント達が次々とアベンジャーズ側についた苛立ちからフェニックス・フォースの独占を望むようになり、恋仲にあるはずのエマからフェニックス・フォースを奪い取りかつてのジーンと同じくフェニックスそのものと化してしまった末、プロフェッサーXを殺してしまうという最悪な暴挙を犯しそれが引き金となってジーンの直接的死因となったダークフェニックスへ変貌してしまう。
しかし過ぎた力を手にしたサイクロップスは地球を半壊させてしまう更なる暴挙に出たが、その力をホープとスカーレットウィッチによって消滅させられ逮捕される事になり、ルビークォーツ製のヘルメットを被せられた状態で投獄となった。尚、罪状はチャールズ・エグゼビア(プロフェッサーX)の殺害であり、地球半壊よりもチャールズの死をヒーロー達は重く見ていたのである。そしてこの出来事でスカーレットウィッチとホープの働きかけもあり、フェニックス・フォースが世界中に散らばった事でM-デイ以降絶滅寸前まで激減したミュータントの数は増え始めている。
フェニックス・フォースは確かに強大な力を持つものの「所有していると感覚が増幅される事で距離感を徐々に喪失していく」と言う無視できない影響が存在しており、これにより精神的な絆や過去からの想い出を「とるに足らないもの」と見なして忘れていき人間性を徐々に失っていく。
その証拠にハウスオブMの世界では敢えて想い出の中に眠らせていたジーンを、「話し相手が欲しい」と言う理由だけで彼女が散った月面の塵から蘇らせている。
Marvel Now以降
しかし、未だにサイクロップスの心には「ミュータントの革命」という野心に近い理想が残っており、脱獄してマグニートー、エマ、マジックと共にウェポンXの研究所を隠れ家にし、新たに「新チャールズ・エグゼビア学園」を設立。フェニックス・フォースを巡る事件後に新たに発生したミュータント達をスカウトしている。
とは言え、犯罪者になった上に脱獄囚にまでなったという堕ちる所まで堕ちてしまったサイクロップス。彼がこの先どういう展開を迎えるのか、気になる所である。
…誤解なきようフォローすると、ここまでしなければならない程に作品世界におけるミュータントの扱いが酷すぎるのがそもそもの原因ではある。上記のAvsXラストで投獄されるサイクロップスに対しキャプテン・アメリカも「(X-MENがいたからとはいえ)ミュータント問題を放置しすぎた」と語り、以降はアベンジャーズとX-MENが協力体制を取ったり、アベンジャーズを再編する際にサンスポットなどミュータントのメンバーを加入させたりとストーリーにも影響を与えている。
ただ、2012年時の展開なのでインカージョンが発生し世界がリセットされたり、テリジェンスミストの影響で再びミュータントが滅亡の危機に瀕したりと、上記のアベンジャーズとの絡みなども含め、今ではだいぶ状況が異なっている。
能力・技能
- 両目から破壊光線オプティックブラストを発射する能力。ただし目を開けている限り放出され続けるので、特殊加工ルビーのバイザー・サングラスを常に着用する必要がある。放出され続けるのは、まだ能力が覚醒する以前の幼少時に遭った事故で脳の一部を損傷したため。ちなみに血縁者には通用しない…はずだがわりとそこら辺の設定は忘れられる。
- リーダー適正。彼の判断には常に迷いが無く、迅速に作戦指示が飛ばされる。その正確性は、アイアンマンはおろかキャプテンアメリカも迷うことなく従うほど。
- 初期のころは身体能力については特に触れられてはいなかった。細身に描かれることも多かったため、小柄なウルヴァリンからは「スリム(痩せっぽち)」のあだ名で呼ばれることもあったが、元々X-MENでの訓練でも優秀な成績を収めていたという設定やカプコンの対戦格闘ゲームへの度重なる出演の影響もあってか、近年では格闘技術も優れているという設定が定着している(イラストレーターによってはタイツを内からはち切らんばかりの筋肉質に描かれていたこともあった)。非スーパーパワー系の相手ならまとめて片付けてしまうことが可能。
- 師匠や歴代の彼女が地球最強クラスのテレパス能力者だったためか、精神内にどれだけ強力なテレパス能力者でも絶対に見ることの出来ない領域・ブラックボックスを持つ(あるエピソードでこれの存在がエマにバレてしまい、その中身を見せるまでの一時期だけ仲がぎこちなくなった)。その閉鎖性は極めて強力で、強大邪悪な精神生命体(セントリーの内に潜む暗黒面のヴォイドの一部)をその中に誘い込み、幽閉に成功している。
人気の急落とその復活
プロフィールの通り、徐々に過激な行動を取っていき「スキズム」にてウルヴァリンと決裂。大型クロスオーバー「アベンジャーズ VS X-MEN(AVX)」を境に、一種の悪墜ち展開となっている。
とはいえ、教授との関係が悪化していなかった頃からサイクロップスは、その極端な崇拝や盲従の姿勢から『忠犬』と揶揄されることも多く、他でもないオンスロートにまで『自分の頭でものを考えたことなどない』と評されている。
長い目で見ると、シリーズを代表する人気キャラになったウルヴァリンと違った形で歴史に揉まれ続けたサイクロップスの扱いは、彼と違って悪化の一途を辿っていたともいえる、かもしれない。
尤もだからと言って「ウルヴァリンの存在や人気が全て悪い」「ウルヴァリンをメアリー・スー化した結果サイクロップスが悪役に貶められた」と見なすのも、根拠のない判官贔屓である。
前述の通り、危険思想の塊であるアポカリプスに融合してしまった事による人格の影響が、元から真面目過ぎたサイクロップスを暴走させていく要因になってしまった…そう考えるのが穏当かもしれない。
が、アメコミの歴史は面白い。
闇堕ちした更にその後、彼がいかにして若かりし頃のような正義感や理想を取り戻し、人気が再び急上昇したか。
気になる方はぜひ、邦訳も済んでいるクラコアをめぐる最新の物語まで追ってみてほしい。
関連人物
コルセア
実父。本名はクリストファー・サマーズ。宇宙海賊スタージャマーズのボス。
ハボック(アレックス・サマーズ)
実弟。X-ファクターのリーダー。よく洗脳される。
バルカン(ガブリエル・サマーズ)
最近とんでもない事実と共に存在が明らかになった末弟。詳しい経緯は邦訳版も出てる「デッドリー・ジェネシス」を参考にして下さい。
死別した嫁。よくウルヴァリンとの三角関係が描かれた。
マデリーン・プライアー
ジーンのクローン。ジーンが死んだと思われてた時期に結婚した。
ケーブル(ネイサン・サマーズ)
マデリーンとの息子。ややこしい事情により自分より歳上。
フェニックスⅡ(レイチェル・サマーズ)
平行世界の未来からやってきたジーンとの間に生まれた娘。
映画版
ジェームズ・マースデンが演じている。吹き替え声優は檀臣幸(ソフト版)・中原茂(テレビ朝日版)。
ちなみに原作ではウルヴァリンよりも身長が高いことになっているが、映画版ではウルヴァリン演じるヒュー・ジャックマンの方が高い為、台やシークレットブーツでなんとか凌いだ。
3作目では演じているマースデンが『スーパーマンリターンズ』の出演が決まったことのも相まって冒頭のみの出演となっており(復活したジーン・グレイに殺害されるという形であっけなく退場してしまった)、非常に扱いが悪い。
『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』ではティム・ポーコックが担当。吹き替えは宮野真守。
その後、『X-men:DoFP』のラストで、これまでの歴史がすべてリセットされたために、思いがけない形で復活を遂げることとなった。今後の作品で、彼が原作のように活躍してくれることを願おう。
そうして迎えた6作目の『X-MEN:アポカリプス』ではこれまでとはもっとも若いサイクロップスが登場。タイ・シェリダンが演じる。吹き替えは木村良平。
この作品ではウルヴァリンが『ほとんど』絡んでこないのでメインキャラクターの一人として扱われる。普通の高校生活を送るも能力が原因で追い出され、アレックス/ハボック(こっちでは兄)の手引きでミュータントの学園・「エグゼビア・スクール」に送られる場面から物語は展開される。
MCUへの合流作である『デッドプール&ウルヴァリン』では、ストームやビースト共々、既に死亡していることがウルヴァリンの口から語られている。
エイジ・オブ・アポカリプス
95年の一大クロスオーバー「エイジ・オブ・アポカリプス」では、プロフェッサーXがX-MEN結成前に殺され、歴史が変化した並行世界での活躍を描いている。
アポカリプスを頂点とする、ミュータントが支配するこの世界観では、サイクロップスは弟のハヴォックとともにミュータントのエリートとして高い地位に付き、人間の強制捕虜収容所所長を務めている。
以前にジーン・グレイを巡りウルヴァリン=ローガンと戦い、オプティックブラストでローガンの左手首を吹き飛ばしたが、自身は片目を抉られてしまった。
こちらの世界では、ミスター・シニスターを師として慕い、自身とジーン・グレイとの遺伝子を合成され、「Xマン」ことネイト・グレイ誕生のきっかけを作っている(シニスターは『A.O.A.』の歴史分岐より以前から、サマーズの家系を代々監視している)。
外見
90年代のTVアニメやカプコンのVS.シリーズの影響は強く、日本の二次創作で描かれるサイクロップスは大半が90年代のコスチュームである。
髪を出し、青と黄を基調としたコスチュームはチーム全体で統一感を持ってデザインされている。
しかし、初登場時を含め多くの時代において、彼は頭部を覆うようにしてスーツを着用しており、原作ファンにはこちらの方が馴染みが深い。ちなみにコナミが出したベルトスクロールアクションの「X-MEN」に登場するサイクロップスはこっちのデザインがベース。