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判官贔屓

ほうがんびいき

弱い方の肩を持つ事。
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概要

弱いとされる側や負けゆく側に同情する・美徳を見出す形で、贔屓したくなる心理のこと。

由来

九郎判官源義経が、その末路ゆえに後の時代の人達からもてはやされた事に由来するのだが、決して義経が一方的な被害者という訳でも無かった。

義経は武将として確かに優秀な成果を出しているものの、一方で戦における暗黙の掟(不意打ち民家の焼き討ち民間人である舟の漕ぎ手を殺害させる)を平然と破る等、独断専行を繰り返し、同行していた頼朝の臣下達の進言にも耳を貸そうとしなかった。
特に壇ノ浦の戦いでは、武家政権による戦後構想をしていた兄の源頼朝から、安徳天皇の保護と三種の神器の確保という重大な任を与えられていながら、それらを無視した結果、安徳天皇は二位尼によって自害に追い込まれてしまい、三種の神器の一つである剣も海に落ちて紛失してしまう失態まで犯し、頼朝の計画を悉くぶち壊してしまう。
極めつけは、後白河法皇の口車に乗って頼朝を無視する形で官位を授かるという、もはや迂闊では済まされない思慮の欠けた行動にまで出てしまう。義経の度が過ぎる行いに対する源範頼梶原景時からの直訴を聞いた結果、実の弟である事からある程度黙認していた兄の頼朝も、このままでは臣下への示しがつかない事から、ほぼ止むを得ない形で義経を厳しく咎め、鎌倉へ入る事を許さなかった。しかし、反省の無いどころか、自分のしてきた行動の数々の重大さを全く理解していなかった義経は、「関東に於いて怨みを成す輩は義経に属くべし」と言う等、客観的に見れば頼朝に反旗を翻す事を宣言するも同然の行動に出て、それを聞いた頼朝は反省を促させる為に所領も没収する。
その後、何とか義経に汚名返上の機会を与えようとした頼朝は、反旗を翻そうとしていた源行家の追討を義経に命じるのだが、この期に及んでも首の皮一枚繋がっている状況を理解していなかった義経は、仮病を使って拒否するという行動に出ており、もはや義経を許す訳にはいかなくなった頼朝は、義経に暗殺者達を差し向けるも失敗に終わる。
数々の傍若無人ぶりから頼朝に見捨てられた事に逆上した義経は、天皇に頼朝の追討の宣旨を得るのだが、数々の傲慢な振る舞い等の反感から誰からの助力も得られず、最終的に義経とその臣下達(弁慶他)は追い詰められて自害するに至っている。

しかし、優れた戦果を挙げていた事実から、民衆の多くは、本来ならば自業自得の死を迎えた義経の死を「悲劇の英雄の死」と見なし、逆に止む無く義経の追討を命令していた頼朝は、「弟の優れた才能に嫉妬して切り捨てた極悪人」という悪い印象を強調される事になってしまった。
これが判官贔屓の具体的な由来といえる。

義経の死後

義経の死後の江戸時代の頃、既に判官贔屓は義経だけを指すものではない程、拡大的な解釈がされるようになっており、弱い立場…もっとはっきり言ってしまえば負けた側に対し、客観的な見方や評価を意図的に行わず同情・贔屓の対象し、勝った側を一方的に非難する事を指すようになっている。
また、古来では同じ源平時代の平敦盛、時代を下って楠木正成真田幸村由比正雪赤穂浪士西郷隆盛他、近年では武田信玄浅井長政明智光秀石田三成長宗我部盛親直江兼続天草四郎土方歳三白虎隊伊庭八郎などといった、敗死した、あるいは戦いに敗れたままで生涯を終えた武将達が、判官贔屓の対象になり、彼らを主役に据えた文芸作品や大河ドラマを始めとする創作物では史実以上に美化されて描かれている。
一方で、逆に彼らと敵対した武将達は、過剰なまでに悪役として脚色する傾向が強くなっている(例:徳川家康織田信長小早川秀秋足利尊氏など)。

ただし、いくら戦争で敗北し志半ばで果てたのが哀れに見えるからといって、判官贔屓とはその言葉通り感情移入による主観的同情でしかなく、敵対した勝利者側を非難する理由にもならない。ましてや前述の通り、魅力的に美化される傾向のある大河ドラマ等での展開こそが正当な史実であると判断するのは、客観的評価の出来る歴史学者等から見れば、短絡的な評価以外の何物でもなく、結局は勝った者が正義であると考える単純な人間と然程変わらない事になるので、判官贔屓の対象となった者達の本質がどうであるのかを判断するのは、歴史に関する書物や資料等を読んで慎重に行うべきである。

現在

日本人に多い傾向とされているが、特に日本だけのものという訳でもなく、アメリカでも「アンダードッグ効果」という形で証明されている。それ以外の国でも敗北した人物や勢力に同情的、或いは再評価をする傾向は、決して皆無とは言いきれない(例:中国の諸葛亮周瑜岳飛、イギリスのジョン欠地王、フランスのジャンヌ・ダルクルイ16世など)。

ちなみに、対となるものに、勝つ側に便乗しようとする「バンドワゴン効果」があり、これらを総称して「アナウンスメント効果」と呼ぶ。
また、近年では映画ドラマアニメ漫画等において、あまりにも悲惨な末路を迎えたキャラクターに対して、判官贔屓的な同情が寄せられた結果、それが原因で敵対したキャラクター等を過度に非難してしまい、論争になってしまう事がしばしばある。

関連タグ

贔屓
滅びの美学:近い部分もある

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