概要
第一印象の悪い人が良いことをすると、まるでその行為がその人物の総評であるかのように過大評価(ゲイン)をされ、第一印象の良い人が悪いことをすると、まるでその行為がその人物の総評であるかのように過小評価(ロス)してしまう人間の心理現象を指す。
ゲイン効果の方は一時期ヤンキー効果とも呼ばれた。
ゲイン効果の例
- 普段は素行の悪いことをしている不良が掃除をしたり、人を助けたりする。
- 特に成果や成功を期待されていなかった者が功績をあげる。
- DV男がたまにみせる優しさ。
- 何らかの理由で非難されている対象のそれ以上に素行の悪いアンチの存在により対象の評価が相対的に保護される。
ロス効果の例
ゲイン効果とロス効果が混ざった例
- 普段、苛めや一方的なアプローチで被害者に嫌われている人間(社会的マナーのなさゆえどこでも嫌われて友人がいない)が、たまに被害者とコンビ・カップルではなく仲間として協力・信頼し合ったら「特別仲がいい」と誉めて、一方で、被害者と普段から仲がいい人間との関係は、特別仲がいいコンビ・カップルとはみなさない。
- 「意地悪な嫌いな人間が嫌いで、優しい仲がいい軽めの喧嘩もする人間が好きだ」と正直に言ったら、「イエスマンだけが好きなんだろ」「外面だけが好きなんだろ」「人間の多面性を見ていない」「軟弱な人間よりも暴力的な人間のほうが社会で生き残りやすく役に立つに決まってる(軟弱さと社会的マナーを取り違えている)」と責め、好かれている人間が粗探しをされるようになる。
この現象の厄介なところは、ゲイン効果を受けた第一印象の悪い人が『悪いことをしていない第一印象が良い人以上の善人』、ロス効果を受けた第一印象の良い人が『悪いことをしている第一印象が悪い人以上の悪人』という烙印を押されがちな所である。
つまり「基本的に悪事を行っている悪人が何をやっても損にはならない」という冷静に考えれば倫理観の破綻したも同然の状況になってしまい、その結果、見た目も中身もバリバリのヤクザが世間から聖人君子の評価を受けるという摩訶不思議な現象が発生する。
正直者が馬鹿を見ると言うのは、この心理現象があるからこそだといえる。
酷い場合には、「彼は基本的に優秀で人望もあり、カッコ良いんだから、やった悪事に関して追求するのは可哀想だろ!」とか、「彼のやった事は確かに酷いけど、それは可哀想な境遇があったから仕方の無い事なんだ!」とか、「あの人は確かに日頃から悪さをしているけれど、私はあの人が一回だけ良いことをしたのを知っているから本当は良い人であることを知っている。それなのに責めるなんて酷い!」等と言いだし、「だから、今までした悪事は全て帳消しにしてあげよう!」みたいな結論を出した挙句、その人物がどれ程の悪事を働いたとしても一切お咎めなしで終わわらせようとするというとんでもない者達もいる。
逆に日頃真面目に暮らしている人が、到底大罪とは言えないようなことを一回しただけで「普段あいつは真面目ぶっているけどやはりクズなんだ!」と決めつけてその人の人生を破滅させかねない程の過剰な制裁を加える者達もいる。(こういう手合いに中間は存在しないということだろうか)
匿名によるインターネットが普及した現在、ゲインロス効果の影響は弱まるどころか益々強まっている。
ロス効果は、かつてはそれほど騒がれなかった不倫などの不祥事がインターネットでの監視社会やマスコミの過剰報道の影響で針小棒大に騒がれるようになった影響で以前よりも無視できない影響力を持ちつつある。
ゲイン効果の方も、近年はネット上で犬笛で自分と敵対する人間を見せしめで攻撃し、民衆を防衛機制によって萎縮させた後、まともな発言や行動を取ることでゲイン効果を発生させて「人格者」だと人気を博す詭弁家が急増しているのが社会問題化しており、これはやってる事はほぼストックホルム症候群と変わりないかなり悪質な手法である(以前からヤの付く人とのつき合いが深い実業家の間では多用されていた)。
たった1つの側面でその人のすべてが決まるわけではなく、その人の色々な面を見て、社会的に公平かつ客観的な視点で評価する必要がある。
私生活では、レベルや行動云々に関係なく、基本性格が合わないと感じ、嫌われたらそれで終了という事も少なくない。
関連タグ
ギャップ萌え(類義語発展系)
ツンデレ:胡散臭いツンの裏にデレが隠れている人物、初期はツンだったが徐々に完全デレになる人物を指し、ゲインロス効果は含まない。
判官贔屓:ゲイン効果の影響を大きく受ける展開。
闇堕ち:ロス効果の影響を大きく受ける展開。