「化け物っ!近寄らないで!!」
「本気で戦えよ!」
「俺たちが襲われるのはお前が抵抗するからだ!!」
ヒーロー「俺は…こんな連中のために戦っていたのか……!!」
概要
漫画やアニメ、特撮作品をはじめとするドラマなどのフィクション作品で多く見られる悪役並に性格が悪い(とされる)モブキャラのこと。
自身の利益や快楽を求めて悪事に手を染めている明確な悪党以外に、たとえ一般人であったとしても自覚無自覚問わず物語のメインキャラクターにとって迷惑、不利益になるような自分勝手な真似や言動に出たり、あまつさえ理不尽な理由から主人公を含めたメインキャラクターに対して直接的か間接的な迫害、非難に当たる行為に及んだモブキャラクターがこう言われやすい。
直接的な実害とかは出さずとも、そのキャラクターの行動や存在に対して見当外れな愚痴や野次、批判を行って彼らの心身にプレッシャーを与えたり、それだけならまだしも場合によっては取り返しのつかない悲劇や事件、果てにはヒーローの闇堕ち、悪堕ちを引き起こす。
下手な悪役キャラよりもずっと現実的な“人間の負の側面を体現する者たち”の姿であり、時に本来の敵よりもずっと恐ろしい脅威となる。
クズモブの行為の一例
※ヒーローや勇者や魔法少女などモブを守る者は色々いるが、ここでは便宜上「ヒーロー」で統一する。
- ヒーローの敗北などの失態を激しく非難する
- 自身を守ってくれたヒーローに逆に怯え、化け物呼ばわりする
- 守ったものを棚に上げ、守りきれなかった物ばかり追求する(商人「わしの金が!」)
- 「ヒーローと縁を切れば二度とお前たちを襲わない(意訳」という甘言を鵜呑みにしヒーローを追放する、あまつさえ身柄を差し出す
- 「化け物を殺せる奴は、化け物以上に危険」という理屈で迫害する
- 危険でなくても政治的に邪魔なので始末する
- 濡れ衣等でヒーローを迫害しておきながら疑いが晴れた時に謝罪しない、あまつさえ最初から味方だったように振る舞う
- 敵の使ってきた残虐な兵器が、実は人類が作ったものだった
- コミュニティの掟を破ったので問答無用で追放する ※力を手にして旅立ち、やがてヒーローになる
- 身勝手極まる理由で不法投棄を行う(スーパー戦隊)
- 私利私欲で悪の組織の悪事に加担する(スーパー戦隊)
- 悪役の仕掛けた策略や情報操作にまんまと乗せられ、ヒーローに対するネガティブキャンペーンの先導役となる(スーパー戦隊)
- 上記のありとあらゆる屁理屈の最後に「体で償え」とつける(エロゲー全般)
しかし、たとえ上記のような行為に及んだとしても、純粋に悪党として描写された者でも無い限り、後述の理由からクズではあっても善悪の線引きは難しい。さしあたってその後で彼らに対しては特に応報がないことも多いため、その作品の鑑賞者に強い不快感を与える存在として単純な悪役キャラよりもヘイトを買いやすい傾向がある。
作品によっては作中のクズモブを代表するネームドキャラクターが出てくる場合もあるが、度が過ぎて狂気的な存在はクズモブとは言い難い。
クズモブ ≠ 悪
上記の通り、クズとはいったがその作品のメインキャラ(及び視聴者)にとってクズなだけであり、いくら迷惑なことをしたからと言って彼らが“裁かれるべき悪”かと言われればそうとも限らず、むしろ全てを投げ打って守るべき存在であることも少なくない。
クズモブがクズな行為に走る理由としては、以下のようなものがある。
- 対象に過度な期待を寄せていた故に、裏切ったのが許せない
- 戦う意志も力もない故に、対象が敗北すれば脅威に抗えなくなるという恐怖
- あくまでその場の空気や先入観、個人の価値観に流されやすく同調圧力に逆らえない一般人の心理
- 緊急事態によって精神的に追い詰められてしまった
- 脅威を排除した後、残った力(排除によって得た社会的影響力なども含む)の矛先が自分に向くことが絶対にないという確証はあるのか
- 理屈はどうでもいい、理解できないものは怖い
活動自体が社会に多大な影響を与えるキャラの場合、意図せず知らない内に第三者に損害を与える可能性なども考えれば、作品内の“一般人”からの目は厳しいものになりやすいのも事実であり、それ絡みのトラブルに過敏になるのは当然といえば当然ともいえる。
何より、見る者が作品の外から客観的に得られる情報と作品の中の世界にいる者達が把握できる情報には違いがあるため、メインキャラクターが抱えている事情を知らないなど、モブから見たメインキャラクターに関する印象が異なるというのはおかしくないのだ。
他にも人外や英雄といった通常の人間とは体質が異なるタイプのキャラの場合は、現実の社会問題の延長線である。
障害者やLGBTなどのマイノリティーな人間、出身および文化の違ういわゆる異邦人、そこまでいかずとも何かの理由で感情的に受け入れられない人間に対して個人的なあるいは普遍的な偏見や誤解、無知から排斥に出たり、忌諱の目で見る者は現実に存在する。
有名なのは『帰ってきたウルトラマン』の「怪獣使いと少年」での描写だろう。これは“宇宙人という異質に対する恐怖”から来る誰が持ってもおかしくない心理と感情によって起こった悲劇とされており、当事者も目の当たりにした当初は人間を見放しそうになる程の失望感を覚えたものの、後年にはそういった人間の弱く、醜い一面を知る事もまた、ヒーローとして成長する上で大事な事であるという旨の結論に至っている。
似たような現象は、『NARUTO』の人柱力達に対する差別でもみられた。
その作品を観賞する側が物語の外から“神の視点”で彼らを非難することは簡単だが、彼らは作品の題材によってはその劇中世界を描く上で相応の意味を持つ存在でもあり、更に言えば、そのモブらを批判する現実の我々視聴者や読者はリアルで同じ状況に置かれた際に「同じような真似に出ない、考えに及ばないのか」ということを考えさせる存在でもある。
クズモブが多く登場する主な作品
ジャンル柄、明治や大正等急激に価値観が広がったり、現代より全ての技術が遥かに劣る時代を舞台にしたり、社会問題や法律が介入してくる刑事事件や軍事を取り扱う作品が多い。
- ウルトラマンシリーズ
- スーパー戦隊シリーズ
- ONE PIECE
- 機動警察パトレイバー2theMovie
- 乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です
- 鬼滅の刃
- るろうに剣心
- キン肉マンシリーズ
- クロスアンジュ天使と竜の輪舞
- ゲゲゲの鬼太郎シリーズ
- ソードアート・オンラインシリーズ
- デビルマン※特に漫画版
- ドラゴンボール
- NARUTO
- はだしのゲン
- 僕のヒーローアカデミア
- 無敵超人ザンボット3
- ワンパンマン
- 名探偵コナン
- 金田一少年の事件簿
- 戦姫絶唱シンフォギアシリーズ
- PSYCHO-PASSシリーズ
- 進撃の巨人
- 仮面ライダー555
- 機動戦士ガンダムSEED
- ジョジョの奇妙な冒険
- ドラえもん
関連タグ
モブ(モブキャラ) 胸糞 イライラ
いじめっ子(おそらく一番わかり易いクズモブの典型)
反面教師(劇中でそんな問題的言動を取るモブキャラを見て否定的な考えを持ったら)
全ての元凶(だいたいこいつのせい):登場人物の悪堕ちの理由・原因となるケースも少なくない。
ダークヒーロー、哀しき悪役、美形悪役、悪のカリスマ:対義語でそれどころか彼らを生み出す場合もある
クズ市民
男性向けのR18作品における呼び方。言うまでもなく9割が男性である。